分解してワセリンを塗るところ、無理に塗らない方がいいところ
(2026/7/6修正)
外部フィルターのメンテナンスで、何気なくワセリンを塗っている人は多いかもしれません。しかし、「どこに塗ればいいのか」「本当に全部のOリングに必要なのか」まで考えたことはあるでしょうか。
闇雲に分解してまでワセリンを塗ると、かえって思わぬトラブルにつながることもあります。ワセリンの役割と正しい使い方を知り、安心してメンテナンスできるようになりましょう。
ワセリンを塗る場所、塗らないとどうなる?
ワセリンを塗る意味
さて、まずはワセリンを塗る意味と、使うべき箇所について述べていきたいと思います。
ワセリンを塗る意味は、大きく2つあります。Oリングの劣化を防ぐことと、脱着時にOリングとフィルターケースとの摩擦を減らすことです。ワセリンは、ゴムの保護剤であると同時に、潤滑剤としても作用します。
時折、止水力剤ついて話題に上がりますが、巷で噂されているほどの効果はありません。1時間に数滴程度のポタリポタリとした漏水であれば止められますが、ダラダラと漏れ続ける漏水には、全くと言っていいほど効果はありません。シリコンゴムの保護剤と潤滑剤としての役割が主なものと言えるでしょう。
正しく塗ってOリングを保護し、スムーズに着脱していれば、劣化や破損による漏水は防げますので、外部フィルターのメンテナンス時はなるべく利用したいものです。
Oリングが劣化すると?
さて、エーハイム2213や2233などに採用されている赤色のシリコン製Oリングは、経験から相当な耐久性があることが分かっています。ワセリンさえしっかり塗っていれば、「いつまで利用できるの?」と思ってしまうぐらい物持ちが良いからです。現にわたしの2213のOリングは、優に10年以上利用できています。
とはいえ、20年程度の水槽維持経験の中で、劣化によりポタポタ漏水を起こしたこともあれば、ワセリン切れでヘッド取り付け時にネジってしまったこともあります。
以下は、Oリングから漏水した際の体験談です。
ある日、突然ポタポタと漏水。調査の結果、パワーヘッドとの接続部から漏れ出ていることが判明しました。
「どうせ、しっかり閉まってないんだろう?」
当初は、それぐらいの疑いしか持ちませんでした。しかし、いくらパワーヘッドをフィルターケースに閉め直しても漏水は止まらず、ケース周囲に異物がないか確認しても、ゴミやセラミックの欠片は一切ありません。消去法的に、Oリングの劣化を疑うことになりました。
パワーヘッドからOリングを外して手に取り、ライトで照らしながら伸ばして丹念に観察すると、原因と思われる劣化が見つかりました。スッと入った細長いライン。たった1か所だけでしたが、ヒビができていたのです。
しかし、1mmの10分の1もないような割れ目で漏水が起きるとは到底思えず、再現実験をしてみることにしました。まずは、Oリングの傷ついていた場所にマジックで印を付けておきます。次いで、パワーヘッドに取り付け直し、こちらにも合わせて印を付けておきます。最後にフィルターの電源を入れて再稼働し、15分ほど観察してみることにしました。
すると、マーキングした場所から、まるで針でつついた指から血が出るように、ジワリジワリと水が染み出てくるではありませんか!
すぐにOリングを交換し、大ごとには至りませんでしたが、それ以後はメンテナンス後にOリングの状態を確認し、ワセリンを塗るようになりました。それ以来、同様のトラブルは起きていませんので、劣化を防ぐためにも、ワセリンの塗布は重要だと断言できるでしょう。
ワセリンはOリングの滑りを良くする
また、冒頭でも触れた通り、ワセリンには潤滑剤としての役割もあります。
Oリングはシリコンゴム製のため、高い摩擦係数を有しています。これがパワーヘッドとフィルターケースの隙間にねじ込まれて変形することで、防水機能を果たしますが、その際に大きな抵抗が生まれ、これが問題を引き起こすこともあります。
とりわけ、エコシリーズでは、レバーを用いてテコの原理でパワーヘッドを押し込むため、無意識のうちに強い力がかかることがあります。不適切にOリングを配置したり、メンテナンスが不足したりした結果、Oリングがねじ切れて漏水するというトラブルをよく耳にします。
ワセリンを塗ればスムーズに着脱でき、かつ破損も予防できますので、エコシリーズにおいては、ヘッドを開けたら毎回ワセリンを塗ったほうが良さそうです。
かく言うわたしも、一度、ワセリン不足が原因でOリングをねじってしまったことがあります。重い手ごたえとグリッとした感触があったため、慌ててハンドルを戻しましたが、ヘッドを取り外してみると、Oリングがクルンと半回転していました。
その時は、予備のOリングを持っておらず、2231(エコS)の1台でろ過していたので、冷静に考えれば考えるほど、冷や汗が止まらなくなりました。
ワセリンを塗っておきたい場所、無理して塗らなくてもよい場所
