2025年7月18日金曜日

スポンジ1本より掃除簡単でろ過も強力?ツインブリラントフィルター

ろ材が2倍!? 以上に便利なとある構造

水槽のろ過をもっとパワーアップしたいけれど、お手入れも簡単にしたい――そんな人にぴったりなのが「テトラ ツインブリラントフィルター」です。縦に並んだ2つのスポンジで、ろ過力も使いやすさもぐっとアップ。

今回はストーリーで、そんなツインブリラントフィルターの紹介をしたいと思います。

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(これは20年前とフィクションが織りなす不思議な世界の物語)

最近、なんだか妙に気になることがある。

わが家の水槽で使っているブリラントフィルターのスポンジが、以前よりも硬くなった気がするのだ。



プレコとスポンジと私


スポンジの異変

手にとって洗うと、弾力というよりは、中心にしこりがあるような違和感がある。
しかも最近は水流が弱くなるのも早くなり、週2回のメンテナンスを余儀なくされている。

バケツに水を張り、いつものように揉み洗いをする。
ぶわっと、茶色い何かが広がった。

ゴミ? それとも硝化細菌?

濁って、底に沈むような微粒子の層。これは、いったい何なんだ?

「プレコのせいか……?」

思わず口に出していた。

セルフィンプレコを飼い始めて、はや数か月。
大きさこそ変わらないものの、環境に慣れたのか、日に日に食べる量が増えている。
1日1回、1/4に割ったプレコタブレットでは物足りないのか、消灯するとすぐにガリガリと流木を削る音が聞こえてくる。

だが、あの大きな体で、こんなことが起こるものだろうか?
それとも、わたしの管理が甘かったのか――。



リグニン

ある日、午後の陽射しが傾きはじめた頃、わたしとロゼッタは電車をいくつも乗り継いで、とある街へ向かった。
青いラインの入ったアイボリーの電車を降りると、ホームの大きなガラス窓から夕日が差し込み、白い車体はオレンジ色に染まっていた。

帰宅ラッシュ前の静寂の中、白くて厳かな階段を降りて地下へ向かう。
道すがら、以前入った水草がゆらぐ美しい店の前を通り、90度の角を曲がって地上へ出る。
今日は、いつもと違う店に行くらしい。

「さっきの店と次の店、すごく近いから、覚えておくとショップ巡りがはかどるよ」

言われるがまま、神社を裏から抜けて鳥居をくぐり、横手にあるビルに入った。

「さあ、ここさ! ちょっと小さいけど、すごく充実してるんだよ?」

そこには、小さいながらも水槽器具や魚、水草でぎっしりと埋め尽くされた空間があった。
グリーンの大きなフィルター、かまぼこ型のライト、青いライトに照らされたサンゴ水槽。見慣れないものばかりで心が弾む。

が、ふと、目の前に置かれたスポンジフィルターと目が合った。
夢のような場所まで来て、こんな相談をするのは気が引けたが、意を決して聞いてみることにした。

「そういえば……、スポンジが硬くなって、すぐ詰まるんです。掃除すると茶色いものが出てくるんですけど……」

「……うん?」

最初こそ乗り気ではなかったが、事情を話すと、わたしの水槽の師匠はふっと笑った。

「それはね、たぶんスポンジの目が詰まってるのかもしれないね」
「でも、週2でちゃんと洗ってるんですよ?」
「だって、キミの水槽にいるの、プレコでしょ? 木くずと言えども木は木。リグニンはそう簡単に分解されないのさ」

言われて、はっとした。

――そうだった。
プレコは流木を好んでかじる。だから、糞には大量の木くずが混じっている。
ここまでは、誰でも分かる。だが、ここから先が問題だ。

木の主成分の一つであるリグニンは、自然界でも非常に分解されにくい。
つまり、流木を食べた後の糞は、水槽内では消えることがないのだ。

「残念だけど、それが詰まりの原因だと思うよ」
「たしかに……それで、妙に硬くなっていたのか」

ロゼッタは頷いたあと、こう付け加えた。

20L水槽では、稚魚とはいえセルフィンプレコの存在はそもそも想定外。
外掛けフィルターとスポンジフィルターを併用しているが、ろ過にはかなりの負担がかかっている。フィルターをさらに強化したいところだ、と。

