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2018年7月18日水曜日

ミクロソリウム・ウェンディロフはどんな水草?栽培条件と道具は?

【1】ウェンディロフはどんな水草?

どうもこんにちは。ごん太です。
前回までは……

ドワーフ・フロッグピットについて、アレコレと紹介しました。

夏が旬の浮草。
初夏から秋にかけて、栽培を始めるには、ちょうどいい季節。
そして数か月後に訪れる冬。
低温には弱いので、しっかりとガラス蓋&ヒーターで加温。
そんな話だったかと思います。

さて、今回はミクロソリウム・ウェンディロフについてのお話となります。

もともと、トリミングについてのみ、記事にしようと思って書き始めました。
……が、なぜか当ブログにおいて、この水草を取り上げた記事が一つもない。

ならば! ということで……

ミクロソリウム・ウェンディロフとはどんな植物か?
その栽培道具と方法はどのようなものか?
そして最後にトリミングや木酢液を利用したコケ処理について。

という記事を作ってみました。
今回は、非常に話が盛りだくさんとなっています。

大変長い文章となっていますので、↓目次リンクより、お好みのパートへとジャンプしてお読みください!

それでは、目次に続きまして本文へと入っていきます。続きをどうぞ!


(サイト内リンク:ミクロソリウム・ウェンディロフ関連)


水槽の中のミクロソリウム・ウェンディロフ


ミクロソリウム・ウェンディロフの栽培歴


4~5年間栽培してみて……

ミクロソリウム・ウェンディロフについて紹介する前に、この水草の栽培歴について、簡単ですが記しておきたいと思います。
導入したのは、おそらく4~5年前。水槽立ち上げとほぼ同時に、ミクロソリウム・プテロプスとまとめて購入した記憶があります。

おっ! ……そこそこ大きな株なのに、こんなに安いの!?

なんて驚いて手に取ったのですが、家に帰りいざウールから出してみると……

小さめなサイズ2株が、1ポットに無理やり押し込まれていることが判明。

ちょっとがっかりした、ほろ苦い思い出があります。
増やすのに時間がかかるミクロソリウムです。
大きな株より、小さくても2株入ってたほうがお得だったのかも……と、今はポジティブに考えています。
現在は、少しずつ増え、全部で5株にまでなりました。

ときには木酢液に浸しすぎ、深いダメージを負わせてしまうこともありました。

……が、以後大きなトラブルもなく、今も元気に育っています。
そんな、「うまくいったときもあれば失敗した時もある」、4~5年の栽培経験をもとにして、今回のミクロソリウム・ウェンディロフの話をしていこうと思います。



【注意事項】いきもの相手にすべて同じ結果になるとは限らない!

なお、今回の話はあくまでわたしごん太の、1つの経験をまとめたものにすぎません。

すべてのアクアリスト。
すべてのミクロソリウム・ウェンディロフ。
すべての水槽に……。

同様のことが当てはまるとは、とても思えません。

幾度も当ブログでも書いていますが、アクアリウムは生命が相手の趣味です。
小学校で、貴方様と瓜二つの人がいなかったのと同じように、結果が毎回違って当然です。
以上の点をご理解していただいた上で、読んでいただければ幸いです。



ミクロソリウム・ウェンディロフとはどんな植物?その学名・和名


ウェンディロフはプテロプスの仲間? その学名は?

まずミクロソリウム・ウェンディロフの学名です。

Microsorum pteropus var. Windelov

となっています。
学名はラテン語で、属名(ぞくめい)と種小名(しゅしょうめい)のセットが基本的の命名規則(=二名法)です。
そのため……

Microsorum(=ミクロソラム)が属名、
pteropus(=プテロプス)が種小名。

途中までですが、続けて言いますと、ミクロソラム・プテロプスという名前になります。
つまりは……

プテロプスとウェンディロフは同じ種(しゅ)だと、言う事ができます。

問題はその後ろの部分となります。
var.と記されていますね?