さて、ここまでワセリンの重要性を語ってきましたが、どのような場所に塗るべきなのでしょうか。
パワーヘッドに付いているOリングはもちろんですが、次にぜひとも塗ってほしいのが、ダブルタップ接続部にあるOリングです。また、エーハイムプロシリーズの象徴でもあるダブルタップユニットやトリプルタップユニットの根元にも、Oリングが仕込まれています。それらも要となるパーツですので、なるべく塗る癖を付けましょう。
時折、ダブルタップを分解してまでワセリンを塗るべきだと主張する人がいますが、わたしとしては、それには反対です。たしかに内部にはいくつかのOリングとボールバルブがあり、それらにワセリンを塗布するとレバーの動きが円滑になるのですが……、破損の危険性を伴う行為ですので、無理に塗布する必要は全くないと考えています。
20年以上外部フィルターを利用していますが、ダブルタップ内部にワセリンを使用しなくても問題なく利用できていますので、このような考えに至りました。
そもそも、高額なパーツですが、簡単には劣化しません。分解時の破損リスクを考えれば、メンテナンス行為としては割に合わないと思います。
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| (赤丸内に小さなOリングがある) |
絶対やめて!! 2213のケース吸水口のOリング
さて、数あるパーツの中でも、ワセリンを塗ってはいけないのが2213のフィルターケース吸水口、その根元のOリングです。こちらは吸水系統なので、わずかに隙間があれば、水漏れではなく空気を吸い続け、エア噛みという症状を引き起こします。
そのため、本来ならワセリンを塗っておくべき箇所です。
それでもワセリンを塗ってはいけないのは、分解時はともかく、組み立て時に破損しやすいパーツだからです。破損すればケースにヒビが入り、そのまま水を入れれば大漏水につながります。リスクを考えれば、そっとそのままにしておくのも一つの手だと言えるでしょう。
下のチラシは、サブフィルター2213に入っていたものです。締めすぎないように強く注意喚起しているので、よほど破損が多い部位なのでしょう。
なぜこのような破損が起きるかと言えば、この吸水口は、それ自体が持つネジでフィルターケースに固定されているからです。
これを、Oリングの締まりが弱いからと言って、手加減なしでぐりぐりと回転させて締めすぎると、クサビのごとくネジが食い込み続け、やがてケースを割ってしまいます。
わたしも、それで失敗してしまった一人です。ワセリン塗布後に吸水口を締め付けすぎて、ケースに大きなヒビを入れた経験があります。交換パーツは結構なお値段になりますし、何よりすぐには届きません。幸いにして予備のフィルターがあったから良かったものの、なければ憂き目に遭うことは間違いありません。
先ほど紹介したチラシは、その時に破損したケースと交換する目的で購入したサブフィルターに付属してきたものなのです。
詳しい体験談はこちら。
このように、吸水口やダブルタップなど、パーツ自体が高価なものは、無理に分解してメンテナンスしないのも一つの答えかと思います。
まとめ
ワセリンにはOリングの劣化を防ぐだけでなく、潤滑剤として摩擦を減らし、スムーズに着脱できるようにする大切な役割があります。これによってOリングのねじれや破損を防ぎ、結果的に漏水の予防にもつながっています。
ただし、水漏れをそのものを止める効果は限定的で、わずかなにじみ程度なら改善できても、大きな漏水を止められるものではありません。
特に、パワーヘッドのOリングやダブルタップ接続部、プロシリーズのダブルタップユニットやトリプルタップユニットのOリングは、定期的にワセリンを塗っておきたい場所です。メンテナンスのたびに薄く塗布するだけでも、Oリングを長持ちさせやすくなります。
一方で、すべてのOリングにワセリンを塗ればよいというわけではありません。例えば、ダブルタップ内部は分解時に破損するリスクがあり、通常の使用で問題がなければ、無理に分解してメンテナンスする必要はないでしょう。
さらに注意したいのが、エーハイム2213などのフィルターケース吸水口にあるOリングです。本来ならワセリンを塗りたい場所ではあるものの、この部分は締め付けすぎによってケースを破損させる危険性があります。交換部品は決して安くなく、すぐに入手できるとは限りません。そのため、リスクを考えると、むやみに分解してメンテナンスするのは避けたほうが安心です。
ワセリンはメンテナンスに利用するべき道具ですが、闇雲に分解してまで塗るものではありません。大切なのは「どこに塗るか」と「どこは触らないほうがよいか」を知ることです。ポイントを押さえてメンテナンスすれば、Oリングの寿命を延ばし、漏水や思わぬトラブルの予防にもつながるでしょう。



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