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新しい水槽セット後は絶対に空回し。硝化細菌よりも大切な事とは? (11/4)
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2025年11月4日火曜日

新しい水槽セット後は絶対に空回し。硝化細菌よりも大切な事とは?

魚を迎える前に必ず空回しを

水槽を立ち上げるとき、つい「早く魚を入れたい!」と思ってしまう気持ち、わかります。
でも、ちょっとだけ立ち止まってフィルターの空回しをしてみると、不思議と安心感が生まれるものなんですね。
これは、水漏れや機器トラブルを事前に防ぎ、水質を安定させる大切な準備。長く美しいアクアリウムの物語を始める前の、大切なひと手間なんです。

今回は、そんな空回しについて、柔しくストーリーで紹介したいと思います。


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2025年10月30日木曜日

アッチ!?CO₂ボンベ交換でまさかの火傷、電磁弁にはご注意を

CO₂小型ボンベの初交換♪ で見舞われた火傷トラップ

水草水槽に欠かせないCO₂添加。でも、ボンベ交換は初めてだとちょっと緊張しますよね。レギュレーターや電磁弁、スピードコントローラーなど、見慣れない器具が並ぶと、どこから手をつければいいのか迷ってしまうもの。でも、手順を落ち着いて確認すれば、意外と簡単で安心して作業できるもの。

今回は、わたしが初めて小型ボンベを交換した時に起きたトラブルを交えつつ、その手順について、分かりやすく述べていきたいと思います。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

3限が終わり、夕方の光が差し込む部屋に帰ってくると、いつもの「パチン♪」という軽い音がした。
CO₂の電磁弁が作動した合図だ。
わが家の水槽を守る小さな相棒、あるいは“守り神”のような存在。

しかし最近、その音を聞くたびに少し胸がざわつく。どうも、CO₂添加の調子が悪いのだ。


2025年10月27日月曜日

初めてのホースクリーナー、うっかり吸排水パイプを逆さに付けて……

ホースクリーナーは引っ張って使うと知った日に……

水槽の美しさは、水面や魚の姿だけで決まるわけではありません。
実は目に見えないパイプやホースの中にも、小さな汚れやコケがじわじわと溜まっていきます。そのままにしておくと、水の流れが悪くなり、魚たちの暮らしにも影響が出ることも。

今回は、そんなパイプ・ホース清掃で経験した簡単なトラブル2つを、ストーリーでやさしく紹介したいと思います。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

部屋の灯りを落とすと、暗闇の中に三つの水槽が静かに浮かび上がる。

45cm規格のプレコ水槽。ガラス越しに見える流木の影には黒いシルエットがゆらぎ、心地よいリズムで流木にかじりついている。

隣には、マツモだけが水面を覆う30cm水草水槽。群れるカージナルテトラとラミノーズテトラの青と赤と銀が、光を浴びてきらきらと輝き舞い踊っている。
そして、最後は暴れん坊のブルーテトラたち。小さな波が立つほどの勢いで泳ぐその姿は、まるでこの部屋の中で一番自由な生き物のようだった。

三つの水槽が、夜の中で小さな宇宙のように呼吸している。その光景を見終えると、最後に自室の隅を見て深く息を吐いた。

「もうひとつ……ここに、小さな世界を増やすんだ」

部屋の入口には、まだ何も入っていない60cm規格の水槽がひっそりと置かれている。プレコ専用の大きな水槽を立ち上げる計画は、着々と進行中なのだ。すでに、水槽台に外部フィルター2台、さらには水中ポンプも設置してある。

すべてが順調だ。
と、言いたいところだが、どうしても気になっていることがある。


2025年10月9日木曜日

弱ったマツモ、短くカットしすぎたマツモは水面で浮かべて養生すべし

マツモを浮かせて栽培すれば、生長力も脇芽形成も↑

アクアリウムで育てる水草の中でも、マツモはとても育てやすく、初心者にも人気です。実は、ただ底に植えるだけではなく、水面にぷかぷか浮かべて育てる方法もあります。

これは、水景は植えこむ方法と比べると劣りますが、光をたっぷり浴びられるため傷んだ株も回復しやすく、節から新しい芽が伸びやすいので自然に株を増やせ方法となっています。コケや水質には少し注意なのが玉に瑕ですが、マツモの手軽な栽培法の1つです。

今回は、そんなマツモを浮かせて栽培する方法について、ストーリーでやさしく紹介したいと思います。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

わたしは途方に暮れていた。
30cmキューブハイタイプ水槽で、困ったことが起きたのだ。

あまりにもマツモが伸びすぎるので、CO2を弱めた。そこまでは良かったのだ。

ところが、その後が良くなかった。
水面に届くほどの長さに生長した姿を見て、思い切ってトリミングに挑んだのだが、よりによって、手が滑って茎頂付近でカットしてしまったのだ。

……どうしよう!?


2025年9月27日土曜日

暗雲立ち込めるヘアーグラス栽培。黒ひげとソイルに疲れ果て……

暗雲立ち込めるヘアーグラス栽培。黒ひげとソイルに疲れ果て……

今回は、ヘアーグラスの栽培初期に起こったトラブル二選。

①、ある日、面白い情報を知る。「肥料分が邪魔ならソイルを洗えばいい!」。それを真に受けわたしは実行することにしたのだが…… .

②、ヘアーグラスに黒ひげ苔がやってきた。水流対策もばっちりで水質も悪くない。これ以上打つ手がないと嘆くと、お師匠様は最終手段に打って出る

の2本立てです!


