水を張ったまま底砂を入れてはいけない4つの理由
「水を先に張ってから底砂を入れてもいいだろう」と思ったことはありませんか?
わたしも経験の浅いころに、この過ちをおかし魚たちをびっくりさせてしまったことがありました。
実際、水を張った状態で底砂を入れるのは、さまざまなトラブルを引き起こす原因となることがります。この記事では、前半は失敗談を読み物として、後半にてその理由を4つに分けて詳しく解説し紹介します。これから水槽を立ち上げる方や、リセット・リニューアルを考えている方はぜひ参考にしてみてください。
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アクアリウムを始めたのは、もう二十年も前のこと。
右も左もわからぬままスタートしたプレコ水槽も落ち着き始め、やっと心に余裕を持って見れるようになった熱帯魚店。そこで、小さなネオンテトラたちが群れになって泳ぐ展示水槽に目に留まる。きらめく青と赤のラインが「群れを成して」泳いでいた。
南国水槽と天変地異
ネオンテトラの白い砂
その姿に魅せられ、南国の水景の夢を見て、瞬く間にお迎えの話は進む。
準備したのは、余った大磯砂にかじられた流木、そしておさがりの水槽。なるほど、たしかにこれは彼らの故郷の再現だ。しかし、これではない、何かが決定的に違う。そう、私が求めていたのは爽やかな常夏なのだ。
そしてある日、底砂を変えようと決意する。目にとまったのは、粒の細かい真っ白な砂。指先に伝わるさらさらとした感触。これを敷けば白い砂浜ができあがる。泳ぐのはネオンテトラたち。きらきらと輝き、きっと光のカーテンのようになるはずだ。
高鳴る胸を抑えて古い砂を取り出し、真新しい白砂を洗おうとしたが、すぐにくじけた。何度すすいでも濁りが取れず、バケツの水はいつまでたっても白く濁ったまま。時間をかけて透明な水になったとき、とうとう私は手を抜いた。白砂をカップにとり、そのまま水槽へ注いでしまったのだ。
パニック
瞬間、世界が崩れた。
わずか1カップ。細かな砂が雪崩のように落下し、あっという間に水槽内は薄く白濁りした。舞い上がる砂煙の中、ネオンテトラたちが右へ左へと逃げ惑う。水面に跳ね、底へ潜り、ついには全員がスポンジフィルターの裏に集まって動かなくなった。
悪い兆候。細かな砂とはいえ降り注げば、小さな魚たちにとって天変地異。逃げる場所もないと受け止めらパニックになって当然なのだ。わたしはすぐさま作業を中断し、急いで魚たちをバケツへ救出した。
何度も何度も透明になるまで、水槽の水を抜き、白砂をひと握りずつ敷き直して水を注ぐ。濡れた床、冷えた指先、砂で傷ついた爪。ようやく白砂が落ち着き、澄んだ水に包まれたとき、ほんの少しだけ救われた気がした。
満を持して、バケツの中でじっとしていたネオンテトラたちを再び水槽へ戻す。泳ぎ出した彼らは最初こそ警戒していたが、やがて水の上を静かに泳ぎはじめた。その姿に、平謝りすることしか、わたしにはできなかった。
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というわけで、水を張ったまま底砂を入れるのは、なるべく避けましょう。
その理由は以下の通りとなります。
水を張ったまま砂を入れると?
癒しの水槽のはずが中が見えない
底砂を水中に直接投入すると、ソイルや砂利に含まれる微細な粒子が水流によって舞い上が、水槽全体がまるで泥水のような状態になることがあります。これは、底砂に非常に細かく軽い粒子が含まれているためです。そのため、フィルターの性能が低いと、一度濁ってしまうと数日経っても沈殿せずに一向に透明にならないもあります。本来なら見て癒される身近な水辺のはずがただの泥水になり大きく景観を損ねることになります。アクアリウム初心者さんなら、きっと大きな躓きと感じるでしょう。
フィルター目詰まりの原因に
見た目の悪化ばかりではありません。勢いよくバラまかれた濁り成分は漂い続け、やがてフィルターに流れ込みます。粒子はウールマットなどで漉しとられ水は透明さを取り戻すことになりますが、半面それらろ材に付着されるため、目詰まりを起こす原因になります。このようにしてろ過効率が著しく低下し、フィルターの性能が落ちると結果的に水質の悪化招くこともあります。
また、フィルターのインペラーに鋭い砂粒が入り込むと、動作不良や故障のリスクが生まれたりもします。
たかが濁りですが、長期的に見ると非常に大きなリスクとコストにつながるため、最初から避けておきたいポイントだと言えるでしょう。
水槽全体の掃除が大変になる
さて、舞い上がった粒子が広範囲に散り、水槽全体に濁りや汚れが広が、フィルターによって漉しとられ、これが目詰まりを起こすことになるのは、先に述べた通りです。では、もしひどい濁りが起きてしまったらどうすればいいのでしょうか? そう、掃除です。
こまめな水換えはもちろんのことフィルターやヒーター、さらにはアクセサリーやパイプ類など、多岐にわたる掃除が必要となるでしょう。ここまで作業量が多いと、もはや大掃除だと言えるレベルです。もし、これが立ち上げ初期の水槽なら、アンモニア・亜硝酸のほかに濁りまで管理しなくてはならず、気疲れの原因になることあるかもしれません。
水景の悪化と生体へのストレス
水を張ったあとに底砂を入れると、魚にとっては頭上から砂粒が降り注ぐことになります。
人間からみれば見た目の水景を損ない、水槽全体の美観が大きく悪化しただけですが、魚にとっては違います。濁りで視界が遮られ、頭上から物が落ちてくれば、パニックにならないはずがありません。結果として、導入当初の魚がいた場合は、環境の変化に敏感でストレスがかかりやすく、無用な負担となってしまいます。
まとめ、ただし例外もある
というわけで、水を張ったあとに底砂を入れると、立ち上げ時のトラブルが一気に増えるのです。反対に、最初に底砂を敷いてからゆっくり水を注ぐことで、濁りを最小限に抑え、水槽の初期メンテナンスを格段に楽にすることができます。
もちろん、いつか紹介したように、プロホースのパイプでソイルをピンポイントで送り込めばこの限りではありません。しかし、水槽をスタートしたばかりなら、なるべく水を張ったまま底砂を入れるのは避けましょう。
というわけで今回はここまで。長文読んでいただきありがとうございした。
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