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2017年11月28日火曜日

溶存酸素量と水温の関係~どうして夏の水槽は酸素不足になりやすいのか?~

夏にアクアリウムを始めるべきでない理由


どーもこんにちは。ごん太です。

今回は、日本の夏は熱帯魚に暑すぎる!

・・・そんな話をしたいと思います。

つまり、なんで水温が高いとダメなのか?

これについて話ていきたいと思います。
まぁ、要するに熱帯魚を始めるなら秋か冬がベストなわけです。

そんな話ですから、今回も初心者の方への内容となっております。
さて、目次に続きまして本文へと入っていきます。

では続きをどうぞ!。



温度が上がれば、溶存酸素量は下がる


なぜ、夏のように水温が高いと熱帯魚にとって負担となるのでしょうか?。
まず、溶存酸素量が減少するのがその一因です。

この、溶存酸素量というのは簡単に言えば水に溶けている酸素量のこと。

つまり、熱帯魚がエラ呼吸で利用できる酸素の量ですね。
これが減少してしまうということは、魚たちが息苦しくなるということを意味しています。

溶存酸素量は水温が上がれば上がるほど減少していきます。
下に温度と溶存酸素量の関係について、「良く使う温度」の一例を記しておきますね。

0℃  14.16 (mg/L)
19℃  9.01   (mg/L)
26℃  7.99   (mg/L)
33℃  7.22   (mg/L)
35℃  7.04   (mg/L)

というわけで、仮に26℃→35℃に水温が変化すると酸素の量が7/8に減少してしますわけです。

「なーに、たったの7/8程度でしょ?大丈夫大丈夫ー♪」

そんなわけにはいきません。
仮にその水槽で生体がぎりぎりいっぱいに飼育されていた場合、酸素量はあっという間に不足がちになってしまいます。

また、温度が上がることで生体の代謝も活発になるわけですから、普段よりも酸素を消費することになるわけです。

なのでトータルでは、溶存酸素量↓酸素消費量↑というわけです。
つまり、酸素不足に拍車がかかわるわけなんです。

だからエアレーションをするわけですね。

でも酸素の量が減少して困るのは魚ばかりではありません・・・。
酸素を欲しい生物はフィルターの中にもいるのです。


ろ過も植物も酸素頼み!?


