プレコを水草水槽で飼育する
(2026/5/22 修正)
今回は「私の水槽紹介」的な話を兼ね、水草とプレコの同居について勝手気ままに書いていきます。
わが家の水槽では、プレコと水草が同居しており、不思議に思われる人もいるはずです。そうなった経緯や管理などについて、簡単に紹介していきたいと思います。
プレコの好む飼育環境と人が好む水槽
「水替えに勝るろ過は無し」
プレコに理想的な環境とは何か。これの探求こそが、マニアにとって永遠の課題です。一般的には、糞尿や残飯がなく、硝酸塩の濃度が低く、さらに溶存酸素濃度に富んだ、流れのある水槽を実現することです。これは言い換えれば、プレコが生息するアマゾン川の再現だと言えるでしょう。
では、どのような設備にすればいいのでしょうか。プレコは大食漢です。水質の悪化は思いのほか早く、水を汚さないように飼育するのは至難の業です。いくら強力なフィルターを利用したとしても、水換えをしない限り、確実に硝酸塩は溜まります。となれば、発想の転換が必要です。汚れるのは致し方ないとして、簡単に取り除ければいいのです。
先人がこの考えから生み出したのが、上部フィルターとベアタンクという組み合わせです。上部フィルターはろ材の清掃が簡単で、ベアタンクも汚れがすぐに分かり、その除去も簡単です。だから、水槽に手を入れやすく、ゴミがたまりづらい環境だというわけです。
もちろん、上の条件を満たせれば、多種多様な器具構成でも問題はありません。器具やシステムを優先してこだわるより、プレコの目線でメンテナンスしてあげることの方がはるかに重要です。昔から、「水替えに勝るろ過は無し」と言うぐらいで、アクアリウムは実践してみてなんぼのもの。手を動かし、水換えすることこそ、まさしく魚の生命線だと言えるでしょう。
上部フィルター+ベアタンクは掃除しやすいが殺風景
さて筆者、実は大昔、ポリプテルスの飼育で外部フィルターのベアタンク水槽を置いたことがあります。実際に体験してみるとわかりますが、その糞の掃除しやすさは別格でした。
また、過去に友人が倒れた際、少し大きい上部フィルターの清掃を代わりにしたことがあります。こちらも、ウールマットへのアクセス性がすこぶるよく、気軽に清掃できる点が大変GOODなものでした。
さらに、この構成にフィッシュレットなんて加えたら、うーん、もう! 日々のメンテナンスは言うことありません。……あぁ、そうだ。ゴミを集めやすくするため、水中ポンプで水流も調節しておきましょう! そうそう、ついでに非常食兼縄張りとなる流木も入れておきますね?
ほら、最後に気になるあの子を入れれば……はい、プレコ特化水槽の出来上がりです!
と、まぁ、以上は誰しもが通る道です。プレコ狂いのわたしが言うのもなんですが、すごく殺風景だと思いませんか。しかし、もちろん趣味の世界のことであり、「水作エイトを飼育する」という冗談もあるくらいですから、一言で一刀両断するわけにはいきません。極論、殺風景でも、自分さえ満足していればそれでよいのです。
ただ、水槽に向けられる家族の目を気にすると、話は大きく違ってくるのではないでしょうか?
水景がもたらす悪影響を緩和したい
こんなことを書くのは大変心苦しいでが、無機質な水景がもたらす悪影響は計り知れません。たしかにこれは、ひとり暮らし、もしくは自分しか入らない部屋でプレコを飼育している人には関係のない話かもしれません。しかし、家族がいる場合、とりわけ女性にとって、水槽の中が緑にあふれた可愛らしい世界であることは、男性が思っている以上に重要なことのようです。
プレコは美しさのなかに愛嬌があると、わたしは常々感じています。出会ってから相当の月日が経とうとも、この情熱は変わりません。しかし、そう感じるのは、世界中でもごく一握りの人間です。多くの人にとっては、グロテスクな魚なのです。
そこで、わたしも考えました。そして生まれたのが、せめて水槽に興味を持ってもらえる水景にし、少しずつプレコに慣れてもらおうという作戦です。最終的に、家族みんなのアイドルとまでは言いませんが、少しでも理解者を増やすこと、愛好家が水槽を続けていくうえで重要なことだからです。
そこで、いわゆる「プレコ水槽」のようなハードコアなものではなく、多くの人に親しみを持ってもらえるようなものを作ることにしました。「かわいい!」と言ってもらえなくても、日常の光景の中に溶け込ませられれば及第点、夕飯の話題に上がれば大満足というわけです。そして生まれたのが、水草とプレコの同居水槽です。
水草とプレコの同居
プレコを隠すなら水草の中<
この「プレコ=グロテスク」問題の解決策として、考えた結論が、水草が生い茂っている美しい水景を作り、水草水槽のヌシとしてプレコを家族に受け入れてもらおうという作戦です。題して、「木を隠すなら森の中」ならぬ、「熱帯魚を隠すなら水草の中」作戦。
理想はこうです。
↓
玄関を開け、バッグを放り投げると、天を見上げるようにソファーに座った。どっと眠気が押し寄せてくる。遠くで流れている夕焼け小焼けが子守歌のようだ。
――カチッ♪
ぼんやりと眺めていた天井に、途端、水影が広がった。ライトが灯ったのだ。放り出されたバッグの先には、キラキラと光り輝く水槽。影で塗りつぶされていた大地は目を覚まし、天からの光が差すと、透き通るような水が広がる。隅に隠れていたテトラたちは舞台に上がり、きゃっきゃと朝の体操を始めるた。
そして、真ん中の土管からひょっこり顔だけを出す水槽のヌシ。「……あぁ」と思わず声を漏らさざるを得ない。ゆっくりと目をつむり、今しかない美しさを噛みしめつつ、まどろむんだ。
そんな「癒し」の光景を提供して、プレコに好意を持ってもらおう! というワケです。
が、現実はこうです。
↓
夜中、ふと尿意を覚えた。リビングのライトをONにし、早足で通り抜けてトイレに向かう。水槽。ここには奇妙な生き物がいるのだが、昼間は決してその姿を現すことがない。
――フッ。
!? いま、何かが水の中で動いた!
