ホースクリーナーは引っ張って使うと知った日に……
水槽の美しさは、水面や魚の姿だけで決まるわけではありません。
実は目に見えないパイプやホースの中にも、小さな汚れやコケがじわじわと溜まっていきます。そのままにしておくと、水の流れが悪くなり、魚たちの暮らしにも影響が出ることも。
今回は、そんなパイプ・ホース清掃で経験した簡単なトラブル2つを、ストーリーでやさしく紹介したいと思います。
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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。
部屋の灯りを落とすと、暗闇の中に三つの水槽が静かに浮かび上がる。
45cm規格のプレコ水槽。ガラス越しに見える流木の影には黒いシルエットがゆらぎ、心地よいリズムで流木にかじりついている。
隣には、マツモだけが水面を覆う30cm水草水槽。群れるカージナルテトラとラミノーズテトラの青と赤と銀が、光を浴びてきらきらと輝き舞い踊っている。
そして、最後は暴れん坊のブルーテトラたち。小さな波が立つほどの勢いで泳ぐその姿は、まるでこの部屋の中で一番自由な生き物のようだった。
三つの水槽が、夜の中で小さな宇宙のように呼吸している。その光景を見終えると、最後に自室の隅を見て深く息を吐いた。
「もうひとつ……ここに、小さな世界を増やすんだ」
部屋の入口には、まだ何も入っていない60cm規格の水槽がひっそりと置かれている。プレコ専用の大きな水槽を立ち上げる計画は、着々と進行中なのだ。すでに、水槽台に外部フィルター2台、さらには水中ポンプも設置してある。
すべてが順調だ。
と、言いたいところだが、どうしても気になっていることがある。