これはvarietas(ラテン語)の略で、日本語で言うところの「変種」ということになります。

ですので、ウェンディロフはプテロプスの変種だと、学名からわかります。



和名は何ともロマンチック

次は和名についてです。

実は私たちが普段「ミクロソリウム(ミクロソラム)」と何気なく言っていますが、これはラテン語の属名です。その和名では……

ヌカボシクリハラン属

と言います。
漢字で書きますと……

糠星栗葉蘭

と書くようです。

学名にも1フレーズに意味が込められている物が多いですが、和名も同様に意味が込められています。

以下ごん太の推測ですから、はっきりと断言できませんが……
まず、

ヌカボシ(糠星)とは夜空に輝く数多の星という意味だそうです。

数多の星なほどに、何があるか?
と言いますと……これはおそらく胞子嚢のことではないかと思われます。

次の栗葉蘭は、おそらくマツバランと同じような感じで、栗の葉の形をしている蘭ということになるかと思います。

では「蘭」とは何ぞや?ということになると思うのですが……

やはり蘭はラン、つまりラン科の植物のことだとは思うのですが……

あからさまに、蘭のような花はつきません。
実は、蘭という漢字は奥が深く、様々な意味があるようです。
例えば、いい香りのする植物にも蘭と付くことがあるようです。

……が、しかし、繰り返しますがこちらは花が付かない。

あまりにも謎過ぎて、1つの記事ができてしまいそうです。

植物が好き!
漢字が好き!
という人は、その真相を是非調べてみてください。

一応当ブログでは蘭の意味を「植物」という事にしておきますが、なにか重大な意味が、隠れているような気がしてなりません。

……というわけで、夜空に輝く数多の星のごとく(胞子嚢がある)栗の葉の形をした、植物という意味合いになるのかと思います。



ミクロソリウム・ウェンディロフの特徴と栽培のための条件


ミクロソリウム・ウェンディロフの特徴

ミクロソリウム・ウェンディロフはウラボシ科のシダ植物です。

大きさ20~30cm程度にもなる着生(=活着する=つまりソイル不要な)の陰性植物です。
プテロプスとは違い、葉の先端が手の様に分枝するのが、大きな特徴です。
そんな、ウェンディロフの栽培上の条件は比較的緩く、どちらかと言えば……

初心者さんでも栽培できる、簡単な植物と言われています。

もちろん、わたしもそのように感じています。
具体的には、アヌビアス・ナナなど、ほかの陰性植物と同じように……

低光量、CO2なしの環境でも育成ができるほどです。

その成長速度は、同じくアヌビアス・ナナと同様に比較的緩慢で、有茎草のような毎週の頻回なトリミングは不要です。
また、生長が緩慢ですから、肥料の消費も厳しくありません。

以上、ミクロソリウム・ウェンディロフの特徴をまとめると……


  1. 低光量
  2. CO2不要
  3. ソイル不要
  4. トリミングは頻回ではない
  5. 肥料の要求も緩い

(ウェンディロフの特徴)


栽培環境のハードルが低い水辺の植物です。
初心者の方でも、比較的簡単に栽培できるでしょう!

そんなお手軽さが、魅力の1つではありますが……
他の有茎草と同じように、十分な光量を与え、CO2添加と肥料添加すると、美しい樹形と青々とした葉から綺麗な気泡が上がるようになります。
それもまた1つのチャームポイントです。

水草栽培という趣味は、自身の技術が向上したり、器具が揃っていくにしたがって美しく生長するようになります。
このウェンディロフは、自分の技量をはかる1つの指標にもなる水草です。
つまりは、一緒に生長してくれる水草なのです。

愛着がわかないわけがない!!

じゃあ、どんな器具を使えばいいの? 選べばいいの?
そのような話になります。それについては後述したいと思います。

次のパートでは、ミクロソリウム・ウェンディロフの栽培上の注意点について。
簡単ではありますが紹介してみたいと思います。

注意すべき点その①:水質浄化能力は弱い

先にも述べましたが、この植物の生長はゆるやかです。
それゆえ、注意する点がいくつかあります。
まず……

生長が遅く、肥料の消費も少ないため、他の水草と比べて水質浄化能力は低くなっています。

前回まで紹介してきた、猛烈に増殖していくドワーフ・フロッグピットほどの水質浄化は望めません。
大きな株や数をたくさん揃えれば、ある程度の水質浄化は望めるはずです。
しかし、フィルターが不要になるとか……そういったレベルには到底届かないでしょう。



