炭酸カリウム粉末で作る液肥の特徴
カリウムを補給したいけれど、液肥は意外と減りが早いし、価格も少し気になる……。
そんな経験はありませんか?
今回は、お安く水槽にカリウムを添加できる、炭酸カリウム粉末について話していきたいと思います。
炭酸カリウム粉末の実情は?
液肥を巡る迷い
まだカリウム液肥で迷っている。
1push1ml、この水槽では毎日2回添加すれば良いだけなのだが。
ボトルには200ml前後の液肥が入っている。これで1000円なり。
つまり、1000円で100日分のカリウムを添加できるともいえる。
しかし、これが安いのか高いのか、さっぱり分からない。
少なくとも、水草水槽を始めたばかりのわたしには、もう少し安い物でも十分なような気もする。わが家の水草は、マツモにミクロソリウムと簡単なものばかりなのだから。
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金曜日の帰宅ラッシュ。オフィスビルの周辺には大使館ばかりで、いたって静かな夏の夜を迎えている。
だが、それではつまらないと思うのがニンゲンというもの。今しがた解放されたばかりのスーツの野獣たちは、群れを成して駅前へ繁華街へと向っている。
ギラギラとした欲望を発する道から抜け出して、閑散とした地下鉄の入口へと逃げ込む。地下から駆け上がってくる風は妙に心地よく、熱帯夜で火照った体をまかせながら階段を下ると、更なる真下から轟音が響き渡る。次の列車がやってくるようだ。
魔法の粉末はコスパ最高!
飛び乗った車内はガラガラのようだ。
「こっちこっち!!」
はっと振り向くと、視線の先には見慣れた顔。
お師匠様だ。
今日は、普段とは逆方向の電車に乗った先にある、喫茶店でアクアな談義をする予定だったのだが、偶然にも同じ列車の車両に乗り合わせたようだ。
どうやら、ここが今宵のアクア談義の会場となりそうだ。
私:「まだ迷ってるんです」
師:「もしかして、液体肥料のことかな?」
私:「……そうなんです。K液肥で、まだ迷ってるんです」
師:「何度も言ったけど、やはり有名なアクアメーカーが作るものが安心だよ?」
私:「以前教えてもらったので、理解しているつもりです」
私:「園芸用ではアンモニアやリンを含んでいるものあり、濃度調節が大変なんですよね?」
師:「そうそう♪ だからこそ、アクアメーカーが作るものがいいに決まってるのさ」
私:「でも、考えてみてください。カリウム液肥って、毎回数mLずつ入れますよね?」
師:「そうだけど?」
私:「であれば、200mLだとすぐになくなってしまうような気がするんです」
師:「アハハッ! 実にキミらしい心配だね」
師:「しかし、液肥は毎日使うものじゃないんだよ?」
私:「え!? そうなんですか?」
師:「たしかに、メーカーは毎日使うようにと記しているけど、実際に毎日使うと、コケだらけになることが多いんだ」
私:「あ……、そういうモノなんですね?」
師:「液肥はお手軽に添加できるものだから、水槽の状態に合わせて利用するべきなのさ」
私:「でも、それでも、……ちょっと値段が気になるんです」
師:「うんうん、節約派のキミからしたら、そう思うよね?」
師:「わかった。今日は、ハイポネックスに続き、なるべく安くカリウムを添加できるアイテムを紹介しよう」
私:「それで、どんな液肥なんですか?」
師:「炭酸カリウム粉末さ!」
私:「粉末!? 液体じゃないような……」
師:「この粉状を溶かしてカリウム液肥にするんだよ?」
師:「これなら安いし、カリウムだけを添加できる!!」
私:「えーっと、お値段は?」
師:「カリウム液肥1L分、送料込みで1,000円もしないんだ!」
私:「安っ!? ……しかし、ほんとですか!?」
師:「ほら、スマホの画面を見て? こんなに小さなパックに入っているんだよ?」
私:「こんなに安くて、小さくても、K液肥に!? ですが、えーっと……」
私:「この入浴剤のように、粉をそのまま水槽に入れるんですか?」
師:「いやいや、まさか! さっきも言ったけど溶かして使うのさ!」
師:「……まぁ、一応できなくもないけどね」
師:「でも、毎回グラム単位で計量するより、溶液にして添加したほうが使いやすいと思うよ?」
私:「あぁ、たしかに、そうですよね。しかし、それだと……」
私:「自分で調製しないといけませんし、なにより希釈の計算が!?」
師:「ぬはは! まぁ、そこは安いから我慢しないとね」
私:「むーん……」
師:「もっとも、大きめの適当なプラボトルを買ってきて、1袋分まとめて作れば、細かい計算や計量は不要だよ?」
私:「なるほど」
師:「ただ、可能なら……」
私:「可能なら?」
師:「少量作って1プッシュ1mLのボトルに移して使うのが正解かもしれないね」
管理された水槽ほどハマりやすい弱点
電車が急に止まった。いや、どこかの駅に着いたようだ。
お師匠様はギっと構内を睨みつけ、そして「あっ」と小声で叫んでから席を立ち上がった。が、時すでに遅し。無情にもドアはプシューと音を立てて閉まる。
仕方がないので、急遽次の駅で下車し、こじんまりとしたベンチで話の続きをすることとなった。
ここなら、双方の家路に都合が良いし、なにより話に水を差すのをお互いがためらったのは言うまでもない。
