ソイル交換って面倒ですよね?
(更新:2025/6/11)
今回は話が打って変わりまして、ホースとプロホース(のパイプ)を利用した、簡単なソイルの交換についての紹介をしていきたいと思います。
なお、今回はホースで吸い出すところまでとなります。次回、プロホースのパイプでソイルを投入していきたいと思います。
今回はコントロソイルを吸いだし……
次回、プロジェクトソイルを投入していきます
ホースで吸い出すメリット・デメリット
ここでは、ホースを使ってソイルを吸い出すことのメリット・デメリットについてご紹介します。
ホースで吸い出すメリット①:濁らない
一番の利点は、水が濁りにくいことです。
この方法では、ソイルがそのまま飼育水といっしょに吸い込まれ、バケツに排出されます。その際、粒がこすれて崩れることで細かな粒子が発生し、水を濁らせてしまうのですが、それがホースの中で起こるというのが大きなポイントです。
ホース内にはサイフォンの原理によって一方向の流れが生まれているので微粒子はそのまま外へ出され、ソイルの崩れカスが水槽内にほとんど広がらりません。そのため、水が真っ白になるようなことはが、ほとんど起こりません。
ホースで吸い出すメリット②:簡単
また、作業自体もとてもシンプルです。
水換えと同じようにサイフォンを利用して吸い出すだけなので、特別な技術も道具も不要です。いつも水換えをしているアクアリストさんであれば、迷うことなく取り組めると思います。普段通りホースで水を抜く感覚で、簡単にソイルを取り出せるというのも嬉しいポイントですね。
しかし、いいことばかりではありません。いくつかデメリットもあります。
ホースでソイルを吸い出すデメリット①:時間がかかる
この方法の欠点は、作業に時間がかかることです。
水と一緒に吸い出すためには、当然ながら水が必要です。逆に言えば、水がなければ吸い出せません。そして、多くの水槽の場合、溜まっている水量だけでは、全てのソイルを吸い出すことはできないでしょう。そのため、水換えのタイミングに合わせて、少しずつソイルを取り出していくことになります。
もし、週1回ペースで水換えをしている方なら、最短で2週間、平均して1か月、場合によっては2か月かけて、ゆっくりソイル交換を進めていくことになるでしょう。もちろん、水を抜いたらすぐに足して、連続で作業するという手もありますが、それをやってしまうと、生体にとって危険なほどの水質変化を引き起こすこともあります。
結果的に、一度に交換するソイルは全量の1/4以下にとどめるのが安全です。週1回の作業であれば、1か月。さらに慎重を期すなら、1/8ずつの交換で2か月かけることになります。
ホースでソイルを吸い出すデメリット②:吸い出す力が弱い
もう一つの弱点は、根がしっかり活着している部分のソイルが吸い出しにくいことです。
水草の種類にもよりますが、根張りの強いタイプは、思った以上にしっかりソイルをつかんでいます。ホースの吸引力だけでは取りきれないこともあるため、ピンセットや手を使って軽くほじくるようにして取り出す必要が出てきます。結果、水草の植え直しも兼ねた作業をする際は、手作業もしなくてはならいでしょう。
逆に言えば、植え替えをせず、根付いている部分を残したまま、「上書き」のようにソイル交換したい場合には、とても使いやすい方法とも言えます。
メリット・デメリットまとめ
ここまでをまとめると、このホースを使った方法は、じっくり作業できる方や、計画的に物事を進めるのが好きな方に向いている方法となっています。
「休日に一気にソイル交換して、水槽をリセット! 水草もレイアウトも全部リニューアル!!」
というような、短期決戦型の作業スタイルの方には、ちょっと不向きかもしれません。一日で終わらせたい方には、捕獲ネットや専用スコップを使った、従来の方法が合っていると思ように思います。
ということで、ここから先は、実際にどのように作業を進めていくかをご紹介していきます。
なお、今回はあくまで「ソイルの吸い出し」までのご紹介となります。どうぞご了承ください。
道具一覧とポイント
このパートより、ソイルを吸い出すまでの作業を中心に、その際に使う道具や手順、さらにソイルを抜く前後の写真や注意点についてご紹介します。
今回使用した道具は以下の通りです。ほとんどのアクアリストの方がすでにお持ちのものばかりでしょう。
・ホース
・バケツ
・吸盤
ホースは太すぎず細すぎず
まず、ホースについてですが、細すぎると詰まりやすく吸引力も弱いため、使いにくく感じることがあります。逆に、太すぎるホースは水槽内の水をあっという間に吸い出してしまい、水替えの回数が増えてしまいます。ほどよい太さのホースを選ぶのがおすすめです。
今回は、園芸用の9/12(内径9mm、外径12mm)ほどのホースを使用しましたが、少し細すぎたため何度かソイルが詰まってしまいました。後日、12/16の太さのホースを使ったところ、水の減り具合も程よく、詰まりもなく快適に吸い出せました。
吸盤や針金などでホースを固定
次いで、吸盤について。ホースをバケツに固定するために使います。ホースをしっかり固定できれば、吸盤でなく針金などでも構いません。なお、今回はそれらを使わず、右手で水槽を、左手でバケツを支えるという、少々原始的なスタイルで作業しました。腰や背中を痛める恐れがあるため、あまりおすすめはできません。【経験者談】