注意すべき点その②:頻回のトリミングはできないので……

次の注意点はトリミングとコケ対策についてです。

成長速度が遅い=トリミング回数が少なくなりやすい。

つまり古い葉と新しい葉の入れ替わりが、遅いわけです。
そのためコケが付きやすくなっています。

生長がゆっくりとしているため、コケをいちいちトリミングで解決していては、葉がすべてなくなってしまいます。
コケにまみれになったときは無理に切らず、この記事後半で紹介します木酢液で処理することをお勧めします。

しかし……

栽培条件や環境は緩いですから、それらを整えることで、簡単に調子を上げられます。

結果として、コケを付きづらい水草にもなりえます。



注意すべき点その③:トリミングしすぎると……

また、生長が遅いがゆえに、バサバサとたくさん葉を切り落とすと、

極端に調子を落とし、同じサイズに戻るのに時間がかかることもあります。

なるべくなら、丸坊主はやめておいた方がいいかもしれません。

もし、バッサリとトリミングしてしまった時は、生命力が強く栽培が容易な種ですから、丁寧に見守りながら大切に栽培しましょう。いつか必ず復活するはずです。


注意点はここまで。

次の章ではウェンディロフが育つための条件(環境)について軽くまとめ、それをもとに道具についての話をしていきたいと思います。

水槽の中のミクロソリウム・ウェンディロフ(その2)



【2】ミクロソリウム・ウェンディロフを育てるための道具選び

さて、道具選びですが、まずは育成条件について、改めてまとめておきます。


  • 光 → 低光量
  • CO2 → なしでも可
  • 肥料 → 比較的要求しない
  • ソイル → 不要

そのため、栽培条件は水草の中でも、かなり緩い部類かと思います。
また、器具もそれほど高価なものを必要としません。

簡単で安上がりな点が、初心者さんにはうれしい水草だとも、言えるでしょう。

そんなわけで、このの章から道具について述べていきます。
まずはライトの選びについてお話しをしていきます。



道具の選び方その1:ライト編


ライトの選び方

水草栽培で一番重要なのはライトです。

これが水草の要求条件を満たしていないと、いくらCO2や肥料を添加していても意味がありません。ミクロソリウムが要求する光の強さは……

60cm規格水槽で、20Wの直管蛍光灯1灯で育つ

と言われています。
20W蛍光灯はだいたい全光束で、1500lm程度の光を発するものがほとんどですから、それを基準に考えれば良さそうですね。

いつもよく例に出す、GEXパワーIII600は1灯で1000lmです。
それでは同等ないし、多少不足気味だということになります。
同じ値段帯(ただし色味がかなり違う)のコトブキフラットLED600でも同様のことが言えるかと思います。
ですから、綺麗に育てるのであれば、上で紹介したような安価なLEDの場合、なるべく2灯あったほうがよさそうです。

逆に生きているだけで十分なら、↑のLEDライト1灯でも十分でしょう。
ミクロソリウムは、そうそう簡単に枯れない水草でもあります。



水草栽培には水草育成用(もしくは園芸用)を利用しましょう

また、ライトの機種を選ぶ基準として、当然チェックするべきことですが……

水草育成用と記してあったり、ネット上で水草が育つと報告やレビューがあるものを利用しましょう。

光合成には、赤色の光と青色の光が必要です。
それが、あまり含まれていないアクアリウム用LEDも、あるのです。

んじゃ、そんな水草が育たないLEDは何に使うのさ!

と言いたくなりますが……

それらはコケが出にくく、低電力で美しく魚を観賞するために作られているものです。

ですから、なるべく「観賞用」という銘打っているLEDは避け、「水草育成!」やら「水草が育つ!」、と評判がある機種を選びましょう。
欲を言えば、LEDより発せられる光のスペクトルがパッケージに記されていたり、ネット上で公表されている物がいいですね。
なおかつ、水草が育つ波長(青色・赤色)が多いライトを選べば、ことさら良いと思います。

とはいえ、最近のLEDの進化スピードはとても速く、その流れの中でGEXパワーXやらアクロトライアングルLEDやらオーバルやらと、光量が強くしかも廉価な商品が続々登場しています。

