水足しくんと冷却ファン3つ
今回はニッソーの水足しくんについて。
先日過去の投稿を修正したので、今回は簡単なレビューに「読み物」をしたため投稿したいと思います。
**********************************
水槽用クーラー断念
いざ酷暑の国道の先へ
これは、5年以上前の真夏、熱帯魚店を巡っていた途中での、あるバス待ちの出来事である。
国道を通過するトラックの噴煙と排熱で全身が汗まみれになり、さらに照りつける西日がひどい渇きをもたらす。自販機は目と鼻の先にあるが、先ほどから欲望をこらえ、迎えが来るのをひたすら待っている。情報では、バスはすでに3つ前の停留所を出たはずだ。ここから20メートル先のあの場所まで、飲み物を買いに戻る時間的な余裕はあるだろうか。もし失敗すれば、さらに20分、この拷問に耐えなければならないと思うと、怖くなり、目を閉じて排ガスに耐え続けることにした。やがて、聞き慣れたバスの排気音が聞こえてきた。もうすぐだ。
そこまでしてこの国道沿いの店を訪れたのは、テトラのペルチェ式クーラーの実物を見るためだった。従来の「チラー式」と比べてはるかに廉価なこの新製品は、我が家の水槽の救世主になると期待されていたのだ。この日のために準備してきた財布の中身を再確認し、ドアに手をかけて蝉の鳴く温帯を抜けると、そこはほのかに涼しい熱帯の住まう世界だった。さらに奥へと進み、カルキ抜きを通り過ぎ、エアポンプの横を抜け、水草用品のさらに奥――店の最深部にある、外部フィルターが鎮座する一角に、目当ての箱はあった。
水槽用クーラーとヒーター
意中の製品が入った箱を、胸を高鳴らせながら見つめる。水槽の総水量、フィルターの流量、適合ホース径はもちろん、周波数、電圧、消費電力など、あらゆる項目をチェックする。確かに水槽用クーラーとしては安価だが、気軽に買い直せる金額ではなく、ミスは許されない。だからこそ、パッケージに記載された内容を一字一句注意深く読み、頭の中で確認していった。すると、ある項目がふと気になり始めた。消費電力である。60cm水槽にも対応可能なクールタワーCR-3の箱には「245W」と記載されていた。試しに電気代を計算してみる。夏の10時から16時までの6時間、245Wのクーラーが連続稼働した場合、いったいどのような金額になるのか――
……えっ!?
実際には、購入を検討していたのは45cm規格水槽用のCR-2で、消費電力は140W。一般的に、チラー式の場合でも100~150W程度で、ヒーターと同程度の電力しか消費しない。さらに、室内用エアコンと併用するため、実際の電気代はもっと安くなるはずだった。しかし、当時の私はなぜか気が動転し、手に取っていた箱を慌てて棚に戻してしまった。
今になって思えば、ヒーターが稼働しない分、むしろ電気代をそれほど気にする必要はなかったのかもしれない。
冷却ファン3台!!
騒音3倍!
そして、わが家の夏対策の主力は室内用クーラーとなった。わが家には熱帯魚のほかにペットもおり、家にいる人間と合わせて、暑い時間帯を水槽の部屋でひとまとめにすれば節約効果が見込まれたからだ。しかし、それだけでは水槽が過加熱してしまうこともあるので、余っていたPCファン2台に水槽用冷却ファン1台の計3台体制としてみたのだが……。
夏も盛りとなったある夜、突然目を覚ました。もうろうとした意識の中で目をこすりながら爆音響く暗闇の中を見ると、わたしをたたき起こした犯人は3連冷却ファンのようだ。たしかに、寝苦しい夏、睡眠の質を確保するのが難しくなるのはいつの時代もよくあることだ。しかし、水槽から響くまるでドライヤーのような轟音はどうだろうか。逆サーモの設定温度を上げればいいだけの話だが、愛おしい熱帯魚が体調を崩しては困りもの。さりとて、クーラーの温度を下げれば電気代が跳ね上がる。毎夜起こされては堂々巡りをしつつ、結局生み出された答えは、冷却ファンを適正な台数にするという至極真っ当なものであった。睡眠不足と引き換えに「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」ということわざを身をもって体感したのであった。
水位低下も3倍?
