パイロットフィッシュとしてお迎えしただけなのに……
熱帯魚には、不思議と「最初は興味がなかったのに、いつの間にか夢中になっていた」という種類がいます。派手な色彩でもなく、高価な珍魚でもない。それなのに、水槽の前に立つたび視線を追ってしまう。気付けば、その小さな動き一つ一つが気になってしまうのです。今回のお話は、そんな“地味だけど、不思議と心を掴む魚”ことアカヒレにです。
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薄暗い高架下のエントランスから抜け出し、黄色の地下鉄に飛び乗る。サラリーマンの流れに乗って大きな駅で下り、改札横の交差点に向うと、すっかり人が疎らになっている。あいかわらず、駅構内はグレーの大群がひしめいているが、彼らを横目に駅から離れ、曲がりくねった高速道路の下を歩き続けた。ピークタイムを過ぎたオフィス街は、静寂と大人の雰囲気に包まれており、昼間、多くの人間が頭を悩ませている場所には、とても思えなかった。