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

三月の曇り空は、もうすぐ春だというのに薄暗く、北風に細かいみぞれを交じらせて家々の隙間を吹き抜けてくる。
今日は、魚たちを20L水槽に避難させ、30cmキューブハイタイプでの門出となる日のはずだった。敷き詰めていた大磯砂も撤去済みだ。

だが、わたしは窓越しにその白い粒を眺めながら、深くため息をつかざるを得なかった。
透明になるはずのバケツの水が、何度すすいでもコーヒー牛乳のように濁っていたからだ。沈黙したまま机の角にたたずむヘアーグラスの苗を見ると、思わず口に出てしまう。

「はぁ……計画は、失敗だな」


2025年9月25日木曜日

初めての陽性植物は黒ひげ苔で挫折。ソイルと発酵式CO2の注意点

初めての有茎草は黒ひげ苔で終わった

水槽を眺めていると、いつの間にか黒いフサフサが広がっていた…そんな経験はありませんか?
せっかく整えた美しいアクアリウムを台無しにする「黒ひげ苔」。
効果的な対策を知っておくことで、水槽との付き合い方がぐっと楽になります。

今回はそんな黒ひげ苔について、ストーリーでやさしく解説します。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

買ってしまった。
ウォーターバコバという名前らしい。
透き通るような碧緑に、小ぶりでありながら凛とした葉をつける可愛らしさ。
――ずっと狙っていた水草だ。

滅多に訪れない地元の郊外型ショップで、それが1,000円もしない価格で売られていた。
わたしは、すっかり魅力に負けて、計画的ではあるものの、半ば衝動買いの気持ちでお迎えを決めてしまった。


2025年9月23日火曜日

生まれて初めてのソイルはコーヒー牛乳?やっぱり水換えは全てを解決

分かってても焦るソイルの濁り、肥料分

水槽にソイルを入れたとき、あの茶色く濁る瞬間にドキッとしたことはありませんか?
初心者から経験者まで、多くのアクアリストが直面するソイルの濁りや肥料分。
焦って放置してしまうと水草に負担がかかることもあります。

この記事では、濁りや肥料分の原因と、簡単に安全に対処する方法をストーリーでやさしく解説したいと思います。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

30cmキューブハイタイプ水槽。
30×30の幅と奥行に、高さだけが40cm。一見いびつに思えるサイズだが、裸眼でとらえれば誰もが納得する魅力を携えている。高い水面からストンと落ちる水底まで、落差ある水景に惹かれ、わたしはこの水槽を買ってしまったのだ。

今はまだ空の水槽だが、外部フィルターはすでにセット済み。今日はソイルを投入して水を張り、電源を入れようと思っている。
本来なら一気に水草を植えるところまで進めたかったのだが、

初めてなら、きっと驚くと思うから!

とお師匠様の忠告があり、段階を踏んで作業を進めることになった。
では、まずはパッケージに書いてある通り、軽くすすいで……

「んん?」

すすいでも軽く汚れが取れるどころか、茶色く濁った水が出てくる。
だが、濁るくらいなら、他の底砂やろ材でも経験がある。

「そんな物なんだろうな……」

ひとり呟いて、風呂場の天井をしばらく見上げたのち、すすぎもそこそこにして水槽へソイルを投入。そのまま、ひたひたに注水すると、見るも無残に水槽いっぱいの泥水となる

「いやいや、『そんな物』では済まされないだろっ!?」

大量のコーヒー牛乳に、ここにきて初めて異常だと認識し、わたしは頭を抱えた。
そうだ、お師匠様に聞いてみるしかない!


この話は20年前のソイルをもとに綴ったものです。
現在のソイルは微粒子が発生しづらく、濁り具合も異なるため、すべてが当てはまるわけではありません。


2025年9月17日水曜日

30cmキューブハイタイプに恋をして思い知ったアクアリウムの怖さ

増えに増える水槽たち。どこがやめ時なのか

その水槽を増やしたい気持ち、ちょっと待ってください。

一度アクアリウムの世界に触れると、雑誌やショップで見た美しい水景が心に残り、つい「自分の部屋でも再現したい」と思ってしまうものです。
しかし、その衝動を実行に移すとなれば、責任を伴う覚悟が必要です。
今回は、そんなお話をストーリーとして紹介したいと思います。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

気になっている水槽がある。
30cmキューブのハイタイプだ。

最近買い始めたアクア雑誌に、その水槽の広告が掲載されていた。
煌めく光が数本のラインとなって深い水底へ注ぎ込み、水草を照らす写真。

一目惚れしてしまったようで、何度もページを開いては広告の水景に食い入るように見てしまう。

たしかに規格水槽は美しい。
では、なぜこの水槽にここまで惹かれるのだろう。
気が付いたのは水深だ。

不自然な形から生まれる強いアピールと、高低差による遠近感が、淡水の風景をそのままカット&ペーストしたかのような説得力を持っている。

水量は45cm規格水槽とほとんど変わらないし、形状もその水槽を縦にしただけだ。

だから、これは魔法。
そう、わたしは魔法に掛かってしまったのだ。


2025年9月13日土曜日

アヌビアスについた憎い憎い黒ひげ苔を撃退したい!なら食酢でしょ?