3連冷却ファンの弊害はそればかりではない。目に見えるスピードで水位が減少していくのだ。頂上付近でぐにゃりと曲がった後景草、水槽壁面に張り付く浮草、シマシマ模様の水垢、そしてジャポジャポと室内に響き渡る落水音、どれもおよそ水景に望ましい物だとは言い難い。解決策は簡単だ、水を足してやればいいだけのこと。しかし、3つの冷却ファンの威力は水温ばかりでなく水位の低下にも絶大で、2日に1回1L程度の水足しを要するようになると、やがてこれが面倒だと思うようになってくる。
そして、わたしが出したもう1つの答えは、ニッソーの「水足しくん」であった。
**********************************
レビュー
夏の水槽管理で困っていませんか?
というわけで、夏は気温の上昇と冷却ファンの影響で、水槽の水がどんどん蒸発します。これは、わたしのように「3連冷却ファン」などという無茶をしなくても、気化熱を利用して冷却している以上、避けられないことです。当然、水位が下がれば景観上の問題が生まれ、さらに放置し続ければフィルターやヒーターが止まり、生体に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、こまめな水足しが必要ですが、毎日手動で行うのは正直大変なのは先述の通りです。
そこで、ニッソーの「水足しくん」の出番となるわけです。水槽の水位をサイフォンの原理で減った分だけ補給するアイテムで、あらかじめペットボトルに水をセットしておくことで、蒸発による水位低下を防ぎ、安定した水位を保つことができるのです。
たしかに、冷却ファン3台のような状況では、頻繁にペットボトルを補充しなくてはいけませんが、溢れることがありませんから好きなタイミングで足し水できるのも好ポイントです。
さらに、値段も1,000円前後と安く入手でき、冷却ファンと合わせれば安価でかつ実用的な水槽の夏対策セットが展開できるのも大きな利点です。
ニッソー水足しくんのデメリット
これまで使用していて、構造が簡単なために水漏れや誤作動が起きたことはありませんでした。しかし、気になる点もあります。
まず、水槽のガラスに最大で1kgのペットボトルという重量物(「水足しくん」は1Lまでのペットボトルにしか対応していません)を取り付けるため、取り扱いには十分な注意が必要となります。
また、より重量のある1.5Lや2Lのペットボトルなど大きなものは取り付けられず、そのため足し水の量が増える60cm規格の水槽には対応していません。
さらに気になるのが、その見た目。「水足しくん」は実用性重視の設計のため水槽の角にペットボトルが逆立ちしている様子で、良く言えばに無骨であり、悪く言えば野暮であり、インテリア性を重視する方には外観が気になるかもしれません。
そして、最大の問題は、サイズがわずかに大きいため付属品のフタと干渉してしまうことがある点です。確かに夏場には冷却の邪魔となるフタは不要だという意見もあります。しかし、ジャンプが得意な魚種を飼育している場合は飛び出し防止に、猫を飼育している方には誤転落防止にフタは欠かせないものです。両立するためには、冷却ファンとこの「水足しくん」を設置できるようなフタの自作を検討しなくてはならないのです。
![]() |
火災防止のためにラベルは剝がさず利用するべし |
まとめ
夏場の水位低下に悩んでいる初心者さんや、小型水槽ユーザーさんに最適な道具です。もちろん、忙しくて水槽の管理に手が回らない方にも特におすすめです。適合サイズやフタの自作など注意点はありますが、手間を減らして魚たちと過ごす時間を楽しむことができるようになります。準備を整えて、安心で快適な夏のアクアリウム生活をスタートしてみてはいかがでしょうか?
というわけで、今回はここまで。長文読んでいただきありがとうございました。
0 件のコメント:
コメントを投稿