昔ほど、どのライトなら水草が育つ? 育たない? で悩むような時代ではないと思います。

また、園芸用ないしは植物育成用と銘打っているものでも、栽培することは可能です。

イケアより販売されている植物育成用E26LED電球が有名でしょう(現在は終売)。

ただし、そういったものは色味が鑑賞に堪えられないものも多いですから、購入時には「色温度」に注意しましょう。

よく利用される水草用ライトはアクロトライアングルグロウで7200K、フラットLEDやパワーIIIで10000K前後です。

これを目安に探してみるといいかもしれません。
なお、イケアの植物育成用ライトは4000Kですから赤みが強く、好みがわかれるでしょう。(わたしは好きですが……。)



ライトの点灯時間と生長の判断

さて、実際のライトの点灯時間についてですが……

6~10時間程度が良いと言われています。

しかし、6時間と10時間ではコケの出方がまるっきり違います。
最初は短時間から始め、コケが増えないようならば徐々に増やしていきましょう。
それでも、だいたい6~8時間程度がちょうどいいと思います。

管理のポイントとしては、やはりタイマーを利用すると何かと便利でしょう。

前述のように、そこそこの光量さえあれば、CO2や肥料についてそれほど気を使わなくても、調子よく育ってくれます。
では、何をもって調子がいい根拠とするのか? と言いますとそれはやはり、葉が生長しているか? ということになるかと思います。
この「生長」をどのように判断するのかといいますと……

ミクロソリウムの葉は、生長中だと先端が半透明になる性質があります。

つまり、半透明な葉がところどころで観察できれば、元気よく生長できていると判断できるのです。



道具の選び方その2:CO2編


CO2添加器具の選び方

CO2がなくても、ミクロソリウムは育つようです。

現にわたしの睡蓮鉢では、無添加で栽培していますが、少しずつ大きくなっています。
生長が早い水草ではないので、その要求度合いは大きくないようです。
しかし、やはり添加してある環境で育ったものと比較すると、その姿は小ぶりです。
当然成長速度も遅く感じられます。

なるべくCO2を添加したほうが、よく生長するでしょう。

また、もし仮に少量のミクロソリウム・ウェンディロブのみの栽培なら、添加量も少量であると予想されるため……

添加方式としては、小型ボンベもしくは発酵式の利用がよさそうです。

小型ボンベは省スペースかつ、1万円程度の初期投資で済みます。
また、メンテナンスも面倒でなく、水草が増え添加量が上がっても、労せず対応できるのも利点です。

……が、そんな金額出せない!

という、初心者さんもいるでしょう。
そんな人には、多少手間や苦労があっても、発酵式をお勧めします。
メンテナンスや作成が大変で、添加量も季節により左右されますので、かなりノウハウが物を言う添加方法ではありますが、とにかく安価です。

もちろん……

これから水草にどっぷりはまるんだ!

という不退転の決意ある人には、ランニングコストが低い「ミドボン」でも構わないと思いますが……。
途中でアクアリウムの理想と現実を知り、嫌になってしまう人もいると思います。なるべく初期投資は少ないほうがいいでしょう。
どっぷりはまって抜け出せなくなってから、ミドボンに変更しても、さして問題ないでしょう。

小型ボンベとパーツは一部共通ですから、移行もそれほど手間ではありません。
(もっとも、パーツよりはミドボンそのものの手配が大変なのですがね……。)

結局は……、ライトとは違いCO2添加については必ずしも必要なものではありません。
ご自身の今後の計画や栽培環境、そしてミクロソリウムの生長具合に応じて設置すると良いでしょう。

「ネットで×××と書いてあったから!」が絶対ではありません。

簡単な水草です。気を緩やかにして接しましょう。



CO2の添加量はどれぐらい?

ミクロソリウム・ウェンディロフは、上記の通りCO2がなくても生長できる植物です。
CO2は一般的な添加量と比較して、少なめで大丈夫かと思います。

どれくらいかと言いますと……

60cm水槽で1滴あたり2秒~3秒ぐらい。
場合によっては、もっと少なくても問題ないかもしれません。

少し曖昧な表現なのは、基本的にCO2は生体に対して有毒だからです。
その添加量はネットの情報ではなく、現実の水槽を見ながら試薬を使い、濃度を測定してから決定しましょう!
測定方法は昔ながらの試薬の他に、ADAのドロップチェッカーのように常に水中に沈ませておくタイプの物もあります。
また、テトラ6in1試験紙のKHとpHの値を計算するなど、案外様々な方法があります。
ご自身の利用しやすい方法で、CO2の変移(点灯直前、点灯中、消灯直後など)を見ながら添加量を決めることをお勧めします。

ごん太としてのお勧めは、やはりテトラ6in1から計算で求める方法でしょうか?

