サイフォンの原理と外部フィルターの関係
今回はサイフォンの原理について。
実は、前回の呼び水の話で使うはずのものだったのですが、実際に挿入してみると予想以上に文字数が多く、泣く泣く断念し、1つの記事として仕立てたものです。
なお、物理系ではない人間がサイフォンの原理を説明するという無理難題に挑戦しているため、ざっくりとした説明しかできておりませんし、誤りがあるかもしれません。悪しからず。
外部フィルターを理解するための2つの手がかり
原理の基本を水槽で考えてみる
さて、サイフォンの原理を理解するうえで最も大切な部分、その基本について述べていきたいと思います。
ここに2つの水の入った水槽AとBを用意します。これらの水面の高さを同じにして、さらに水で満たしたホースでつないでみるとしましょう。水槽をまたぐ1つの水の塊ができるわけです。
すると、双方の水面は等しい高さになろうとする現象が起きます。もし、水槽Aを10cm高くすれば落差が10cm生まれ、重力の働きで水が引っ張られ、AとBの水面の高さは等しくなろうとします。(水は溢れないものとします)。
もし、高低差を20cmにしても30cmにしても、必ず同じことが起きます。さらにはAとBの高さを入れ替えても、水面は等しくなるでしょう。
この現象を起こしているのが、サイフォンの原理です。
ここで、水が鎖と似ていることをストローで考えてみる
ここで、ストローを思い浮かべてください。
頬を膨らませ水を吸えば、引っ張られ口の中に入ってきます。当たり前かもしれませんが、筒の中で水がバラバラになり空気が混じり引けなくなることはありませんし、途中で水が入ってこなくなることもありません。
例えば、掃除機で土を吸い込んだらどうでしょう? 散りぢりになり空気が混ざることになります。吸う力が強ければ全て回収できますが、弱ければ石や砂利は残るでしょう。では、水は? 注射器のような弱い力でも、1つの塊であれば全てを引いてこられます。水がチェーンのようにお互いを引く性質を有しているからです。
植物が根から水を吸えるのも、葉で光合成をして水蒸気を蒸散し、引っ張っているからだ、と言えば生物系の皆さんはすぐさま納得していただけることかと思います。
(呼び水を理解するにはプロホースが参考になる) |
考えを発展させ外部フィルターに当てはめてみる
プロホースで呼び水を考えてみる
さて、上の例ではストローを用いて、口で上方向に引っ張っていましたが、もしこれが重力で下方向だったらどうなるのでしょうか?
ここで最初の例を思い出してください。水でつながっているAとBの水槽は水面が等しくなろうとする、これがサイフォンの原理ですよね。もし、水槽Aと水槽Bの差が無限にあり、いつまでたっても水面が等しくならない場合、水は重力で引っ張られ続けることになるので、底をつくまで出続けることになります。
これはつまり、プロホースなどの水替え用器具で起きている現象です。
プロホースの話はさておき、外部フィルターはこの現象を用いて水をケース内に誘導する仕組みとなっています。水槽台にあるフィルターの底と水槽の水面の落差によって、水がフィルターケース内へと落ちていくのです。
しかし、この現象はただでは起きません。まずは、プロホースのポンプのように、サイフォンの原理が発動する起爆剤を用意する必要があり、これが「呼び水」と呼ばれるものです。例えば、内蔵されている呼び水装置でもいいですし、吸水パイプに口を付けて吸うのもいいでしょう。もちろん、優雅にエーハイム製のスターターでもいいです。
とにもかくにも、外部フィルターにおいては、ファーストステップとして水を落とし、サイフォンの原理で生じさせる必要があるのです。
外部フィルターでのサイフォンの原理
それでは、呼び水後の水の動きはどうなるのでしょうか?
サイフォンの原理が動き出したら、水面の高さが同じになるまで落水が続きます。しかし、プロホースのように無限に水が落ち続けることはありません。なぜなら、そこには蓋のないバケツではなく、入る量の決まった密閉容器の外部フィルターがあるからです。
水はやがて外部フィルターのケースを満杯にします。しかし、それでも水の勢いは止まらず、排水ホースの中を駆け上っていきます。このままパイプから出てくれればめでたく永久機関の完成となりますが、物理の世界はそう甘くはないようです。水は排水パイプ内の途中で、水面と同じ高さで止まることになります。
これは、外部フィルターと水槽の間に働くサイフォンの原理によるものです。冒頭の水槽Aと水槽Bの関係と同じで、それぞれの水面の高さが等しくなったというわけです。となれば、ポンプの力は壁面を越えるだけに使われているとも言えるでしょう。
もっとも、実際はそうではなく、水槽内に水流を作り出すための強心臓を持ち、フィルター内の水をよどみなく循環させています。
(説明ここまで)
最後に、もし理論より実験が好きな人であれば、水を入れたタライやバケツを用意し、水を満たしたエアチューブやホースでつなげてみることをおすすめします。サイフォンの原理をいともたやすく理解できるはずです。
というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。
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