私:「なるほど……。しかし、今まで炭酸カリウム粉末の利点しか聞いていませんが……」
私:「もちろん欠点もあるんですよね?」
師:「あはは、話の流れ的にそうなるよね?」
師:「もちろん弱点もあるさ!!」
私:「やはり、そうなんですね?」
師:「まず、声を大にして挙げたいのは、カリウムしか入っていないことさ」
私:「え゛……」
私:「それって、お師匠様がさっき言っていた、アクア用肥料の利点ですよね?」
私:「窒素もリンも入っていないから、安心して添加できると思うのですが」
師:「ニヒヒ。言いたいことは分かるよ」
私:「じゃあ、どうして欠点なんですか?」
師:「それは、水草水槽には貧栄養状態で管理しているものもあるからさ」
私:「貧栄養?」
師:「魚がほとんどおらず、与える餌も少ない」
師:「だから、余分な肥料分が少なくなる水槽だね。当然、コケも出ずらくなる」
私:「なるほど。それは、大きな利点をもつ手法ですね」
師:「しかし、肥料分が極端に少なければ困ったことも起きる」
私:「はて?」
師:「思い出してごらん? 餌はタンパク質が多いでしょ?」
師:「さて、タンパク質が分解されると、何になるかな?」
私:「それは、タンパク質と言えば、アミノ酸。アミノ酸と言えば窒素分ですよね?」
師:「それ以外には?」
私:「へ? えーっと……?」
師:「リンも多く含まれていることを忘れてはいけないよ?」
私:「うん? あぁ……、よく考えればそうですね」
私:「タンパク質である以上は、加工される前はなんらかの細胞だったわけで……」
私:「となれば、それを構成する成分にリンはなにかしら関与しているはずですからね」
師:「具体的には、どういったものが挙げられるかな?」
私:「まずは核酸。これらはDNAやRNAの成分で骨格にリンが入っています」
私:「それに代謝で利用されるATPや細胞膜のリン脂質なんかもありますよね?」
師:「ナハハ、よく覚えていたね?」
私:「まぁ、一応これでも生物系の学生でしたので」
![]() |
| ・電子キッチンスケールと計量カップ。料理用品が役に立つ。 |
師:「さて、話が大回りしてしまったけど……」
師:「貧栄養で管理している水槽では、窒素やリンが不足していることも多いんだ」
師:「そこへカリウムだけを添加していると、どうなるかな?」
私:「うーん、それは……」
私:「窒素やリンが欠乏して、生長不良になるということですかね?」
師:「ご名答♪」
師:「だから、貧栄養で管理する水槽では、元肥を入れたり……」
師:「窒素やリンをわずかに含んだ液肥を利用してほしいんだ」
私:「なるほど……」
師:「特に窒素やリンは、植物の生長に寄与する大切な栄養素だからね」
私:「でも、同時にコケの原因にもなるんですよね?」
師:「そうなんだ。結局、そのあたりのバランス感覚は、そこはノウハウがモノを言うことも多いんだよ」
私:「ふむー……」
師:「だからこそ、有名ブランドの肥料が使いやすかったりするんだよね」
私:「はぁぁ、なるほど。高いばかりじゃないんですね」
師:「あはは!! 価格を見て、否定的な気持ちになるかもしれないけど……」
師:「水草が原因不明の生長不良で行き詰まったときには、ぜひ利用してみてほしい」
師:「きっと、真価が分かると思うさ」
それから……
先日購入した、割安のK液肥のボトルを見直す。 よかった! 1プッシュ1mlと書いてある。助かった。
毎回ピペットで2mlを測るのは、さすがに骨が折れる。これがなければ化粧品用の高価なプッシュボトルを買いに行くことになっていただろう。
今使っているK液肥がなくなり次第、炭酸カリウム粉末を溶かした自作液肥に切り替えるつもりだ。幸いにして、電子キッチンスケールもシリンジも持っているので、正確に計量と計量ができるだろう。
これからが楽しみだ!
まとめ
炭酸カリウム粉末は、水草水槽でカリウムを補給したいときに便利な選択肢です。
カリウム以外の窒素やリンを含まないため、余計な栄養分を増やさずにカリウムだけを添加できるのが大きな特徴となっています。特に、窒素やリンが十分に存在している水槽では、必要な成分だけを補えるという安心感があります。
一方で、炭酸カリウム粉末には注意したい点もあります。それは、当然ながらカリウムしか補給できないことです。
魚が少ない水槽や、あえて栄養分を少なくして管理している水草水槽では、窒素やリンが不足していることがあります。その状態でカリウムだけを与えても、水草の生長が思うように進まない場合があります。
そこで大切になるのが、水槽内の栄養バランスです。窒素やリン、そしてカリウムも水草の生長に欠かせない一方、過剰になればコケの発生につながることもあります。
だからこそ、単純に「栄養分をたくさん入れればよい」というわけではありません。水草の状態や魚の数、給餌量などを見ながら、必要とされている推測し、適宜補っていくことが大切です(まぁ、これが大変難しいのですが……)。
たしかに、市販のカリウム液肥と比べて、粉末から自分で作る手間はあります。しかし、コストを抑えながら水槽に合わせてカリウムを補給したい人にとっては、なかなか面白い選択肢といえるでしょう。


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