2025年7月22日火曜日

硬いポツポツした緑コケに大苦戦!そんな時はスクレーパーで一網打尽

緑苔と三角定規

水槽のガラス面にこびりつく頑固な緑苔。
スポンジや歯ブラシでは歯が立たない……、そんなことありませんか?

こういう時に頼りになるのがスクレーパーです。
まるで三角定規のような見た目ですが、扱いやすくいプラスチック製。そのため、傷を付けづらいので安心して使えるのが魅力です。掃除の効率がぐんと上がります。

今回は、そんなフレックスのスクレーパーと宿敵緑苔のストーリー。

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(これは20年前とフィクションが織りなす不思議な世界の物語)

水槽を立ち上げてから、もう何か月が過ぎただろう。

その間に、プレコはみるみるうちに食欲を増していった。
プレコタブレットに加え、四六時中流木をガジガジとかじっている。

そして、食べた分だけ、出てくるものも増える。
糞の量がすごいのだ。もう笑うしかない。



緑の敵と白い三角


新たな闘い

ある日、わたしは途方に暮れていた。

ストレーナーも、外掛けフィルターのウールも、スポンジフィルターでさえ、すぐにドロドロとした状態になってしまう。

でも、百歩譲ってそれくらいならいい。
もみ洗いをすれば、まぁどうにかなる。

問題は――別にある。

ある祝日、水換えの途中で、水を少し抜いてからガラス面をじっと見つめた。
目を凝らすと、そこには1ミリにも満たない緑の点々。
無数の小さなプツプツが、ガラス面にびっしりと張りついていた。

「……また、こいつか」

緑苔だ。

ついさっき、ガラスは掃除したばかり。
なのに、まだ残っている。
それどころか、本来ならプレコが夜通しなめ回しているはずだ。

なのに、あの硬い歯と舌でこすられても、びくともしない。

人間の力でこれをどうしろというのだ!



緑苔への不満

「聞いてくださいよぉぉ~」

次の日、わたしはロゼッタに泣きついていた。
この人は、アクアリウムのことなら何でも知っている、お師匠様のような存在だ。

今日も、二人でなじみの店にやってきたのだが……、この店のオスカー水槽ですら四隅に蔓延るこいつを前に思い出し、ずすがりついてしまったのだ。

だが、お師匠様は一向にこちらを振り向いてはくれない。
目の前の巨大なオスカー、餌をくれるのを待っているのか、犬のような瞳でこちらをのぞきこんで、ヒレをフリフリと軽やかダンスしている。

「あぁぁぁぁ……♪」

その愛らしさに、今やお師匠様は完全にトリップしてしまっているようだ。

仕方がないので、普段とは逆に、今日はこちらが袖をツンツンと引っ張ると、なんとか現実の世界に戻ってきてくれたようだ。

「あはは、もう、いいところだったのに。でも、このコケは、ちょっと手ごわいかもね」

と、いつものように軽く笑いながら言う。

コケにはいろいろな種類があるらしい。
茶色くべったり貼りつく茶ゴケ、底砂の奥に潜り込む藍藻、黒くふさふさした黒ひげ苔。
そして――わたしの今の敵、緑苔だ。

「それね、プラスチックみたいに硬いんだ~。だから、スポンジやクロスじゃ歯が立たないんだよね」

――その通りだった。
水槽用にとおろした掃除用スポンジでも、使い捨てのコケ取りクロスでも、最終兵器として投入した歯ブラシでさえ、この苔は跳ねのけてみせた。

「それにね、ほら、この水槽をよーく見てごらん?」
「あぁ……」

目の前のオスカーの水槽を指さした。
目をよく凝らすと…

――んむむ。

…唸りが漏れてしまった。
4つ角にしか生えていないと思っていたが、じつはガラス面全体にポツポツと緑色の粒が点在している。

そんなことを知らず、オスカーはわたしに目を合わせ、尻尾をふりふりとさせて見せた。

(むむ、これはたまらん! なんと愛らしいことか……)