黒ひげ苔をお酢で駆除する

水槽をのぞき込んだとき、緑の葉を覆い尽くすように黒々としたフサフサの苔が広がっていたら、がっかりしてしまいますよね。それが「黒ひげ苔」です。

根元は硬くて取りづらく、気付けば水槽全体の景観を乱すやっかい者。そんな黒ひげ苔に、実は身近な「食酢」が効果を発揮するって知っていましたか?
今回はストーリーでやさしく紹介していきます。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

薄曇りの朝、部屋の奥に置かれた水槽は仄暗く、さながら早朝の清流のようであった。
中央にたたずむアヌビアスの葉は、黒いフサフサにびっしりと覆われている。
時折ネオンテトラが葉に触れると、ぐらぐらと悶絶するように揺れ、窮地を訴えて助けを求めているようだった。


2025年9月7日日曜日

キスゴムが劣化した?そうなる前のローテーション、復活の裏技の現実

キスゴムは全ての重要パーツの礎だ

水槽を見ていると、小さなパーツひとつで魚たちの安全や水槽の安定が左右されることに気づきます。
中でも「キスゴム」は、目立たないけれど実は大切な存在。しっかり固定してくれるおかげで、プレコや他の魚が元気に泳いでもフィルターは安全に動き続けられます。

今日は、そのキスゴムの寿命やちょっとしたお手入れ法をストーリーでわかりやすくご紹介します。


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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

ついこのあいだまで冬将軍が居座っていたはずなのに、気が付けばキャンパス奥にある農場の梅がほころび始めている。朝にはさえずりがサラリーマンでごった返すホームを癒し、電車で通り過ぎる小川には人々を見送るように一羽のシラサギが立っていた。
風はまだ冷たいが、日差しにほんのりと春の匂いが混ざっているのがわかる。

一歩ずつ、季節は春へと歩み始めているようだ。


2025年9月3日水曜日

ヒーターはプレコの大好物?火傷はカバーで守る!しかし危険な事も?

ヒーターカバーは誰のため?

水槽のヒーターバーは魚や水草をヒータの熱から守る道具です。
しかし、使い方を間違えると、魚が火傷するリスクもあります。

今回はそんなヒーターカバーの基本と気をつけたい点を、ストーリーでわかりやすく紹介します。


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これは2000年代とフィクションが織りなす、不思議な世界の物語。

冬休み最終日。
窓の外は青く透き通った空が広がり、午後の弱い光がレースのカーテンに当たる。ほんのりと明るい部屋の奥では、水槽の水音が静かに響き、ヒーターのランプは10分単位のゆっくりとしたリズムで点滅を繰り返している。

お師匠様は、今日はいない。海を渡った向こう側……と言っても、湾を挟んだ半島の海沿いに帰省している。少し寂しさはあるけれど、こういう時こそ普段は手の届かない部分の掃除をじっくりしたいものだ。
心に決めると、目についたのは水槽内に灯る、赤色の通電ランプ。

「今日はヒーターの大掃除をするとしよう」

小さく呟くと、早速掃除用具を取り出した。



冬休み最終日のヒーター事件


また、やってしまいました

水換え作業はとんとん拍子で進み、気が付けばあとは水を注ぐのみ。
時刻を見計らいヒーターを手に取る。掃除スタートすると同時に、あらかじめヒーターのコードを抜いておいたのだ。優に20分以上経過しており、試しにと水槽内で手を近づけても、熱気はすでに消え去っている。

カバーを外す前に、深呼吸を一つすると、火傷した記憶が薄まっていく。
覚悟も決めてプラスチックの爪を軽く押すと、カチリと音を立ててカバーはあっけなく外れた。
白いセラミックの本体を手に取ると、表面はひんやりと冷たく、すっとした重みを感じさせる。いつぞや火傷したときの熱さとはまるで別物だ。

恐る恐る内部を覗き込むと、予想よりもずっと綺麗で拍子抜けする。
うっすらと着いた茶ゴケを歯ブラシで落とすと、すぐさま汚れの激しいカバーの掃除に取り掛かり、やがて、コードの汚れをスポンジで拭き取ったところで掃除は終了となった。

この水槽は昔ながらのグレーの金属製事務デスクの上にある。
親が骨董市で拾って来たものを、PCデスク用に押し付けられたのだ。
だが、人が乗ってもみしりとも言わぬほどの頑丈さで、いつの間にか水槽台としての役割を与えられている。

まさに水槽にうってつけの事務用品なのだが、問題点があるとすれば、その高さだ。
天板はまるで正座で使うような高さしかなく、水を注ぐだけならいいが、掃除のときは中腰やしゃがみ姿勢が続くのだ。
今日も、足がつりそうになりながら掃除を終え、綺麗になったカバーを足元に置くと、わたしは転がり込むように腰を下ろした。

「ふぅ!!」

と深呼吸をすると、本来なら脚も腰も楽になるのだが、どうにもお尻に鋭い痛みが走る。
そして、膝の力を抜くと……

――バギッ。

乾いた音が響き、何かが折れた感触。

「ぬあ!」

悲鳴を上げて立ち上がり、座った場所を見下ろすと、そこには無残にも真っ二つに割れたヒーターカバー。

どうしたものか……

20年前には、このモデルのヒーターはありませんでした。
画像はあくまでもイメージです。


ヒーターが大好物の魚

翌日。いつものサークル棟2階のバルコニー。
プラスチック製の白いベンチは冷えきっていて、座ると冬の空気がじんわりと体に染み込んでくる。
ここが、わたしとお師匠様ことロゼッタの定位置だ。

今日も二人してアクア談義を始めるのだが、そのお相手は珍しく遅刻をしてきた。

つば付き帽子の奥に光るブラウンの縁の眼鏡、古びたダッフルコートの下からはライトグリーンの作業着をのぞかせている。
ひゅるりとした北風に乗って漂ってくるのは、ヨードチンキのような焚火の煙の香り。
それが焚火なのか、それとも薪ストーブなのか、初めのころは講堂と実験室の往復しかないわたしには疑問だった。
しかし、キャンパス内を見渡せば、同じような恰好をした人の群れが煙で燻された香りを漂わせており、今や当然のことように思えてくるのだから、なんとも不思議なものだ。