テトラ6in1なら初心者の人が立ち上げに利用している人も多いと思いますので、計算という努力は必要ですが、追加コストが発生しません。
次点で、ドロップチェッカーです。こちらは常時視覚的に分かるので、大変便利です。

さて、発酵式でない限り、電磁弁とタイマーを利用すると何かと便利かと思います。最近はamazonで安い電磁弁も売っています。
(それを購入した時の記事は コチラ

ボンベを使っている人は、なるべく利用しましょう!

必要な時=ライト点灯時に合わせて、CO2濃度を上げられます。
外泊していても、添加できます。とっても便利です。

なお、発酵式の場合、基本的には24時間常時添加となります。
手間がかかりますが、ライト点灯時間外は発生したCO2を3又分岐などを用いて、手動で大気開放すると水質が安定して、より安全です。
こちらは、外泊時の添加はやめておきましょう。



気泡=光合成=生長なの?

さて、CO2を利用した育成のハイライトが、気泡になるかと思います。
これは光合成で発生した酸素ですから、理論的にブドウ糖を作っているという根拠となります。
そして、それでエネルギー代謝するわけですから、結果的に生長していると、捉えることができます。

そのような理由がありますから、気泡が出ている=生長していると、捉えがちです。

しかし、実は、水質の変化によっても気泡ができる・できないの違いもあります。
そしてなにより、それらがなくても、水草は立派に生長します。

ですから、「気泡がない=生長していない」とは断言できません。

特にミクロソリウムも含まれる陰性植物は、葉に付ける機会は少なくなっています。
気泡に執着するのはよくないかもしれません。
それが付いてなくても、透明な葉がところどころあれるならば、生長していると判断できるからです。

ただし……気泡をつけたミクロソリウムは、目を見張るほど美しい。

水草の調子や水質など飛び越えるハードルは多少ありますが、気泡を付けたウェンディロフを狙ってみるのも、……いいのかもしれません。



道具の選び方その3:肥料編


肥料の選び方

ミクロソリウム・ウェンディロブは、少ない肥料でも生長できる水草です。

とはいえ、……多少なりともあると調子が良いのも、事実です。

成長速度が遅く、肥料の消費も緩い水草です。
ですから、それらを利用するときはなるべく薄めに・少なめに利用しましょう。
水槽内で不足しがちなK微量要素(Feなど)を主体として添加すれば、コケの大増殖などに見舞われず済むと思います。

また、ミクロソリウムは着生の水草です。

ソイルなどに埋め込む固形肥料よりも、換水時に添加する液体肥料の方が良さそうです。

とりわけ、魚が主役の水槽で栽培する時には、砂利系の底床を使うことが多くあります。そのような時には、無理に固形のものより、液体の物を利用しましょう。
また、液肥なら、水替えで簡単に肥料分を薄められる利点もあります。

初めての肥料にはもってこい……なのです。



肥料は水草をよりよくするもの(肥料の使い方)

さて、肥料を利用するにあたっての心構えとして……

肥料は元気のない水草を、元気にするものではありません。

元気な水草をより元気にするものです。
水草に元気がない場合は光量や、CO2あたりを再度確認してみることをお勧めします。
それらをチェックしたうえで、肥料欠乏の症状が出ている場合、肥料を添加することになります。

さて、添加の具体例ですが、ごん太のミクロソリウム・ウェンディロフを栽培している水槽では、大食漢のプレコがいるので、どちらかと言えば窒素(N)とリン(P)が過多になりやすい環境です。

ですので、カリウム(K)と鉄(Fe)のみ添加しています。

また、添加によってコケが増えすぎても困りますので……

添加量は規定量の1/3~1/2量としています。
また、毎日添加することはなく、1週間の内せいぜい2回程度です。

肥料の添加も、CO2のように必ずしも必要なものではありません。
水質や水草の状態、そして成長速度を考慮して添加することをお勧めします。
もし初めて利用するなら、最近は廉価な液肥も多く発売されていますので、そういったものを購入してみてもいいでしょう。