「ね、可愛いでしょ?」

うんうんと頷くと、首を傾け肩をすくめた。

「おそらくは掃除したんだろうど、硬さと小ささで見逃しやすいのさ。特にこういったお店の水槽ですら、手が回らずに残っていることもあるんだ」

ロゼッタは首をゆっくりと振り、残念そうにうつむいた。

「じゃあ、どうすれば……」

にっこりと微笑みながら、先ほどとは逆に、袖をつかんで引っ張られる。
行きついた先は、水槽の掃除用品コーナー。
そこに置かれた白くて平たい道具を指さした。

「これこれ。スクレーパーさ!」



最終兵器三角定規

見るからに三角定規のような形。
その中心には魚の絵が描かれており、直角の角にはアールがついている。
どことなくお茶目な感じがあふれていた。

「でも、布でもスポンジでもないこのプラスチックの板で、どうやってコケを取るんですか?」

そう尋ねると、ロゼッタはパッケージごと持ち上げて、直角の頂点をつまんだ。

「こうやって、ガラスに斜めに当てて、そのままヘラみたいにスーッと引くんだ」

「でも、刃はついてないですよね? そんなので取れるんですか?」

「いいとこに気が付いたね。実は、この短い段差が刃みたいな鋭利な直角になってて、ここでコケがベリベリッと取れるのさ」

「それって、ようするに……削るってこと、ですか?」

思わず声が裏返った。

(水槽って、そんな安直に削って大丈夫なものなの?)

わたしの心配を察したのか、ロゼッタは笑って首を振った。

「あぁ、大丈夫、大丈夫。スクレーパーはプラスチック製で、相手はガラス。ちゃんと使えば、底砂でも巻き込まない限り、傷なんかつかないさ」

そう言って、わたしの手にスクレーパーを1枚渡してくれた。

「袋の上からだと分かりづらいけど……」

ロゼッタは、すいーっと指で直角の対角辺をなぞる。

なるほど。
一見ペラペラなようでいて、意外と厚みがある。
そして、その断面は崖のように直角で鋭い。
でも、刃物のように鋭利すぎるというわけではない。

「たしかに。これなら、ガラスを傷つけずに削れそうな気がします」

「でしょ? でもアクアくんが全力でガリガリ!! ってやったら、さすがに傷がつくかもだけどね。それと、アクリル水槽もやめておいた方がいいよ、あはは」

笑いながら、ロゼッタは力いっぱいにスクレーパーを掛けるそぶりをして、おどけ見せた。

「それと、底砂も巻き込まないでね。砂利でひっかいたら簡単に傷つくからさ」

今度は、下から上に力いっぱい引っ張るそぶりをして、笑いながら首を振って見せる。

「とにかく、広範囲を短時間で掃除できるから、おすすめだよ」

「値段も、そう高くないですしね?」

「んはは、いつもキミは、変なところばかりしっかりしているね♪」

甲高い笑い声が店内に響いた。

「だけど、その前に、まずは水換えの頻度を考え直してくれたまえ」

そう言って、お師匠様は話をまとめた。



良いものは使われ続ける

以来、この三角の道具は、わが家の水槽に欠かせないアイテムになった。

カミソリの刃がついているタイプと比べて、錆びないし、鋭くないから、何より安心感がある。
もちろん、馬鹿力を込めなければ傷つくことはまずない。

たしかに、一度のスライドで全部の緑苔がするすると落ちるわけではない。
けれど、何回か滑らせるだけで、驚くほどきれいになる。

リスクとベネフィットのバランスが、ちょうどいいのかもしれない。
今日も、水槽のガラスをスーッと滑らせながら、緑の敵を静かに追い払う。

この三角定規は、守り神だ。
そう言っても、過言ではないのかもしれない。



まとめ

アクアリウム用のスクレーパーは、水槽のガラス面に付着した頑固なコケを効率よく除去するための掃除用具です。

中でもフレックスのスクレーパーは、手のひらサイズで扱いやすく、魚のイラストが入った可愛らしいデザインが特徴です。素材はプラスチック製で、ガラス面を傷つけにくいため安心して使えます。

その使い方は、三角形のエッジ部分をガラスに斜めに当てて滑らせるだけ。
スポンジや歯ブラシでは歯が立たないような、硬くて細かい緑苔にも効果を発揮します。金属刃のついたスクレーパーと比べて、錆びず、鋭利すぎないため、安全性にも優れています。

ただし、砂利などの粒子が残った状態で強くこすると、傷の原因になるため注意が必要です。シリコン目地部分への接触も避けましょう。
また、アクリル水槽に利用するのも、なるべく避けましょう。

広範囲の掃除を短時間で済ませたい方にとって、正しく使えばスクレーパーは非常に頼もしいツールです。



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