そんなことすら気にする素振りもなく、年頃の娘は目を輝かせて口を開いた。

「それで、今ヒーターにはカバーがついていない状態なんだね?」
「そうなんです……不注意で壊してしまって」

わたしは肩を落としながらうなづいた。
しかし、すかさず、ヒーター自体は問題なく、真冬でも水温26度を保っていると伝えたかったのだが――

それはプレコにとって非常に良くないね! 今からでもショップに行こう!
「え!? どうしてですか!?」

食い気味に話を遮られ狼狽していると、彼女はメガネのツルを指で押し上げながら、髪を手櫛で整えた。

「アクアくん? それ本気で言ってる?」

やんわりとした響きの中にある鋭さ。
どうやら、今の状況に大きな問題があるらしい。

「まぁ、キミのヒーターは最初からカバーがついていたから、知らないのかもしれないけどさ……」

言葉に間を置き、口元に薄い笑みを浮かべると、そこにはいつものお師匠様の顔。

「実は、プレコはヒーターの棒が大好物なんだ!
「はぁっ!?」

思わず素っ頓狂な声を上げてしまうと、放課後の人のまばらなキャンパスに声が響き渡った。

「だって、コケが付きやすいし、スラリと伸びているから貼りつきやすい『棒』でしょ?プレコが嫌いなわけがないじゃない?」

――たしかにそう……だ???

いやいや、待ってほしい。ヒーターは高温のはずだ。
忘れようと思っても忘れられない、焦げ付くような熱さと内側からゾクゾクした痛み。
いくらプレコとて、そんな場所に張り付くだなんて……理解に苦しみ、反論する。

「でもヒーターって、そもそも熱いじゃないですか?」

お師匠様は一瞬きょとんとした顔をしたあと、何かに納得したように頷いた。

「もしかしてキミ、ヒーターが常に高温だと勘違いしているんじゃないかい?



トラップの仕組み

「違うんですか!?」
「誤解してるようだけど、ヒーターって常時高温じゃないんだよ。サーモスタットが内蔵されてるでしょ?」

わたしが、驚きと戸惑い混じりの声を上げると、お師匠様は微笑みを浮かべながらも、真剣な眼差しで教え諭すように答えた。

だが、すぐに合点がいった。

「もしかして、制御で電気のON・OFFを繰り返しているから、冷えている時間もある……ってことですか?」
「その通り! つまりだ……」

彼女は胸を張りながら、まるで秘密を打ち明けるかのように言う。

冷えているときに張り付いてコケを食る。もし、その最中に通電が始まったら?
「……なるほど、たしかにそれだと、火傷するかもしれませんね」

彼女は帽子を脱ぎ、固まった髪を指先でほぐすと、バルコニーから黄昏に染まる町並みに目をやった。

「まぁ、ほとんどは熱くなり始めたら逃げるけどね。でも、たまに……」

言葉を濁しつつも、どこか諦めにも似た感情が混じるのだが、どこか真実味が込められているような気がした。

「たまにって……、もしかして、気づかないで舐め続けるのですか?」
「いや、そうじゃないんだ。時折ヒーターをテリトリーにする子がいてね。そのまま寝てしまうことがあるんだ

まるで見て来たかのような切なげな顔して、闇夜に沈む町並みから目を背けると、彼女の背中が小刻みに震えているような気がした。

「……危険すぎますね」

しかし、わたしが相槌を打つと、覚悟を決めたように帽子を深く被り、言葉を探しながらも話を続けた。まるで、その時の状況を吐露するように。

「火傷すると、腹部に白い跡が残るんだ。……もちろん、水槽が清潔なら自然治癒することも多よ。でも、悪化すれば……水カビ病になる」

お師匠様の言葉に覚悟と重みが込められていたが、わたしも動揺が隠せず声が震える。

「……そうなったら魚病薬で治療ですよね? フィルターもリセット……かぁ」

わたしがそう言い切ると、彼女はこちらを向いた。
あたりはすっかり止み包まれ、帽子の奥底にある顔がどのようになっている分からなかったが、決意のある太い声で返事が返ってくる。

「そうなんだよね。ナマズだからね。薬の使い方もちょっと特殊でね。まだキミには教えられない。だからこそ“転ばぬ先の杖”ではないけどヒーターカバーを甘く見ないでほしいんだ!」

口元は力強くにんまりと笑っているのだが、深くかぶった帽子の奥がハロゲン灯に照らされキラリと光っていた。

20年前、多くのモデルではヒーターカバーは別売りでした。
しかし、現在はどうでしょうか?アクアリウムという趣味は、確実に一歩ずつ進んでいます。


ヒーターカバーが大好きな魚たち

お師匠様は、顔を拭きにいくと部室へと戻っていった。
冬のキャンパスはまだ六時だというのに漆黒に包まれ、オレンジの街灯が赤いレンガが敷き詰められた地面を照らしている。

「おまたせ♪」

ふいに声を掛けられたので振り返ると、いつものロングスカートにチャコールグレーのコートを着た彼女が部室から戻ってきた。

「もちろん、ヒーターカバーを使わないほうがいいときもあるよ?」

――え? 今までの話と矛盾してませんか??

