発酵式CO2の作成時の注意点をストーリーで
水草水槽を始めると、「CO2添加って難しそう」と思う方も多いはず。でも、発酵式CO2なら家庭で手軽に作れて、材料も身近なものばかり。電気や高価な器具を使わず、酵母と砂糖の力で二酸化炭素を発生させ、水草の成長をサポートできます。
今回はその培地の作り方について、ストーリーで詳しく紹介したいと思います。
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これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。
サークル棟がある大学の裏口から出て、すっかり冬の姿になった桜並木を抜け、Y字路のある少しばかりの坂道を上り、大通りを通り過ぎ、さらに数分歩いたところで、久しぶりにロゼッタの家へとたどり着いた。
今日ここにやってきた理由は、水槽のお師匠様である彼女から、直々に発酵式CO2添加の寒天培地の作り方を教わるためである。
アヌビアス・コーヒーフォリアは新しい水槽で順調だ。
黒ひげの勢いも衰えているし、白みがかった茶色の新芽も出始めている。
もちろん、ネオンテトラたちも全員健康だ。
その中で、ひとつ困ったこと、いや、モヤモヤしていることがある。
それはCO2タブレットだ。
水草は好ましい状況になっている。おそらく効果があるのだろう。
だがパンチが足らず、いまひとつ効いているのか効いていないのか、どうにも釈然としない。
電磁弁のようにON/OFFがあるわけでもなく、エアストーンから気泡が出ることもない。
砕けた白い残骸が水槽に残るのみだ。
そんなことはわかっていたことなのだが……やはり懸念した通りの結果となってしまったのだ。

