2025年7月28日月曜日

30cmキューブ(27L)にするか45cm水槽(32L)にするか

30cmキューブか45cm規格水槽か

小さめの水槽がほしいけれど、どれを選べばいいの?

そんな悩みを持つ方は意外と多いものです。

見た目のかわいさ、置きやすさ、水量の違い……水槽のサイズひとつで飼育の快適さは大きく変わります。
今回は、人気の30cmキューブ水槽と近い水量の45cm規格水槽について、それぞれの魅力と違いをストーリーで紹介します。

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(これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語)

たとえ5cmのセルフィンプレコでも、わずか数か月で大きくなる。
そうなったとき、本当に手に負えるのか?

そう忠告を受けたこともある。
実際に、熱帯魚店の大型肉食魚の水槽では、行き場を失ったプレコたちが飼い主の手を離れ、コケ取り係として入れられている。
確かに、傍から見ればそれが大きな問題に映るだろう。

だが、わたしが直面した問題は、それとは大きく異なっていた。



新たな水槽で、ついに水量アップ!



直面した問題

問題は水質だ。
たかが20Lの水量と、それに見合ったフィルターでは、ろ過が追いつかないのだ。
硝酸の試験紙で測定しても、それほど高濃度を示さない。
しかし、茶ゴケや緑ゴケの繁茂がいよいよ酷くなり、水面には泡が残り始めた。

外掛けフィルターに外部フィルター。
小型魚を飼うのであれば、これで十分だろう。
しかし、将来中型?大型になると言われているプレコが食べ盛りを迎えれば、もはや力不足は否めない。

そろそろ、わたしのプレコ計画を次のステップへと進める時期が来たようだ。

その結論に至ったとき、わたしの計画は動き出した。
行きついた考えは2つの”改善”計価格。
一つはろ過の強化。これは、以前購入したエーハイムエコS(2231)で対策済み。

そして、もう一つは……



セルフィンプレコと水槽サイズ

「うんうん、よく相談してくれたね♪」

今日一緒に来たのはロゼッタ。
わたしの水槽のお師匠様であり、善良かつ人畜無害な野次馬的存在だ。
常に的確なアドバイスで、わたしをここまで導いてくれた。

後期授業が始まってから数か月。
空が澄み渡り、からりとした風が肌をなでる。
落ちた桜の葉をまとった秋の風は心地よく、若い二人はテンポよく足を進めた。

――カラカラカラッ!

だが、店内は常夏だった。
メガネ姿のお師匠様のレンズは、たちまち水蒸気で曇り、視界が遮られてしまった。

「はぁぁ……コンタクトを忘れなきゃよかったよ……」

嘆くロゼッタをよそに、わたしは一人で先へと進む。
今日ここに来たのは、新しい水槽を選ぶためだ。

ここのところ、プレコ水槽の水質悪化が目に余るようになってきた。
そこで、お師匠様と相談のうえ、水槽の交換を計画することにした。

水量が増えれば、水が汚れるスピードも落ちるし、大きなフィルターも使えるようになる

お師匠様はにまっと笑い、大きなアグアプレコが泳ぐ水槽の前で、話を始めた。

「本来なら60cm規格水槽をおすすめしたいところだけど、君の理想は何だい?」

「やっぱり……その、いろんな子がいるマンション的なプレコ水槽です」

「そうでしょう、そうでしょう。きっと、そう言うと思っていたんだ♪」

ショートヘアを手ぐしで整え、クッとメガネフレームを持ち上げて毅然と言った。

「だからこそ、今は60cm規格水槽はやめた方がいいと思うんだ」

「どうしてですか?」

セルフィンプレコは人馴れし、餌付けも済み、まさに育ち盛りだ。
確かに、数センチ大きくなり、胴回りも太くなってきた気がする。

「本来ね、セルフィンプレコは本来もっと大きくなる魚なんだ」

いくら大型魚とはいえ、自分の生命を脅かすまで大きくなることはほとんどない。 20Lの水槽だからこそ、いまは10cm程度で収まっているのだと、ロゼッタは人差し指を大きく振って強調する。

「もし競合相手がいない状態で60cm規格水槽に入れたら、爆発的に大きくなってしまうだろうね……」

アグアプレコはこちらを威嚇するように尻尾を振り、ゆっくり流木の陰に身を潜めた。

なるほど、そういうことか。
今セルフィンプレコが大きくなりすぎれば、将来ほかのプレコが住むスペースがなくなる。
わが家のあの子には申し訳ないが、それでは困るのだ……。

「その点を踏まえたうえで、おすすめの水槽を二つ提案するよ」

ロゼッタは店の入口付近にある水槽売り場へと向かった。

・8年前にあった30cmキューブ「ハイタイプ」。
立体感と高さのある不思議な水槽だった。
水量は45cm規格水槽とほぼ同じ。


新たなる問題

秋とはいえ、アクアリウムショップの中は暑い。
湿度と、新しい水槽への期待で、じっとりと汗をかく。
すべてがうまくいけばいいのだが。

たどり着いた売り場には、所狭しと水槽が並んでいた。
この中の一つが今日わたしのものになると思うと、胸が高鳴り、息が荒くなる。

そんなわたしを察してか、お師匠様は時折宙を見つめながら、慎重に言葉を選び説明を続けた。

「一つは、今流行りの30cmキューブ水槽」

30cmキューブ水槽、水量約27L。
一辺が30cmの立方体で、ずんぐりとした可愛らしさが特徴だ。

「ほら、こうしてほかの水槽をと比べてみるとどうだい?」
「あ……、30cmキューブだけ目立っているような気がします!」

すべての水槽はガラスかアクリルという透明素材でできているが、立方体という形状だけで、視覚的なアピール力が段違い。そのため、水草水槽との相性も抜群だと言う。

「エッジが立ってて、どんなインテリアにも埋もれないんだ~」

「なるほど……、なんというか、おしゃれなんですね?」

「そういうこと♪」

そして、細い腕を組み、得意げな顔で話をまとめた。

「でも、今の20L水槽と比べると、水量があまり変わらないのが気になるかもね」

なるほど。
流行ってはいるが、わが家の課題は解決されそうにない。
では、もう一つの選択肢は……?