さてここで、水槽内でよく起きるK欠乏とN欠乏の、一般的な症状を記しておきます。


K欠乏

カリウム欠乏の代表的な症状は、新しい葉が縮んでしまう事です。
環境が整っているのにもかかわらず、

青々とした新芽なのになぜかしわしわだったり、サイズが小さいなどが症状として出ます。

そんな場合はカリウム欠乏を疑います。

また、環境が整っているのにぼんやりと不調である場合、真っ先にこれを疑います。
K液肥を添加してもダメなら、硬度が低すぎる・高すぎる、もしくは鉄分を疑うことになります。

窒素欠乏を疑うことは、基本的にはありません。


N欠乏

対して、窒素欠乏の代表的な症状は、

葉が小さいままだったり黄色に変色するのが代表的な症状です。

ライトもある、温度もある。
硬度、鉄分、多量要素、微量要素、すべてチェックしてみたけど問題なし。 それなのになぜか葉が黄色く元気がない、そんな場合には窒素欠乏を疑います。

もちろん、魚を飼育している環境下では、どうしても窒素源が多いため、起きづらいことです。

……が、コケ対策として意図的に魚や餌の数を減らしていたり、換水を増やしていると、症状が出ることもあります。
窒素欠乏は、意外に見落としがちな欠乏症とも言えるのです。
葉が黄色いときは、疑ってみてもいいのかもしれません。

ただし、窒素分はカリウムと違い、簡単に6in1などの試験紙で濃度を測定できますから、疑わしい場合は測定してみるのが近道です。

窒素分が足りているのに窒素肥料を与えたら……、水槽内はコケだらけになることは容易に想像できますよね?

窒素欠乏の診断は、当てずっぽうではなく、必ず根拠に基づいて行いましょう。



道具の選び方その4:ソイル編

道具選びの最後はソイルです。

ミクロソリウムは、流木などに着生する水草です。
そのため、ソイルは基本的に不要です。

では利用する必要性が、まるっきりないのか?
と言われれば無きにしも非ず。

硬度が極端に高い時には、軟水化のために利用したほうが良さそうです。

ミクロソリウム・ウェンディロフの理想的な水質は、ある程度硬度のある軟水が良いようです。余りにも硬度が低すぎたり、高すぎたりすると調子を崩すようです。
しかし、それでもなお、他の水草と比較するとその栽培可能な硬度範囲は広くなっています。
やれソイルだ! 硬度だ! と意識しないでも栽培できてしまう水草でもあります。



低光量・CO2なし・低肥料・硬度が多少高くても育つ!だから……

この章のまとめとなりますが、ミクロソリウム・ウェンディロフを育成するための条件は、とても低くなっています。
ですから、それを満たすための器具も高価なものは、それほど必要としません。

結果……、簡単でお金もかからない!

そういった水草となっています。
だから、初心者の人にお勧めな水草なのです。

もちろん、樹形や葉は美しいですから、初心者でない人にもお勧めです。
また、奥ゆかしいい水草でもあり、じっくり・ゆっくりと水草と付き合いたい人に向いています。



というわけで、ミクロソリウム・ウェンディロフの栽培条件・環境と道具についての話はここまで。
次の章は、ミクロソリウム・ウェンディロフのトリミングと木酢液を利用したコケ駆除の方法について、紹介していきたいと思います。

マツモとオランダ獅子(義理の母作)
(義理の母が昔描いたオランダ獅子頭)



【3】トリミングとコケ処理

最後に、この章では……

ミクロソリウム・ウェンディロフのトリミングと、木酢液を使ったコケ処理方法について、紹介していきたいと思います。


ミクロソリウム・ウェンディロフのトリミング


トリミングする際の注意点・トリミングすべきタイミング

トリミングについてですが、今まで何度も記した通り……

生長が遅いため、わたしは基本的に丸坊主のようなことはしません。

さらには、植物にとっての葉というのは自分の栄養を作る器官でもあります。切りすぎれば、ただでさえ遅い成長速度がさらに遅くなります。
ですから、頻繁には行えません。元のサイズを維持するのに、1~2か月に1回のトリミングで十分です。

では、どのタイミングでするかと言いますと……


  • 株のサイズがあまりにも大きくなってしまった
  • 古い葉が傷んできた
  • 古葉から出た子株が目立ってきた

(トリミングするタイミング)


