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2018年1月15日月曜日

化学式でわかる大磯砂で硬度が上がる理由、クエン酸で溶ける理由

大磯砂とクエン酸で酸処理したときの化学式

((2024/10/20 編纂・修正)

今回は、大磯砂が硬度(GH、KH)とpHを上昇させる理由と、それをクエン酸で処理したときの化学式について紹介したいと思います。



大磯砂が硬度を上げる理由

まず、お断りをしておきたいと思います。
わたしは残念ながら化学系の人間ではありません。そのため、うわべだけの化学式しかわかりません。もちろん、修正をかけるたびに入念にリサーチをするのですが、それでも毎回新しい知識を学んでいる状態です。悪しからず。



貝殻の主成分は炭酸カルシウム

それでは、まずは硬度を上げる理由について。
大磯砂には微細な貝殻が含まれており、その成分は炭酸カルシウム(CaCO₃)となっています。これが水に溶け、カルシウムイオン(Ca²⁺)が生まれるのが、GHを上げる原因です(GHの意味は後述)。また、同時に生まれた炭酸イオン(CO₃²⁻)は、さらに水と反応して2つの水酸化物イオン(OH⁻)を生じさせます。そのため、炭酸カルシウムは弱アルカリ性を示します。

CaCO₃ → Ca²⁺ + CO₃²⁻ 
CO₃²⁻ + H₂O  →  HCO₃⁻ + OH-
HCO₃⁻ + H₂O  →  H₂CO₃ + OH-

が、しかし、実は炭酸カルシウムはほとんど水に解けません。
25℃の水1Lには、なんと13mgしか溶けてくれないのです。とはいえ、現に水槽で貝殻は溶けますので、もっと別のものが反応に関わっているのです。

そう、二酸化炭素です。



炭酸カルシウムでGHは?KHは?

ここで、中学校での石灰水を使った実験を思い出してください。
ビーカーにストローを入れ、息を吹き込むと白く沈殿しますが、さらに続けると透明になります。これは、水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)が二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとして沈殿。さらに、それが水と二酸化炭素に反応し、溶けやすい炭酸水素カルシウム(Ca(HCO₃)₂)になったからです。

Ca(OH)₂ + CO₂ → CaCO₃ + H₂O 
CaCO₃ + H₂O + CO₂ → Ca(HCO₃)₂

水槽では、2段目の式のように、炭酸カルシウムは水と二酸化炭素に反応し、水に溶け込んでいます。なぜなら、水が豊富にあり、また魚が常に鰓呼吸で二酸化炭素も常時排出しているからです。

が、話はこれだけでは終わりません。知っておきたいのは、水に溶けたその先です。そもそも水に溶けるということは、どういうことなのでしょうか? これは、電離してイオンになるということです。では、炭酸水素カルシウムはどうなるのでしょうか?

Ca(HCO₃)₂ → Ca²⁺ + 2(HCO₃⁻)

カルシウムイオンと、炭酸水素イオンが生まれました。

GH(総硬度)とは、マグネシウムイオンとカルシウムイオンの総量です。そのため、カルシウムイオンが増えれば当然上昇します。また、KHはどうでしょうか。便宜的ですが、KHとは炭酸水素イオンの量のことです。こちらもまた、上昇することになります。これでめでたしめでたし、とはいきません。

まだまだ話には続きがあるのです。
(GH・KHについて、詳しくは こちらの記事の最後部で記しました。)



炭酸カルシウムがもたらす緩衝作用

ここからは、カルシウムイオンではなく、炭酸水素イオンについての話となります。
このイオンは、実はpHの上昇・下降を抑える緩衝作用というものを有しています。

もし、水素イオン(H⁺)が増加しても、炭酸水素イオンと中和されて炭酸が生まれます。炭酸はそのままの形を留めるのが難しい物質ですから、さらに反応は進み、水と二酸化炭素になり、水槽外へと出ていきます。結果的に、pHの変化は起きません。

H⁺ + HCO₃⁻ → H₂CO₃ → H₂O + CO₂

逆に、水素イオンが減少すればどうでしょう。空気中から二酸化炭素を取り込み、炭酸となり、さらに炭酸水素イオンと水素イオンが生まれます。こちらも結果として、pHの変化は起きません。