硝化細菌は酸素でろ過している


実は硝化細菌といわれる亜硝酸菌や硝酸菌はその過程で酸素を利用します。

つまり、亜硝酸菌ならば、アンモニウムを亜硝酸にするときに、
硝酸菌ならば亜硝酸から硝酸にするときに酸素を消費します。

ですから、生物ろ過を進めるためには酸素が必要というわけです。

もちろん、彼ら硝化細菌は硝化作用で生まれたエネルギーをもとに炭酸同化をしてブドウ糖などの炭水化物を作り出すわけですから、彼らにとっても酸素は生命線です。

なので、夏の高温により酸素の量が減少すると、水質にも影響が出てくることもあります。

さて、、、

魚は生き物ですが、硝化細菌も同じ生き物。

硝化細菌も魚と同様に水温が暖かくなると代謝があがり、硝化する速度が速くなる半面、酸素消費量も上昇すると考えられます。

ですから、ここでも水温があがると、溶存酸素量↓酸素消費量↑ということになります。

なぜ、水温が上がると溶存酸素量が減るだけでなく酸素消費量が上がるのか?
これについては、この記事の後半に紹介してみたいと思います。

なお、硝化細菌が行う、化学の力でブドウ糖などの炭水化物を合成するのことを化学合成といったりします。

なので、硝化細菌は独立栄養生物ということになります。植物と同じですね。
というわけで、次の話は夏の水槽内の植物について。


植物だって酸素を消費している


もちろん、植物も温度が上がると 酸素の消費量が上がります。

え? 植物って酸素を出してくれるんじゃないの?
そう思ったあなたは半分正解です。

植物は光が当たっているときには光合成でブドウ糖を作る際の副産物として酸素を放出します。

しかし光が当たっていないときは光合成をできなわけですから、そんな時は自分で作ったブドウ糖を分解してエネルギーを作り、その際に酸素を消費するわけです。

実際には光合成中も植物は代謝してエネルギーを作っており、光合成の方が代謝よりも盛んな場合は消費される酸素よりも光合成で作られる酸素の方が多いわけです。

光合成の目的は「酸素を作ること」ではなく、「ブドウ糖を作りそれを自分で食べてエネルギーにすること」です。

ですから、水草が酸素を消費することは、ごく自然なことなのです。

さて、実際の水槽、とりわけ水草が多く栽培されているいわゆる「水草水槽」では、、、

特に夜間やライト点灯直前の時間帯は酸素が不足気味になるといわれています。

つまるところ、光合成がとまり水草たちが酸素を作らなくなったためです。

ですから、多くの水草水槽では、このタイミング(光合成止まる=ライトオフ)に合わせエアレーション開始をすることで水槽内の酸素不足を補っています。

水草がいっぱい植えてあるからって、酸素が豊富とは限らないのです。


「温度が上がると代謝があがり酸素消費量も上がる」その原因


温度が適温と感じられると私たち人間は活動が活発になりますが、細菌や植物も同じなのです。

私たち人間の細胞に植物の細胞にも、細菌も酵素という生体触媒があり、これがうまく活動できる最適温度がおおむね37℃です。

なので私たちの体は常に体温が37℃付近になるように作られています。
また、ほとんどの細菌も同様に37℃付近を好みます。
これも酵素の最適温度の問題です。

実際大腸菌などの細菌やカビなどの真菌は培養する際に37℃で培養します。

人間と大腸菌やカビが同じ!?

なんてびっくりするかもしれませんが、、、
生物が動物や植物、そして細菌へと進化の過程で別れる以前から、多くの生物には酵素が存在していたと考えらていますから、酵素を持っていて当然なのです。

さて、ここから先は少々脱線するのですが、酵素とタンパク質とDNAの関係について軽く触れておきたいと思います。

酵素はタンパク質、つまりアミノ酸のポリマーです。
アミノ酸が「ある順番」に並ぶと折りたたまれてタンパク質となり、そのタンパク質が触媒として働くものを酵素というわけです。

で・・・ 「ある順番」を記憶しておく細胞内の装置がDNAなわけです。

ごん太が生化学を学んでいたときはまずDNAがあり、そこからタンパク質が作られるようになったと学んだものですが、、、

いまは先にタンパク質がありそれを記憶するためにDNAができたと考えれているようですね。

その昔はDNAがわかればすべてがわかる!!と言われていたわけなんですが、実際にはそうではなかったようで、、、

タンパク質や酵素による生体内の複雑な化学反応が、未だ生命の神秘たる所以として人類に立ちはだかっています。

そもそも生物学自体が日進月歩ですし、その中でも進化論的な部分の研究スピードは目まぐるしいです。ですから、10年ひと昔で常識やメソッドが変わってしまうのが生物学だったりします。

さて、だいぶ話は脱線し昔話のようになってしまいましたが、ようするに、水温が上がると・・・

酵素が良く働く

から代謝がよくなり、酸素消費量があがり、結果酸素不足となるというわけです。


温度の乱高下は水槽全体にとって悪影響


さて、上までで温度上昇による様々な問題点を記してきました。
で、ここからはまた別の話。

夏場の管理が難しい理由の1つとして、↑のような問題がでる高水温と26℃付近の温度を行ったり来たりすることも原因のなのです。

14時付近には32℃まで上がり、朝の4時頃には26℃まで戻る・・・
こんな状況では熱帯魚や硝化細菌も人間と同じように体調不良になってしまいます。

つまり熱帯魚は夏バテ、水質は不安定になりやすいです。
なので、、

なるべく26℃をキープすることが夏の飼育では大切というわけです。


そんなわけで、溶存酸素の話はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。



あとがき


いかがだったでしょうか?。
ごん太としては、熱帯魚を始めるタイミングとしては寒くなり始めた晩秋がベストタイミングだと考えています。

熱帯魚は「熱帯」とついていますが、冬に最盛期がある趣味であることを多くの人に知ってもらいたくてこのようなことを書いています。

また寒暖の差が激しくすぐに夏になる5月のGWに始める趣味ではないともごん太は考えています。

(更新:2020/3/09)