「そして、もう一つは45cm規格水槽だよ」

45cm規格水槽、水量約32L。
横幅45cmのこの水槽は、縦横の比率が黄金比で構成されており、周囲と調和しつつ、美しく見えるのが特徴だ。

「この黄金比というのがすごいんだ。水景がすっごい映えるんだよ?」

曰く、この比率は、本や名刺、ディスプレイなどにも応用されているらしい。

「じゃあ、欠点はないんですか?」

「そうだね、いわゆる『水槽』だから、ちょっと地味なのが問題かなぁ……。

そうなのだ。
確かに、オールガラスでフチはないが、学校にあったあの水槽と同じ雰囲気を醸し出しているんのだ。
とは言え、水景が映えるのはありがたく、何かと水槽内が地味になりやすいプレコ水槽にとっては、ぴったりだ。
さらに、今より水量も15L増える。

しかし、両方の水槽を見て気になることがあった。

(お師匠様!? お金が……足りないです)

弾ける水音、蒸した店内。
額から流れた汗が首筋をつたって背中へ落ちる。
わたしはじっと固まったまま、水槽を見つめた。

(予算オーバー。ここは、断るべきか……)

新しい水槽を買えば、これから用意するものが山ほどある。
ライト、ヒーター、エアポンプ。
すべて水槽サイズに合ったものが必要だ。

「これは困ったな……」

そうつぶやいたのが、すべての始まりだった。
あるいは、視線が一点に集中しすぎていたせいかもしれない。

「んふっ!」

すべてを看破したロゼッタは吹き出し、肩をすくめた。

「もぉ、予算が足りないなら、カッコつけてないで早く言ってよぉ~」

ロゼッタは軽く手を叩き、ぐいっと二の腕をつかんできた。

「はいはーい、よりリーズナブルなものをお求めの方はこちらでーす♪」

二つのオールグラス水槽の値札とにらめっこしていたわたしは、拍子抜けしそうになりながら引っ張られ、店外へと連れて行かれた。

・上の写真を撮った数か月ごにこちらの45cm水槽と交代。
両者を見比べると、やはりこちらの方がしっくりくるか。


住めば都?

今、新しい水槽の準備をしている。
新品を破格で手に入れたのだ。

黒色のフチあり45cm規格水槽。
たったの1980円だった。

もちろん、店外にうず高く積まれ、排気ガスにさらされていた水槽に手を出すには勇気がいった。
だからこそ、今、丁寧かつ入念に洗浄している。
幸い、傷もなく、汚れはすべて水だけで落ち、埃の中から美しい水槽が姿を現した。

洗浄中、たしかに黒いプラスチックのフチは気になった。
だが、水を張ってしまえば、オールグラスだろうとフレーム水槽だろうと、黄金比は変わらない。

それに、まだわたしには買わなくてはならないものが山ほどある。
だから、この水槽はまさに渡りに船だったのだ。

最後にセーム革で丁寧に拭き上げる。
さあ、新しい水槽のある日々は、もうすぐだ。



まとめ

水槽のサイズ選びに迷ったことはありませんか? 
最後は、小型水槽の代表格「30cmキューブ水槽」と、やや余裕のある「45cm規格水槽」の違いや、それぞれの魅力について、ストーリーをまとめつつ紹介したいと思います。

まず、30cmキューブ水槽は、一辺30cmの立方体。見た目がコロンとかわいらしく、部屋のインテリアとしても映えるのが魅力です。
水量はおよそ25リットルと控えめですが、立方体の形状によって奥行きと高さが生まれ、水草やレイアウトに立体感を出しやすいのが特長です。
小型魚やエビ、水草中心のレイアウトにぴったりなサイズ感で、初心者さんにも扱いやすい水槽です。

一方、45cm規格水槽は、横幅が45cm、縦横比が黄金比(1:1.618)に近く、見た目のバランスがとても美しいサイズです。
水景が綺麗に見えるのも良い点です。

しかし、学校の水槽と同じ形のため、どこか見慣れており新鮮味が感じられないかもしれません。

しかし、水量は約35リットルと30cmキューブよりも10リットル多く、そのぶん水質も安定しやすくなります。
また、やや大きめのフィルターやヒーターも使いやすくなるため、小~中型魚の飼育や、将来の拡張性を考える人にとって心強い選択肢になります。

どちらが優れているというよりは、目的や飼いたい魚に合わせた選び方が大切です。見た目の可愛さとコンパクトさを求めるなら30cmキューブ、水量アップや安定性、ゆとりを求めるなら45cm規格水槽。あなたのアクアリウムにぴったりのサイズを、じっくり選んでみてはいかがでしょうか?



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