H₂O + CO₂ → H₂CO₃ → H⁺ + HCO₃⁻

なお、この現象は空気と水のCO2濃度差をもとにした拡散によるものなので、たとえエアレーションでせっせとエアを送っても、肝心のCO2濃度は限定的だと言えるでしょう。

さて、上下の式は右にも左にも動くので、合わせて書くと以下の通りになります。

H⁺ + HCO₃⁻ ⇔ H₂CO₃ ⇔ H₂O + CO₂

これは、可逆式であり、これこそKHが持つ緩衝作用の根源となっています。



炭酸カルシウムとクエン酸を混ぜると……

ところで、pHを弱酸性にするのがキモでもある水草水槽において、炭酸カルシウムの水素イオンを中和し、pHを緩衝する力(=KH)が大いに邪魔者になります。
そのため、ソイルの出番となるのですが、世の中には「消耗品」という単語が大っ嫌いな人種もいます。
なんとかして、ソイルを使いたくない! そのような話の中で生まれたのが、大磯砂からKHやpHを上昇させる貝殻(炭酸カルシウム)を溶かし出してしまおう! という発想。

つまり、クエン酸の酸処理です。



クエン酸の化学式は? 炭酸カルシウムが酸にとけると?

まずはクエン酸の化学式(示性式)から紹介していきます。

C(OH)(CH₂COOH)₂COOH

なにやら長いですが、これがクエン酸の化学式です。
これが、水に溶けて電離するとどうなるのでしょうか?

C(OH)(CH₂COOH)₂COOH
→ C(OH)(CH₂COO⁻)₂COO⁻ + 3H⁺

上のように、3つあるカルボキシル基(-COOH)から3つの水素イオンが電離します。このようにして、1つのクエン酸からたくさんの水素イオンを出すので、水に溶けると酸性になるということになります。

では、この水溶液に炭酸カルシウムを入れるとどうなるのでしょうか?
こちらは水に溶けないと冒頭で記しましたが、酸の力があれば話は別です。普段は水に溶けにくくても、ごりごりと水に溶かし込むことができます。

CaCO₃ + 2H⁺ → Ca²⁺ + H₂CO₃

水素イオンがカルシウムイオンと炭酸水素イオンの間に割って入り、炭酸(H₂CO₃)が生成されてカルシウムイオンが残りました。ではカルシウムイオンはどうなるのかというと……(
次パートへと続く)



カルシウムイオンがクエン酸と結合すると・・・

さて、本来ならば化学式は全てまとめて書くべきものです。しかし、クエン酸の化学式が長いため、スマホ画面では分かりづらさを助長していますので、カルシウムイオンと炭酸が、それぞれどのような反応をするのか述べていきたいと思います。

まずは、カルシウムイオンの行方です。結果を言えば、こちらは水素イオンを出したクエン酸と結合し、クエン酸カルシウムとなります。

3Ca²⁺ + C(OH)(CH₂COO⁻)₂COO⁻
→ Ca₃[2C(OH)(CH₂COO-)₂COO-]₂

各分子の前後の数に注目してください。3や2という数字が入っています。これは、2つのクエン酸で、3つのカルシウムイオンを挟むようにして結合し、1つのクエン酸カルシウムを生じるからです。とにもかくにも、水に溶けにくい性質になりますから、白濁して小さな結晶混じりの液ができます。

次は、炭酸に着目したものとなります。炭酸は不安定であり、すぐに水と二酸化炭素に変わります。式にすると以下の通りになります。

H₂CO₃ → H₂O + CO₂

結果、ブクブクと泡が発生することになります。



今までの式をまとめると……

最後に、式をまとめてみましょう。

3CaCO₃ + 2C(OH)(CH₂COOH)₂COOH → 
Ca₃[2C(OH)(CH₂COO-)₂COO-]₂ + 3H₂O + 3CO₂

これを言葉にすると……
大磯砂をクエン酸で酸処理すると、二酸化炭素をブクブクと発生させつつ、クエン酸カルシウムの結晶で白濁した液体が生まれます。
が、実際にはそればかりではありません。すべての水素イオンとカルシウムイオンが反応するとは限らないからです。結果、低pH・高GHの液体ができるということになります。

そのため、酸処理後の大磯砂は注意深く洗わなければなりません。

というわけで、小難しい化学式の話はここまで!
長文、読んでいただきありがとうございました。



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