突然始まるアクア談義。
だが、お師匠様は待ってくれない。
それが、オタクの流儀なのだ。

白いタートルネックのセーターの先にある小さな顔は、もとの笑顔に戻っていた。

「でも火傷の危険性があるからって、さっき……」

まぁまぁ、最後まで聞きなさいと言わんばかりに、メガネをクイっと上げ顎に手を当てた。

「それがね、ごくまれに、カバーをシェルターにする生体がいるんだ
「えぇっ!? シェルター? ヒーターカバーとヒーターの隙間って、すごく狭いですよね?」

「そうなんだ。稚魚稚エビ、さらにクーリーローチとかね、カバーの中の狭いところが大好きなのさ。そんなところに身をひそめて、もしヒーターが通電でもしたら……」

ロゼッタは肩をすくめて、両方の手のひらを胸の高さで掲げてみせる。
わたしも相槌を打つように首を振るしかない。

「なんというか……一筋縄じゃいかないんですね」
「そうなんだよねぇ。もちろん、100均素材でカバーをさらに覆ったり、みんな工夫してるよ? でも、まぁ、あえて言うなら不確実さが――」
「水槽の奥深さ、ですね?」

「お! わかってきたじゃないか!」

そして彼女は、わたしをじっと見据えて言った。

「だからキミも、自分の水槽に合った最善策を今すぐ考えてほしい」

じっとりとわたしを見つめら目でにやりと笑いうと、どこか促すような雰囲気がある。

「ね?」

ここに至り、それが明らかな催促であると気が付き、わたしは慌てて返事をする。

「あ! はい、行きましょう!」

閉店にはまだ間に合う。
わたしたちは足早にキャンパスを抜けショップへ向かうのだった。



まとめ

水槽のヒーターは、熱帯魚や水草を健康に育てるための大切なアイテムです。
そのヒーターを守り、魚たちの安全にも役立つのが「ヒーターカバー」です。シンプルですが重要な役割を持っています。

ヒーターカバーの最大の目的は、魚が高温のヒーターに直接触れてやけどするのを防ぐことです。特に底ものの魚はヒーター周辺をよく動くため、カバーがあると安心感が増します。
たしかに、掃除やメンテナンス時にカバーが邪魔に感じることもありますが、使いやすさよりも安全面を優先するべきでしょう。

しかし、そんな、ヒーターカバーにも注意点があります。
まず、火傷です。本来は火傷を防ぐ道具ですが、対象を間違えるとトラップとなります。
とりわけ注意してほしいのは、稚魚や稚エビ、さらにはナマズの仲間などで小さな隙間を好む魚種です。こうした生体は、カバーの隙間に入り込んでしまい、飼育者が気づかぬうちに火傷を負うことが報告されています。
このような生体を飼育する際は、火傷のリスクを考慮して、カバーを外したり、カバーのカバーを自作する選ぶ必要があります。

また、気を付けてほしいのは、ヒーターカバーは必ずヒーターのメーカーが指定する純正品や推奨品を使用することです。適合しないカバーや非対応の素材を使うと、熱がこもり予期せぬトラブルの原因となるので、絶対に避けましょう。

まとめると、ヒーターカバーは魚のやけど防止やヒーター保護に役立つ、絶対的に必須ななアイテムですが、内部に魚が入り込むリスクがあるため、時と場合によっては柔軟な使い方を要します。安全のためにメーカー指定の製品を使い、自分の水槽環境に合った設置を心がけましょう。



2025年9月1日月曜日

うっかり外部フィルターのOリングを付け忘れ、呼び水して大惨事に

Oリング付け忘れ事件

水槽まわりの掃除やメンテナンスって、つい「慣れてるから大丈夫」と思いがちですよね。でも、そんな時こそ小さな落とし穴が潜んでいます。特に外部フィルターのOリング、このたったひとつのパーツの付け忘れが、静かな部屋を一瞬で“水害現場”に変えてしまうこともあるんです。

今回は、そんな事件をストーリーでやさしく紹介したいと思います。


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これは2000年代とフィクションが織りなす、不思議な世界の物語。

新しいろ材を購入したのは、もう一週間以上も前のことだ。
小さな白い紙箱に入った新品のセラミックは、棚の上でマダカマダカとじっと待っている。だが、なかなかフィルターにセットできずにいた。

タイミングが合わないのだ。
わたしの水槽のお師匠様ことロゼッタは、最近実習で忙しくキャンパスに不在なことも多く、わたしも学生実験でばかりで研究棟から出れずにいる。

そして、冬休みが近くなると、どちらもスケジュールに余裕が出始め、いよいよということになった。
この作業は一人でもできないわけじゃない。だが、アクア経験豊富な彼女と一緒にセットしたほうが失敗もなく、何より安心感が違う。だから、どうしても予定を合わせたかった。


2025年8月20日水曜日

水換え前にヒーターはOFF フィルターは?エアポンプ・ライトは?

水換えで火傷した話

水換えって、水を抜いて足すだけ……って思っていませんか? 
実はその裏に、ちょっとした「落とし穴」が潜んでいるんです。

今回は、水換え時に電源を切るべき機器について、初心者さんにもわかりやすいよう、ストーリで紹介します。安全に、そして快適にお魚たちとの暮らしを楽しむために、ぜひチェックしてみてくださいね。

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秋の陽射しが柔らかく差し込むと、水槽のガラス越しに光がきらめいていた。プレコが2匹、底砂を這うように動きながらコケを削っている。

「ほんとによくコケるなぁ……」

わたしはため息をつきながら、スポンジを手にガラス面の汚れをこすった。
プレコたちがせっせと働いても、しばらく放っておくとこの有様になる。
いくら彼らがコケ取り職人でも、大食いゆえに自ら引き起こす水質悪化にはかなわないのだ。

だから、わたしは時折、徹底的に掃除することにしている。
のだが……


2025年8月18日月曜日

あ!水温が低い!?ヒーター壊れた? いいえ、それはW数不足かも?

