2025年7月6日日曜日

エアカーテンからエアが出ない!エアの量が大切なんですという失敗談

泡が出ないエアカーテン? 小型ポンプで失敗! 正しい対策

水槽にエアカーテンを取り付けたのに、泡が出ない――そんな経験はありませんか?
わたしも小型ポンプで試し、結局大きなエアポンプをわざわざ買いに戻ったことがあります。

この記事では、その原因と正しい対策をストーリーとともに、紹介したいと思います。

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(これは20年以上前の物語)

気がつけば、45cm規格の水槽にポリプテルスの幼魚が3匹。
夜な夜なこちらの顔を見上げ、フリフリと踊ってくれる姿に、わたしはふと不安を覚えた。

梅雨が明けてから、部屋の温度は日ごとに上がり、今や夏本番。
どうにかしてこの子たちに、涼やかな風を贈ってやれないものか。

エアカーテン。それは前々から気になっていたアイテムだった。
水槽の底から立ち上る無数の泡が、水中に細かな波紋を広げる。
きっと、見た目にも涼しくて、水面を波立たせるのにもぴったりなはずだ。
けれど問題がひとつ。

いま、わが家にある強力なエアポンプは、プレコ水槽に出張中なのだ。

だからといって、この水槽のスポンジフィルターを取り外すわけにはいかない。
サブフィルターと交換だなんて、本末転倒なのだ。



シャラシャラ、夏の泡


夏の涼を求めて――エアカーテン設置計画

「そうだ!」

机の引き出しをひっくり返し、電源コードの山を掘り返す。
確か、以前30cmキューブ水槽で使っていた小さなポンプが、まだどこかにしまってあったはず。
あった。これだ!

早速、チューブをつなぎ、エアカーテンの片端に接続し、水槽の端に設置してみる。スイッチオン――

……沈黙。

泡が、出ない。

「あぁ、やっぱり……」

何度確認しても、ポンプはぶるぶると小さな振動を続けている。けれど、肝心の泡は、どこからも出る気配がない。



泡が出ない理由とは

その日の夕方、やってきたのは、わたしのアクアリウムの師匠様。
何を隠そう、わたしのすべての水槽は、この人の助言で立ち上がっているといっても過言ではない!!

「ふふ、それはね、エアポンプの力が足りないからだよ」

にやりと笑い、わたしの肩越しに水槽を覗き込んだ。

「だってそうだろう? これだけエアのカーテンが長いんだ。たくさんの力で押さないと、空気なんて出てこないだろ?」

そんなことはわかっている。
しかし、ただただ頷くしかなかった。
ついさっきまで、ポンプから出た空気は、ところてんのように押し出されて、そのままストーンから泡になって出てくるものだと、思っていたのだ。

でも、現実は違った。

「キミはね、水圧の力を軽く見すぎているよ」

たしかに。
わたしが何気なく眺めていたその泡のひと粒ひと粒は、実は水の重みに打ち勝ってようやく外に出てきてくれているものなのだ。しかも、エアカーテンのような長いものになると、穴の数も増えるため必要な力も跳ね上がる。

それが、あの小さなエアポンプにできようか?



三又分岐の落とし穴

「でも、どうしたらいいのですか?」

わたしの問いに、お師匠様は小さく笑って、エアカーテンにつながるチューブをすっと手に取った。口元に当て、ふーっと吹き込む。

シャラシャラシャラ~~♪

まるで気泡がはじける軽やかな音とともに、泡の壁が水中に立ちのぼる。

「つまりね。もっと強力なエアポンプが必要だってことさ」

言いたいことはわかる。
でもダメだ。それは絶対にダメだ。
だって、これ以上、「漱石さん」を失うわけにはいかない。

「……でも、それは……」
「なんとか、手持ちの機材で……」
「なんとか、そこを……」

「あはは、わかってるよ、その気持ち」

まごついていると、心の中を見透かされたようだ。

「例えば……、三又分岐でポンプ2台つなげて、ひとつのエアカーテンを動かしたいんでしょう♪」

わたしはコクコクとうなずいた。

でもね、それはお勧めできない使い方なんだ

曰く、性能の異なるポンプを無理やり同じチューブでつなげば、空気の流れは乱れ、弱い方のポンプに逆流してしまう。最悪、寿命が縮み、故障の原因になるのだそうだ。

「それに、合理的でない点もあるんだ」

結局のところ、1リットルのポンプを2台つないだところで、2リットル分の泡が出るわけではない。効率も悪く、騒音も2倍、そして寿命の問題。

「デメリットの方が多すぎる。そう思わないかい?」

あまりの理論武装に諦めざるを得なかった。

「だって、ボクもやってみたことがあるんだもの。他人にはすすめられないよ」

あはは、と高笑いしてみせるのだった。

・唯一持っているエアカーテン。60cm規格水槽用のポンプがほしいところ


泡とポリプの夏

数日後。

結局、わが家には新しいエアポンプがやってきた。ネットで見つけた評判のいい中型機。エアカーテンと合わせて、最初の予算の3倍もかかってしまった。

でも、水槽の中では、ポリプテルスたちが楽しそうに泡のカーテンをくぐっている。尾を揺らしながら、時には水面へ、時には砂利の上へと舞い戻り、泡の流れのなかを泳いでいる姿は、まるで、夏の海辺の子どもたちみたいだ。

だが――
破産。今月も破産。
でも、これでよかったのかもしれない。

水槽の中の静かな夏。シャラシャラと響く、泡の音だけが、今日もやさしく、部屋を満たしていた。



まとめ

エアカーテンは、見た目にも美しく、水槽内の酸素供給や水面の撹拌にとても効果的なアイテムです。
ですが、その裏には「空気を押し出す力=エアポンプの性能」という大切な条件が隠れています。

普段使っているエアポンプでは泡が出ないこともあるので、必ず利用条件を確かめて購入しましょう。また、ポンプ2台を分岐でつなぐと、思わぬトラブルや故障につながることあるかもしれません。

時に、今回のわたしのように、結局遠回りしてしまうことも……
でも、その試行錯誤のひとつひとつが、アクアリウムの楽しさであり、奥深さでもあると感じています。

とは言え、これからエアカーテンを導入しようと考えている方は、「適正なエアポンプ」と「正しい接続方法」を、ぜひお忘れなく!



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