勢いで手を出したばっかりに……
勢いでフルーバル304を買ってしまった過去があります。
エーハイム2213と同じく、60cm規格水槽クラスのスペックを持ちながら、破格の値段で売られていたからです。
今回は、レア機種に手を出してしまった一人のアクアリストの体験談をストーリーとして紹介したいと思います。
「アレも安い!」「コレも安い!」と手を出すのは楽しいものですが、長期的な維持管理という視点も忘れてはいけません。
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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。
赤提灯の並びを通りぬけ街路をひた走り、灯に照らされるガラス扉に飛びこむと、そこはいつものように別世界が広がっていた。少し雨が降り、外は春の湿気を帯びた空気に包まれていたが、こちらはもう常夏の様相を呈し、じとりとした店内には飼育水の香りが漂っている。
睨みつけるように棚の上段のさらに上を見ると、ずらりと箱に入った外部フィルターたちが積み上げられていた。わたしは息をのんで呟いた。
「フルーバル304……」
割引の値札の上に、さらに割引の札が張られており、なんと7500円。
60cm規格水槽に使える外部フィルターが、この値段で手に入るなんて。以前から売れ残っており目を付けていたのだが、背伸びをして手に取ると心臓が早鐘を打つ。