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2025年6月29日日曜日

水槽の底床掃除のタイミングはいつ?生き物を育てる深さを知った物語

水槽の底床掃除のタイミングはいつ?

底砂の掃除って、どのくらいのペースでやればいいの?――アクアリウム初心者が必ずと言っていいほど悩むこの問題。実は、魚の種類や水槽の状態によって、最適な頻度は大きく変わってくるんです。

今回は、この問題についてストーリーで紹介したいと思います。

**********************************

(これは20年前の物語)

最近、ケータイ片手に、「熱帯魚 底砂 掃除 頻度」と検索することが多くなっていた。



生き物の世話をする難しさ


ふと拾った情報から

立ち上げたばかりの30センチ水槽。毎晩、プロホースで底を撫でるように掃除していたけれど、それが「よくない」という情報を見つけてしまったのだ。

“底床掃除のしすぎはダメ”

でも、お師匠様は汚れが溜まる原因になるからと、毎日掃除すべきだと教えてくれた。

「なのに、なぜ? どうして?」

混乱したわたしは、すぐさま連絡を入れた。お師匠様とわたしが呼ぶその人物は、アクアリウムの先生であり大学の友達だ。



頭から離れない根拠

国道沿いの大きな熱帯魚ショップ。入り口前で手を振っているのがお師匠様。つい最近も一緒に来たはずなのに、店が近づくにつれて笑顔がこぼれてくる。今日もご機嫌のようだ。

「ハーイ? なにかな? ふーん、今日も問題が起きたような顔だね」
「はい……毎日、底砂を掃除してたんですが、それってやりすぎなんじゃないかって」
「ふむ、どうしてそう思うんだい?」
「底砂内の微生物の生態系が崩れるとか……硝化細菌が住みつくし、掃除しすぎると水質が不安定になるって、聞いたから……」

「なるほどなるほど」と、わたしの話を静かに受け止めると、手招きして店の奥へとゆっくり歩き出した。
わたしも後を追いかける。たどり着いた先にあったのは、大きなガラス水槽。
その中を悠々と泳ぐのは、黄金色に輝くアジアアロワナ。

「それで、キミはこれについてどう思うんだい?」

驚いた。底砂が――ない。



ベアタンク

「ベアタンクだよ」

底砂が一切なく、床のガラスがむき出しのこの水槽は、ベアタンクというらしい。
今度はアロワナの悠然とした泳ぎを見つめながら、店舗の集中ろ過につながっている方のパイプを指さした。

「底砂掃除が大変な魚では、こうして最初から使わないこともあるんだ」
「でも……水質は安定してるんですか?」
「それを見越して、ろ過を強化してあるからさ。だって、そうだろう?」

彼の説明は続く。

もし底砂を入れることで汚れがたまり、掃除の手間やリスクが大きくなるなら――最初から入れなければいい。
その代わり、水を浄化するろ過の力を別の方法で強めておけば問題ないじゃないか、と。

「キミも、底床はろ材の一種だって言っただろう? だったら、大きなろ過装置を用意して、本物のろ材を増やせばいいじゃないか」

たしかに、理にかなっている。でも、わたしは不安だった。掃除と魚の命を天秤にかけて試していいものなのか。
お師匠様は、そんな思いを見透かしたように口を開いた。

「たしかに底砂には硝化細菌がいる。だけどね、底面ろ過でもない普通の水槽で、どこまで底砂が生物ろ過に貢献してるのか――実はまだ、詳しくわかっていないんだよ」



正しさより大切なもの

「だから、キミはこう考えればいい。汚れが気になるなら掃除をすればいいし、バクテリアへの影響が気になるなら控えればいい。大切なのは、“本当か嘘か”じゃない。“影響の大小”なんだよ」

途端に話が分からなくなったので、踵を返すように返答した。

「それはつまり、どういうことですか?」
「今の話では、掃除の頻度や加減ってことさ!」

お師匠様は、正面の水槽を見つめながら続けた。

「この界隈じゃ、科学的な根拠が独り歩きすることがあるのさ。でも、魚を飼うってそういうことじゃない」

その言葉に、わたしはドキリとした。

「目の前の水槽を見るのさ。本やネットの情報も大切だけどさ」
「でも、根拠のある情報があるわけで……」
「言いたいことはわかるよ。でも、化学の実験じゃないんだ。」

前髪をかき上げて現れたのは、真剣なまなざしだ。

「水槽は生態系の絶妙なバランスがもたらした世界。今の人間の科学力では、1から10までつまびらかに解明されていないんだ。例えば、水槽の立ち上げを失敗しかけたとき、キミはどうしたかい?」
「毎日の水換えです」
「根拠に則れば、放っておけば多少早く硝化細菌が増えたはずだよ? それでも、キミは水換えをしたわけだ。どうしてだい?」
「それは……、プレコが大切だからです」

ここにきて、なんとなくお師匠様の真意が分かったような気がする。

「なら、エビデンスに振り回されるより、ケアする相手を見つめる方がは遥かに大切だと思わないかい?」

画面の向こう側にある「正解」を探すより、目の前の魚を見て考えろ、ということを言いたいのだ。情報はあくまで道具。使うのは、飼い主の目と頭だということを。

「魚の命を預かってるのは、キミだよ?」
「そんな! プレッシャーかけないでください!」

わたしだって知っている。魚の一挙手一投足で右往左往する、あの胃が居たくなるような日々を。
よほどむっとした顔をしたのだろう。途端、笑顔が零れ落ちた。

「あはは、ごめんごめん。大丈夫、ボクも悩んでばかりだからさー。もちろん、根拠や科学的な考え方は大切さ。ただ、それでも間違えることもある。

そして、話をこう締めくくった。

「だから、水槽を観察するのさ。それに、二人で悩んだほうが気が楽だろう?」

満面の笑みに、わたしは静かにうなずいた。ケータイをポケットにしまい、水槽の中でゆったりと泳ぐプレコを思い浮かべる。その泳ぎが、少しでも穏やかであるように。



まとめ

さて、ストーリーでは伝え忘れてしましましたが、基本的な目安は、2~4週間に1回と言われています。
これだけ聞くと「意外と少ない?」と思うかもしれませんが、これはあくまで一般的な基準。水槽の“中の住人たち”が誰かによって、もう少し丁寧な調整が必要です。

たとえば、立ち上げ直後の新しい水槽では、バクテリアのバランスが不安定なため、底砂を強くかき回す掃除は控えめにしましょう。下手に手を加えることで、かえって状況が悪化することもあります。

一方、中型魚や金魚を飼育している水槽では、フンの量が多く底砂が汚れやすいため、1~2週間に1回の掃除が理想的。汚れが蓄積する前に、こまめなメンテナンスが必要です。

さらに要注意なのが、プレコやポリプテルスなどの“底モノ”たちです。
彼らは水槽の底が生活の場そのものであり、フンの量も桁違い。毎日とは言わなくても、最低でも1週間に1回、できれば数日に1回の掃除を意識したいところです。彼らがいつも清潔な環境で暮らせるよう、飼い主の愛情が試される場面でもあります。

「汚れてから掃除する」のではなく、「汚れる前に手を入れる」くらいがちょうどいいのかもしれません。とにかく、水槽に正解はありません。魚たちが快適に過ごせるよう、底砂掃除もよく考えて行いましょう。



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