以上をトリガーとして行います。

また、コケがひどい場合は、可能な限り手で取りましょう。
それでも無理なときは、今回紹介する木酢液を利用した方法で駆除します。

というわけで、次のパートより、実際にミクロソリウム・ウェンディロフをカットしてみたいと思います。



トリミングをするための道具

これが今回トリミングするミクロソリウム・ウェンディロフです。

トリミング前のミクロソリウム・ウェンディロフ

トリミングする理由としては、古い葉が傷み始めたからです。
今回利用した道具は……

ハサミとトレー。
たったのそれだけです。

ハサミは、綺麗に鋭くカットできるのであれば、どんなものでも構いません。
トレーについても、どんなものでも構いません。
水槽から取り出したばかりの水草は水が滴り落ちてきますから、書類の置いてあるデスクなんかに直置きすると大惨事になります。それさえ防げれば、何でもいいでしょう。
また、トリミングですから、当然ゴミもでます。
カットされた葉をいちいち集めてゴミ箱に入れるのも手間がかかります。

なるべくトレーの上で、トリミングをすると片付けが楽です。

なお、わたしはいつも、20Lバケツのフタをトレー代わりにして、トリミングをしています。
普段はフタとして利用していますが、とっても大きくて、ゆったりと作業できるので愛用しています。



トリミングの方法

ここからは、実際のトリミング方法となります。
下の画像の黄色〇のような、茎と葉の間の部分――これを葉柄(ようへい)といいます――の、なるべく茎側の根元からカットするようにします。

カットする部位

葉柄を長く残して切ってしまうと、朽ちるのに結構な時間がかかります。
なるべく、この部分の根元から切り落とすと、景観的に美しいでしょう。

ただし、ミクロソリウム本体は、茎だと言っても過言ではありません。
極力茎を傷つけないように、トリミングしたほうが良さそうです。

――というわけで、次の写真は今回落した葉です。
全部で16枚、外周の大きく、そして傷んでいるものを選びました。

カットしたウェンディロフの葉

下の画像はトリミング後のウェンディロフです。
慎重に作業したため、この章最初の写真と比べて、ほとんどサイズが変わらないのがお分かりいただけるかと思います。

トリミング後のミクロソリウム・ウェンディロフ


ミクロソリウム・ウェンディロフのコケ処理について

この水草にとって、最も大切なメンテナンスはコケ処理です。再三書きますが……

ミクロソリウムは、生長が遅い分コケに侵されやすい水草です。

かといって頻回なトリミングもできません。
生長が遅いので、復活に時間が掛かるからです。
ですから、木酢液を利用したコケ処理が肝になってきます。

というわけで、以下から木酢液を利用したコケ処理の方法を記していきます。
その前に、簡単ではありますが注意事項を記しておきます。



注意事項【木酢液でコケ駆除をするにあたって】


注意事項その1(作業にあたって)

木酢液を利用した水草のコケ処理は、木酢液の濃度、作用時間次第では水草に重大なダメージを与え、枯死に至らしめる可能性があります。

実施は実施者本人の自己責任で行ってください。
また、どのような結果になっても当サイトは責任を負いません。


注意事項その2(木酢液について)

木酢液の水草に対する作用の強さ(=コケを取る作用)は、メーカーによりまちまちです。

今回紹介する希釈倍率や作用時間では、強すぎたり弱すぎたりする可能性が十分にあります。

必ず水草の目立たない部位で、パッチテストを行い水草に対する安全性(作用の強さ)を確認したうえで、コケ駆除に利用してください!