秋の夜のヒーター騒動

水槽用ヒーターは熱帯魚の健康維持に欠かせません。特に秋冬の冷え込みが厳しい時期は、水槽のサイズに合ったワット数を選ぶことが重要です。
力不足だと水温が安定せず、魚も電気代も負担がかかります。逆に大きすぎても水温変動が激しくなるため注意が必要です。

では、どのようにして最適なヒーターを見つければいいのでしょうか?
ストーリーで紹介したいと思います。

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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

夜の帳が降りると、虫の声が一斉に響きだした。
その騒がしさとは対照的に、空にはぽっかりと浮かぶ満月が、凪いだ水面のように静かに輝いている。
ほんの少しだけ窓を開けると、秋の風がカーテンを揺らし、頬を撫でて過ぎていった。
肌寒い。
季節は確かに進んでいる。

ふと、水槽に目をやると──

「……あれ?」

いやな予感がした。急いで水温計に目をやる。
表示されたのは「24.0℃」。
水温が低すぎる。
ヒーターが、壊れてしまったのだろうか。

以前使っていた20L水槽のヒーターをそのまま使っていたのだが、さすがに寿命なのかもしれない。月明かりの下、水槽の中でプレコがじっと身を潜めている。

「……ヒーターを、換えなきゃ」

小さく呟きながら、わたしは空を仰いだ。

――だが

それ以降、なぜか水温が下がることはなかった。
ヒーターは壊れていなかったのか? 
でも、なぜあの夜だけ24℃まで落ちたのだろう?

わたしの中に、疑問だけがぽっかりと残された。

・この時代には、縦置きできるヒーターはまだありませんでした。


秋の夜のヒーター騒動


季節は移ろうものだから……

それは故障じゃないかもね

流れる風景を眺めながら、わたしはその話を切り出した。
小さな車両の中で、わたしの隣に座っていたのはロゼッタ。
「ふむふむ」と頷きながら、苦笑いをして見せた

秋晴れの空のもと、今日は二人でちょっとした有名観光地にきている。
湾内に浮かぶ小さな島は、好まざる侵入者から防衛するための装置が置いてあったのだが、再開発されて今やベイエリア有数の商業観光地となっている。

今日は、その島にあるショッピングセンターに二人で来ている。

海岸沿いの公園からペデストリアンデッキでビルに入り、雑貨屋や喫茶店をかき分けて進むと、一瞬ロゼッタの黒髪の下でまなこが踊る。
だが、目の前に大きなペットショップが見えてくると、いつもの生物オタク然とした顔つきに戻った。

「さ、行こうか! ヒーターを見に来たのでしょう?」

若い男女、はたから見ればデートかもしれないが、これはれっきとした、熱帯魚マニアによるアクアショップ探訪なのである。



マニアたちとW数

大きなペットショップは、場所が場所なだけあり、デートスポットになっている。
しかし、アクアオタクの私たちには関係ない!
いちゃつくカップルをかき分け、熱帯魚用具売り場へと突き進むと、ピシっとお師匠様が指さした。
見えてきたのは、ヒーターをずらりと並べた鉄の棚だ。
そして、彼女はこちらを振り返ると、鋭い目つきとなった。

「それで、いま何W使ってるの?」
「わ、ワットって……電気の、あれですよね?」

「ワオ! そこから話さないといけないんだね?」

大げさなくらい肩を落として、彼女は首を振った。

「仕方ないなぁ~♪ 今日はボクがみっちりと教えてあげよう!」

いつにもまして瞳を輝かせ、にんまりと笑った。
完全にアクア談義モードに火をつけてしまったらしい。

ヒーターのW数っていうのは、消費電力のことなんだ。これは単位の通り消費電力のことなんだ
「えーっと……ってことは、低ければ電気代が安くて効率が良い……?」

「ブッブー! そう言うと思ったよ! これが違うんだなー♪」

小さく人差し指を振りながら、彼女は勝ち誇ったようにウィンクをしてみせた。
どうやら、彼女の思っていた通りに綺麗に間違えらしい。

「キミは、熱量を求める理科の実験を覚えているかい?」
「えぇーっと、あのJ(ジュール)を求める、ややこしい数式がいっぱい出てくるやつですよね?」

「そう! それなんだ。詳しい話は避けるけど、端的に言えばW数が高いほど、早く、たくさんの水を温められるんだ
「じゃあ、今の水槽ではそのW数が足らないということですか?」

「まぁ。そういうことになるね」

なんとなく、理解したつもりではある。
だが、気になっていることもある。

「じゃあ、わたしの水槽のヒーター、力不足……?」
「多分ね。で、あの日って、夜ちょっと肌寒くなかった?」

「……あ! そうかもしれません! 窓開けてて……冷たい風が……」
「なら、それが原因だよ。季節とは変わるものさ、きっと、気温が下がりすぎて、ヒーターの熱を上回る速度で水槽が冷やされちゃったんだね?

彼女の目が真剣さを帯びる。

「つまり、そのヒーター、もう秋や冬にはパワーが足りないってことだね」

そう言い切ると、少しだけ表情が穏やかなものになったった。

・その20年後、同様のトラブルに見舞われることに……


大きすぎても、小さすぎても

小春日和はデート日和。
体を密着させた男女が、所狭しと商業施設の中をたむろしている。
このヒーター売り場とて例外ではない。
展示水槽に見飽きたアベックが、何の気なしにふらりとこちらに向かうことだってある。
そうなれば途端、男女とは言え水槽という希薄な繋がりしかない、わたしたちの間に流れる空気は気まずいものになるだろう。

だが、肝心のロゼッタは随分と落ち着いている。
いや、場を楽しんでいる余裕さえある。
大したアクアリストだ。

――ジトっ

大いに感心していると、なんだか、ロゼッタに直接白い目で見られたような気がした。
だが、いつもの優しい声色はいつも通り。
適当に合いの手をいれつつ、ぼんやりとお師匠様とわたしの空間を楽しんでいると、急に声を掛けられ現実に戻された。

