暗雲立ち込めるヘアーグラス栽培。黒ひげとソイルに疲れ果て……
今回は、ヘアーグラスの栽培初期に起こったトラブル二選。
①、ある日、面白い情報を知る。「肥料分が邪魔ならソイルを洗えばいい!」。それを真に受けわたしは実行することにしたのだが…… .
②、ヘアーグラスに黒ひげ苔がやってきた。水流対策もばっちりで水質も悪くない。これ以上打つ手がないと嘆くと、お師匠様は最終手段に打って出る
の2本立てです!
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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。
三月の曇り空は、もうすぐ春だというのに薄暗く、北風に細かいみぞれを交じらせて家々の隙間を吹き抜けてくる。
今日は、魚たちを20L水槽に避難させ、30cmキューブハイタイプでの門出となる日のはずだった。敷き詰めていた大磯砂も撤去済みだ。
だが、わたしは窓越しにその白い粒を眺めながら、深くため息をつかざるを得なかった。
透明になるはずのバケツの水が、何度すすいでもコーヒー牛乳のように濁っていたからだ。沈黙したまま机の角にたたずむヘアーグラスの苗を見ると、思わず口に出てしまう。
「はぁ……計画は、失敗だな」