恐る恐る目を向けてみると、白い物体がグネグネと動き、そのたびに影がゆがむ。これは何だ、本当に魚なのか。ガラスに貼りつく魚の腹は異様に膨れ、鰓と連動してヒクヒクと動いている。飼育者は「おとなしい魚だから大丈夫」などと笑っていたが、本当にそうなのだろうか。もし、あの吸盤で背後から貼り付かれたら――。
ぞわり、と冷たいものがつたった。
見れば見るほど何かがおかしい。とがったヒレに、ごつごつした頭。吸盤には無数のイボイボがあり、鰓からは針地獄のようなヒゲ。実におぞましい形をしている。そのさらに下に目をやると、穴からダランと緑の細長いナニカが……。
これは糞なのか、あるいは臓物……?
(ぞぞぞっ)
と、誰だって感じ、後ずさりしてしまうわけです。
これでは親しみがもてません。
それを和らげるための、水草にプレコを隠す作戦です。
水草とプレコ:飼育の一例(2017年当時)
そんなわけで、水草とプレコ。5年間飼育してきた一例を箇条書きでまとめてみました。
【プレコと水草の同居の一例】
(リストとパディング)- 水槽上部に水草用ライトを設置
- 外部フィルターは大きなものを使用し、定期的に清掃
- 底砂は、汚れが蓄積しやすいため厚くしすぎず、厚さ1cm
- 水草のことを考慮し、底床はソイル
- 水草は、なるべく強靭かつ栄養分をよく吸収するものを栽培
- 水草は鉢植え、もしくは活着するもの
- 水草はメンテ時に取り出せるもの
- 二酸化炭素添加(弱め)、K液肥添加(少なめ)
- エアレーションはライト消灯時(18時間)
- 水替えは1週間に2回
本来なら詳しく書きたいところですが、必要以上に長くなってしまうので、ここでは簡単に述べておきたいと思います。
栽培する上で気になるのは、プレコがもたらす富栄養化です。コケが大敵となる繊細な種は腐海を生み出す原因となり、かえって印象が悪くなるものと考えられます。そのため、ハイグロフィラやマツモなど、生長速度が高く、栄養(汚れ)をよく吸収する頑強な水草を栽培するべきです。彼らによる水景の向上と水質浄化を期待しましょう。
また、「生長=水質浄化」となるため、そのエンジンの回転を促進する意味合いで、CO2添加やライトなど、水草が育つ環境には抜かりなく器具を投入しましょう。それでも、汚れは必ずたまるものですから、水換えの回数は増やし、毎回の施肥は欠かせません。
書いてみると机上の空論ですが、実際にやってみると何とかなったりします。
プレコと水草を4年間続けた結果
下の写真が、プレコを水槽の主として祀り上げた(?)水草水槽です。
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| (ブルーフィンペコルティアとクィーンアラベスクタイガーさんが住んでます。) |
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| (2018/3/16現在の水槽。) |
この環境で飼育していて、これで3年目になります。連れてきた当初、アカヒレと同じサイズだったブルーフィンプレコがずいぶん生長しました。アヌビアスが食害を受けているぐらいで、ほとんどの水草は元気に生長しています。
プレコと水草と聞くと、食害を懸念する人もいますが、実際にはほとんど気にしなくていいレベルです。多くの陽性植物は茎や葉が非常に薄くやわらかく、食害しようと貼りつくと、すぐ折れ曲がって姿勢を維持できないからです。
肝心の家族はというと、プレコのことを気持ち悪がっていた妻も段々と慣れてきたようです。いまでは15cm程度の子なら大丈夫のようです。そうはいっても、ショップのアロワナと混泳している怪物サイズのセルフィンプレコには腰を抜かしていましたが。家族でプレコを含めた熱帯魚のことで話が弾む。結局、これは一番うれしいですね。
実際にやってみるということの大切さ
情報過多の今、あれがいい、これがいいと事前情報を漁りがちですが、全て鵜呑みにすると、かえって身動きが取れなくなります。ネット社会のジレンマだと言えるでしょう。
こんな時代だからこそ、まずはチャレンジする行動力が大切なのだと思います。ダメだと気が付いたら、すぐに引き返せばいいだけなのですから。その判断を冷徹に下すためにも、日ごろから観察はよく行いたいものです。
失敗が怖くて、あれこれキーボードをたたいて調べるよりも、実際に手を動かして実行したほうが成功したり、短時間で結果が出たりと、有益な場合も多いです。失敗しても、その経験は必ず人生の血肉となるはずです。
以上、自戒の意味を込めて記しました。というわけで、今回はここまで。


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