「ちょっと? ボクの話聞いてる?
「え? あぁ、ちょっと考え事しててね」

「もぉー! それじゃあヒーターのW数の話に戻すね?」

「キミの水槽は秋の夜の寒さで水温が低下するんでしょ? となれば、適正W数のものがついていないと考えられるね」

――適正とは?
思えば、ヒーターはセット品。自分で選んだものではなので、適正W数と言われてもさっぱりわからないのだ。

お師匠様は棚から1つのヒーターを取り出した。

「やっぱり、60cm規格水槽なら200~150W、その半分の水量の45cm規格水槽なら150~100Wかな
「これは……今使ってるものよりも、ちょっとより大きいですね!」

「ははぁん、なるほど!」

そういうと、大きく目を見開き、ぽんと手を叩いた。
なにか、思いつことがあるよで、そそくさともう1つ取り出した。

「キミこのメーカー好きでしょ? じゃあこれかな?」」

ブリスターパックから透けるその姿。
見覚えがある。

「あぁ……これです! 今これを使ってるんです!」
「やっぱりね。じゃあ50Wだね。これは30cmキューブ水槽用のヒーターで、もっと水量の少ない水槽で使われるタイプなんだ」

「でも、どうやって適正なW数を知ればいいんですか?」

すっと指をすべらせながら、透けて見えるヒーターの横のラベルを指し示した。

「あ……! 書いてある
「こうやってパッケージに書いてあるし、それ以外にも、ほら上を見てよ?」

顔を上げ什器のさらに上をみると、色鮮やかに大きく文字の下に、事細かになにやら書かれた看板が天井から吊り下がっていた。
どうやら、水槽サイズに合わせて、ヒーターの適正なW数がまとめあるようだ。
そして、しっかりと30cmキューブの欄には50~80Wと記されている。

「ただえさえ、白か黒の棒でしょう? 分かりずらい商品だからね。こうやって売り手も工夫してくれているのさ」

「50Wは……、やっぱり、力不足ですかね?」
「そうだね、夏はいいかもしれないけど、秋はちょっと心配。冬は明らかに力不足だね」

わたしの期待に応えるようにやわらかく笑いつつ、はっきり断言するように言い切った。

「あぁ……残念です」

しかし、ふと疑問に思う。

「じゃあ、W数は大きければ、大きいほどいいんですか?」
「そういうわけじゃないだ。今回のキミの水槽みたいに、気温に左右されるから、適正サイズ~1ランク上ぐらいがおすすめだよ

「キミの家って木造でしょ? 冬の朝は何度ぐらいになってるかな?」

唸りながら視線を上に向けて考え込むと、気温は分からないが1つの手がかりが浮かび上がってきた。

「詳しく調べたことないですけど、早朝だとアウターを来てちょうどいいくらいですね」
「であるなら、適正の100Wより少し大きなヒーターでもいいと思うんだ。その方が冬になってまた買い足すよりお得だしね」

たしかに、そうなのかもしれない。
それに、真冬にまたヒーターを買い直すということは極力避けたい。
が、1つの疑念が生まれた。

「でも、それって、余計に電気代がかかったりしませんか?」
「それがね、ヒーターの中にはサーモスタットがついているでしょ?」

少し得意げに胸を張って、にやりと笑った。

「あぁ! 自動でオンオフしてくれるから、そこまでかからないんですね!」
「そういうこと」

「もちろん、闇雲に大きければ良いというわけでもないんだよ? 水温が急激に変わるようになるからね?

にんまりと笑みを浮かべながら、お師匠様はまるでクイズの答えを語るように言葉を続けた。

「逆に、避けたいのは、今の君の状況だね。W数が低すぎていつまでも水温が上がりきらないから、ヒーターが通電しっぱなしになっていると思うよ?
「ひぇぇ!? 電気代かかりっぱなし!?

「そういうことだね♪」

思わずその場で後ずさりしそうになる。

「んははは! だから、今日決めていこう!」



冬支度

そのあと、わたしはすぐに新しい150Wのヒーターを慎重に設置した。

ご飯を食べたり、喫茶店で水槽について話し込んだりして、気が付けば時刻は午後9時を回っており、帰宅後は風呂にも寄らず真っすぐ布団に入りたい気持ちでいっぱいになったが、怠惰な気持ちを抑え込み、純白のヒーターをセットしたのだ。

本当はサーモスタット付きの外部タイプが欲しかったのだが……、何度お財布と相談しても予算オーバーで、なくなくプリセットタイプを選んだ。

だが、これで、秋の夜風が入っても、冬の寒波が到来しても、もう心配はいらない。
水槽の中には引き続き常夏の世界であり続けるだろう。



まとめ

水槽用ヒーターは、熱帯魚を健康に育てるためにとても大切なアイテムです。
水温が下がりやすい秋や冬の時期は、特に気をつけてあげたいところですよね。ヒーターを選ぶときは、水槽のサイズに合ったワット数(W数)を選ぶことがポイントです。

水槽の水量に対してヒーターの力が足りないと、いつまでも水温が上がらずヒーターがずっと動きっぱなしになってしまい、魚にも家計にも負担がかかります。
逆に、ワット数が大きすぎると、水温が急激に変わりやすくなり、健康面で魚にとってもよくありません。
そのため、「大は小を兼ねる」とは限りません。

実際のところ、45cm規格水槽なら100W~150W、60cm規格水槽なら150W~200W程度が一般的な目安です。しかし、特に寒い季節や水槽の設置環境によっては、少し余裕をもったワット数を選ぶのがおすすめです。

わたしの水槽では、それでも水温低下が止まらず、45cm規格水槽なのに200Wのヒーターが入っています。

とりわけ、秋風が吹き始め始める9月~10月、寒波が到来し急激に気温が低下し始める12月~1月は要注意。、今回のストーリーで起きたヒーターの低W数によるトラブルが露呈する季節でもあります。

ヒーターに限らず、冷却ファンも同じことが言えますが、季節の変わり目には、水温は必ずチェックし、器具の点検を行いたいものですね。



2025年8月16日土曜日

もしも~ガラス蓋を~割った~なら~♪覚えていてほしい3つの調達法

もしもガラス蓋を割ったなら

水槽のふた、なんとなく置きっぱなしにしていませんか?
うっかり足をぶつけたり、物を落としたりするだけで、ガラスは簡単に割れてしまうもの。

そして、割れてから気づくことになります。
「あ、これって案外大事だったんだな……」と。

今回は、そんな“もしも”のときに慌てないための、ストーリーで対処法をご紹介します。

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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

バギッ!!!

