水槽の深淵
「底砂の厚さって、どうするべき?」
  見た目や好みだけで決めていませんか?
  実はそこに、バクテリアの働きや有毒ガスのリスク、掃除のしやすさといった、見過ごせないポイントが潜んでいるんです。今回は、そんな底砂の「厚い・薄い」問題について、ストーリーでやさしく解説します。
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(これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語)
気に入った底砂がある。桜大磯砂だ。
  その名の通り、淡い薄紅色をした大磯砂である。
プレコの体色は、濃い色や派手な模様のものが多く、また、水槽内は流木だらけになりやすく、全体の色味も落ち着いた雰囲気になりがちだ。
そこで、何か鮮やかな底砂を探していたところ、この桜大磯砂を見つけたのだ。
あとは設置するだけだが、こうした大きな作業の前には、必ずイメージトレーニングをすることにしている。
「何かあってからでは遅いからね」
水槽の師匠、ロゼッタの教えである。
  まずはセルフィンプレコをバケツに避難させ、次にフィルターやヒーターといった器具を撤去。そして、底砂をビニール袋に移動させ、あとは桜大磯砂を入れるだけ
――のはずだった。
あれ?
  ふと疑問が浮かんだ。腕を組んで宙を見る。
少ない経験から考えをまとめ、ロゼッタの教えと照らし合わせてみるのだが、どうにも釈然としないのだ。
「底砂って、厚いほうがいいの? それとも薄いほうがいいの?」