「でも、投げ込みや水中ポンプは入れたくないんです。見た目の邪魔になりますし……なにか、他にいい方法はありませんか?」

「あるよ♪ これさ!」



縦ふたつ

「ツインブリラントフィルターさ!」

満面の笑みを浮かべて指さした先にあったのは、見慣れない形のフィルターだった。

配色はいつものスポンジフィルターの緑。だが、黒いスポンジが2つ、“縦”に並んでいる。
キスゴムもパイプも、今使っているものとほぼ同じだが、構造がまったく違う。
ブリラントフィルターがL字型なら、こちらはW字型とも言うべきか……。

「これなら、ろ材が2倍。詰まりにも強くなるよ」

なるほど。
ろ材が2倍なら、詰まるまでの時間も2倍。もちろん、ろ過容量も2倍だ。

「さらにだ、パーツ類は同じで流量OK♪ 設置場所は……ええっと、まぁ、ちょっとこっちの方が場所をとるかなぁ」

たしかに。
今使っているスポンジろ材もキスゴムも、すべて流用できそうだ。
設置場所も、新たに探す必要はあるが、今のスポンジフィルターの位置でも何とかなりそうだ。

「それだけじゃないんだ。掃除のとき、すっごい便利なんだよ?」

言いながらロゼッタは、得意げにスポンジをつかんで上に引っ張る仕草をしてみせた。

「あっ……本当だ! 横じゃなく縦なら、上に引くだけで取れる!」
「そうなんだ! 今のって、横幅の狭い水槽だと、本体ごとはずさないとスポンジ取れないでしょ?」

L型スポンジのブリラントフィルターでも、横に引っ張れば簡単に取り外せる。
だが、それはあくまで広い水槽での話。

たかだか20Lの水槽では圧倒的に横幅が足りない。
結果として、キスゴムで固定された本体をいったん外してから、スポンジろ材を取り外すという2段階の作業が必要だった。

「……これなら、上に引っ張ってスポンと取るだけ。狭い水槽でも問題ない!」
「そうでしょう、そうでしょう♪」

わたしは、つい嬉しくて頷いてしまった。



流木の影に隠したもの

だが、そこでロゼッタが急に真顔になった。

「だけど、大きなデメリットがあるんだ」
「……え?」

「なんといっても、この形! 見てよ、スポンジとパイプでW型! すごいインパクトでしょ?」

たしかに、水槽の奥に設置すれば、かなりの存在感だ。
わが家はプレコ様メインなので気にならないが、水草水槽などインテリア性が重視される水槽では、大きな障害になるかもしれない。

師匠はショートヘアの毛先をくるくるといじりながら言った。

「だから、側面に設置する人も多いし、背の高い水草で隠す人もいる」

そして、にやりと笑った。

「……キミの水槽なら……そうだね、“アレ”で隠せるでしょ? 今回の原因♪」
「アレ……? あ、流木!」
「その通り♪ そういったストラクチャーで隠すのもありってことさ」

そして師匠は、こう話をまとめた。

「要するに、工夫次第ってこと♪」

そう言ってウィンクするその表情が、今日一番の輝きだった。



まとめ

テトラツインブリラントフィルターは、ろ過性能とメンテナンス性に優れたスポンジフィルターです。

最大の特長は、スポンジが“縦に2つ”並んだ構造にあり、従来のL字型ブリラントフィルターに比べて、ろ材容量が2倍となっています。これにより、目詰まりしにくく、ろ過能力が大幅に向上します。

加えて、スポンジが縦に配置されているため、掃除の際は上方向に引き抜くだけで取り外しが可能。横幅の狭い水槽でも本体を外さずにメンテナンスできるのは大きなメリットです。
現在使っているブリラントフィルターとパーツ互換性があり、キスゴムやパイプをそのまま流用できる点も利便性が高いです。

一方で、W型の形状ゆえに水槽内での存在感は大きく、特に美観を重視する水草水槽では配置に工夫が必要です。しかし、背の高い水草や流木などのストラクチャーでうまく隠せば問題ありません。工夫次第で高性能と美観を両立できるフィルターだと言えるでしょう。



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