まるで地雷を踏んだかのような鈍い音。
踏み出した足をそろりと引っ込めた。

あるはずのない、木の床に走る大きなひび。

わたしは、何が起きたのか理解するまでに、幾ばくかの時間を要した。

粉々に砕けたそれは、水槽の脇の床に置いていたガラスのフタ。
わたしのだらしなさを糾弾するように、音を立てて崩れ落ちたのだった。

わたしの後悔を嘲笑うかのように、秋の夕陽を受けたガラスが床に点々と広がり、天井までも煌びやかに彩っていた。


2025年8月12日火曜日

活性炭は短寿命。アク・臭い・魚病薬の除去、目的をもって使いたい

活性炭とプレコとわたし──知らずにやりがちな活性炭放置のはなし

流木を入れたら、水槽の水がいつの間に真っ黄色!
そんなときに活躍してくれるのが「活性炭」です。目に見えない不純物をぐんぐん吸着し、水をすっきり透明に保ってくれる頼もしい存在なんです。

が……、意外と「短命」で終わるろ材でもあります。
今回は、それについてストーリーで紹介します。

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知らなかったことがある。
ウールマットを交換するたびに、目の前に現れる黒い円盤のことだった。

購入時には青いスポンジろ材とウールがセット済み。
この円盤は大切そうに別の袋に包まれていた気がする。

だが、新しい外部フィルターのオーナーになったわたしは、汚れ一つない外部フィルターを前に浮足立っていたような記憶がある。結果、ルンルンと浮かれた気分で深く考えず、ろ材コンテナにセットした……ような気がする。
もちろん、水槽のお師匠ことロゼッタには、強く何かを言われた気もあるのだが……。


2025年7月29日火曜日

餌のあげすぎにはご注意を!丁寧な給餌がもたらす4つの利点

餌の過ぎで起こること

「餌は多めにあげたほうが魚も喜ぶ」――そう思っていませんか? 
実はその習慣、熱帯魚の健康にも水槽の管理にも悪影響を与えているかもしれません。
少しの工夫で、水も魚もぐっと快適になる方法があるんです。

いつものように、ストーリーで紹介したいと思います。

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(これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語)

20リットルの水槽には、一匹のセルフィンプレコが棲んでいる。
初めての底もの、初めてのナマズだ。

水槽は小さく、設備も最小限にしてある。
外掛けフィルターとテトラのスポンジフィルターだけだ。
それが、わたしのささやかなアクアリウムだ。

エアレーションで生まれた泡が美しくはじけ飛び、水面は鏡のように揺らいでいる。
こちらに気が付いたプレコが、さっと流木の後ろに逃げ、アヌビアスがゆらりと踊った。


2025年7月23日水曜日

スポンジフィルターを底砂に埋めてわかった、アクアリウムの懐の深さ

スポンジフィルターは底砂に埋めてもいいの?

アクアリウムには、慣れてくると誰しも一度は試してみたくなる“裏技”が、多々あります。

そのひとつが、スポンジフィルターの設置方法を少し変えて、底砂に埋め込んでしまうという手法。
見た目もすっきり、ろ過効率もアップ…なんて声もありますが、本当にうまくいくのでしょうか?

この記事では、実際にやってみた顛末をストーリーで紹介したいと思います。

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2025年7月21日月曜日

ブルーライトで夜行性熱帯魚が出てくるのを待機?それ逆効果かも??

夜行性熱帯魚×ブルーライト=?

青く美しいブルーライト。
夜の水槽の演出としては魅力的ですが、その光、水中では思いのほか遠くまで届いていることをご存知でしょうか? 

人には落ち着いた色でも、魚にとっては「昼」と変わらない強い光になる場合があります。とくに夜行性の魚にとっては、大きな刺激になっていることも。

今回は、ブルーライトの波長の特徴と、魚の感じ方について、ストーリーをもとにお話しします。

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(これは20年前とフィクションが織りなす不思議な世界の物語)

夜の青は、魚にとって昼なのかもしれない

どの店でも、20年前はカラー蛍光灯が売られていた。
今ではLEDばかり。
あの独特ななまめかしさも、懐かしい記憶の片隅に沈んでいる。


2025年7月17日木曜日

まさかの逆サーモ故障!?滅多に壊れないが必ず点検。その方法とは?

冷却ファンが動かないまさかの落とし穴

夏の水槽管理に欠かせない逆サーモ。
設定温度を超えたときに冷却ファンを作動させる重要な機器ですが、故障していると水温が危険なレベルまで上昇することもあります。

今回は、逆サーモに起きた事件を元に、簡単にできる点検方法を紹介したいと思います。

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あれは、水槽をはじめて三年目の夏だった。

まだ七月の上旬だというのに、天気予報は今年初の猛暑日だと伝えていた。わたしは朝からパタパタと、水槽の夏対策を入念に見直していた。

夏がやってくる!!