そのため、吸い出し作業の途中写真は今回は撮影できませんでした。
簡単楽々ソイル交換の方法
ソイル吸い出しの手順紹介
それでは、実際に交換作業を進めていきましょう。
まずは、交換前のコントロソイルパウダーが敷かれている水槽の様子をご覧ください。
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(もさもさの水草水槽) |
ホースを使って、この水槽から水と一緒にソイルを吸い出していきます。
- 吸盤を使ってホースをバケツにしっかり固定する。
- バケツ側に固定されていないホースの端を水槽の水の中に入れる。
- バケツ側のホースを口で吸い、サイフォンの原理を働かせる。
- 水槽側のホースで飼育水と一緒にソイルを吸い込む。
- いつもの水替え量に達したら吸い込みを止める。
- 水替えのたびに1~5を繰り返す。
【ソイル吸い出しの手順】
今回の1回目の吸い出しでは、水槽内のソイルの約半分を抜き取りました。ただ、この1/2という量は多すぎます。先述の通り1/4~1/8程度の交換に抑えることをおすすめします。
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(ところどころにガラス面が見えるように) |
繰り返しになりますが、ソイルの交換量はできるだけ1/4以下に留めるのが望ましいです。
1/2もの量を一度に交換すると、水質が徐々に大きく変化しやすくなり、特に変化に弱い生体、たとえば淡水エビなどには厳しい環境となるため注意してください。
1回目のソイル吸い出し後の水槽の様子
作業終了後、レイアウト(鉢植えの水草など)を元に戻したところ、下の写真のような状態となりました。ところどころガラスの底面が見えていますが、なんとか鑑賞に耐えうる状態は保てています。元々のソイルの厚さは約1cmでしたので、吸い出しによって現在の底床厚は0.5cmといったところでしょうか?
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(ソイル厚0.5cm?) |
1週間後に2回目のソイル吸い出しを実施。ベアタンク水草水槽の誕生
さらに1週間後再びソイルを吸い出し、これで水槽内のソイルをすべて抜き終えました。その時の水槽は以下のような状態です。
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(ベアタンクの水草水槽!?) |
ベアタンクの水草水槽です!!
自分でも何を言っているのかわかりませんが、とにかくそういうことになります。わたしの水槽では活着系以外の水草はすべて鉢植えで育てているため、こういった珍しい形の水草水槽になりました。
以上がソイル吸い出し作業の実際の様子です。作業はいたってシンプルで、普段の水替えの延長線上にあるため、イメージしやすいと思います。底砂掃除と同じ感覚で、ソイルも吸い込むだけです。いつもと違う点は、ゴミだけでなくソイルも吸い出してしまうこと、そしてホース内でソイルが詰まることがある点くらいです。
注意点
最後に、ソイルを吸い出す時に、特に気をつけてほしいポイントを3つ紹介します。
注意点その1:吸い出しは間欠的に行うこと
ソイルを連続して吸い続けるとホース内で詰まってしまう場合があります。作業中は、ソイルを吸い出した後に1~2秒ほど水のみを吸うことで、詰まりかけたソイルを押し流すようにしてください。この「ソイルを吸う⇔水を吸う」を繰り返すことで、詰まりを防げます。
注意点その2:生体を間違って吸い込まないように!
生体を誤って吸い込んでしまわないよう十分に注意してください。
例えばミナミヌマエビなど、底にいる小型の生体を飼育している場合は、手で追い払いながら慎重に作業してください。
ミナミヌマエビは好奇心旺盛かつ逃げるのも遅いため、ホースを近づけるとソイルにしがみつきながら餌を食べていることがあります。
エビを飼育している方は特に注意を払い、可能ならば作業前に避難用の水槽へ隔離することをおすすめします。
注意点その3:この方法は水質の急変を招きやすい
最後は先述の通り、ソイルは水質を調整する役割もあるため、除去や交換したりすると水質が急激に変わることがあります。そのため、水質の変化に弱いデリケートな生体(特に淡水エビなど)がいる水槽にはあまり向いていません。
実際、今回ソイルを交換した直後にミナミヌマエビが全滅しかけました。同じメーカーのソイルでも、吸着性の違いで水質に及ぼす影響は異なりますので注意が必要です。
- 1回に交換するソイルは1/4~1/8程度に抑える。
- 交換前の飼育水で避難水槽を作り、生体を一時退避させる。
- 作業後は時間をかけてゆっくりと水合わせを行う。
- 作業前後に試験紙で水質をチェックする。
- 水質の変化が大きい場合は避難水槽での飼育を続ける。
【水質変化が敏感な生体がいる場合】
など、生体に対して手厚いケアをすることが非常に重要です。
というわけで、今回はここまで。次回はこのベアタンク水槽にソイルを投入していく様子を紹介します。
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