以上2項目、いつものお約束ですが、ごん太は過去木酢液で、壊滅的なダメージを与えてしまったことがあります。
改めて、注意喚起しておきたいと思います。

また、ここにあるネットの情報を鵜呑みにするより、必ずご自身の行動と結果をもとにして、判断してください。



道具

道具は以下の通りです。


  • 木酢液
  • スプレーボトル
  • 計量カップ
  • 水(希釈用)
  • タイマー
  • バケツ
  • カルキ抜きした水

木酢液

まず木酢液についてです。
今回は、コーナンで販売されていたコレを利用します。

木酢液

注意事項でも説明しましたが、木酢液といってもメーカーにより濃さはまちまちです。

必ず水草の目立たない部位にスプレーして、濃度と作用時間の安全性を確認してから、使用することをお勧めします。


スプレーボトル・計量カップ

お次はスプレーボトルと計量カップ。
ダイソーなどの100均で販売されているもので十分です。

農薬散布用など特殊な道具は不要かと思います。


木酢液を希釈する水については、水道水で大丈夫です。
カルキ抜きしたものや精製水や純水などは利用しなくても問題ありません。


バケツ・タイマー

最後にバケツ。

木酢液をゆすぐために、これにカルキ抜きした水を用意し手置きましょう!
また、作用時間を確認するためにタイマー(時計でも可)も、必ず準備しておきましょう!。


というわけで、次の項より実施手順を紹介していきたいと思います。



手順①、木酢液を計量カップで希釈する

今回は説明の都合上、軽量カップの中で、木酢液を3倍に水で薄めます。

上記の通り、メーカーによって作用する能力はまちまちです。

必ず目立たない部位で、テストをしてから、安全な希釈倍率を求めてからご利用ください。

そして、【3倍】をご自身で安全を確認した希釈倍率に読み替えて、読み進めてください。
(また、作用時間も同様です。)



手順②、スプレーボトルに入れる

木酢液を噴霧するためにスプレーボトルに入れます。
やはり木酢液です。ニオイます。
たばこ臭い……というよりは、焚火の香りです。
なるべくこぼさないように、注意して移してください。

漏斗があるとなにかと便利です。


手順③、対象となる水草にスプレーボトルで噴霧する

タイマーをスタートさせてから、ミクロソリウム・ウェンディロフに木酢液をかけます。
葉のみにまんべんなくかかるよう、スプレーすると余計なトラブルが少ないかと思います。

繰り返します。必ずタイマーをスタートさせてから、噴霧しましょう。



手順④、待つ(作用時間)

上記の注意事項の通り、パッチテストで安全な時間を確認の上、作用時間を決めてください。

わたしはいつも、30秒待つことにしています。
(話の進行のため、そのように紹介しています。)

作用時間も、必ず事前にご自身の水草の目立たない場所で安全な作用時間を求めてから、コケ駆除に利用してください。



手順⑤、木酢液をよくゆすぐ

作用時間が経過したら、予めバケツに用意しておいた、カルキ抜きした水で、よくゆすぎます。

作用時間が終わり次第、速やかにすすぎましょう!

このゆすぎの目的ですが……

・コケを含めた植物への駆除作用停止のため。
・木酢液を水槽に持ち込まないため。

以上2つ目的のためにゆすぎます。
必ず、丁寧にすすぎましょう!



手順⑥、元に戻す

最後に、ミクロソリウム・ウェンディロフを水槽の元の位置に戻して、作業完了。
だんだんとコケが赤くなってきたら駆除成功です。
なお、処理後は必ず1週間は経過観察をしてください。

仮に木酢液が強すぎた場合……
1か月かけて、じわじわと枯死していくこともあります。


初めて木酢液を利用した時は、当日だけの観察に留まらず、なるべく長期間観察してあげましょう!

もちろん、事前に安全な作用時間と希釈倍率を、パッチテストするなどして、必ず求めておきましょう!



追記時あとがき

今見ても、木酢液パートのおどろおどろしい注意点でハッとさせられる記事なのですが、ごん太自身木酢液を利用したコケ駆除はここ最近の換水時のルーティンワークになっています。

過去作用させる時間を間違え、ミクロソリウムとウィローモスに壊滅的なダメージを与えてからというもの、これの利用は常に慎重に行ってきました。

その甲斐もあり、現在まで水草を枯らしたことはありません。
安全な「作用させる時間」と「木酢液の濃度」さえしっかりと把握できれば極めて安全な方法であり、簡単にコケを駆除できる方法でもあります。
が……

当記事を含め、ネット上の木酢液の作用時間と濃度を、鵜呑みにしてはいけません!

それを調べるのがとても面倒なのですが、絶対に、ご自身の手で、直接栽培している水草を使って、調べておくことをお勧めします。

後々の大惨事を招かずに済むからです。
また、テストするときは、なるべく目立たない部分でテストしてくださいね!

そんなわけで、ミクロソリウム・ウェンディロフと木酢液の話はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。

(更新:2022/4/27)