2018年1月12日金曜日

大磯砂で硬度が上がる仕組み~その化学反応式とは?GHとKHの違いとは?~

大磯砂酸処理計画発動!・・・の前に


どうもこんにちは。ごん太です。
ここ数回にわたって底砂のレビューを行っています。

前回は・・・

プラチナソイルスーパーパウダーの軟水化が実際にどれほどなのか? 

という内容で、ソイルを浸した水を試験紙で水質チェックしてみました。

さて、今後話の流れ的に大磯砂の酸処理をすることになるのですが、その前に今回は、、、

そもそも、なぜ大磯砂は硬度やpHを上昇させるのか?

これについて説明をしていきたいと思います。

本当は、上記の説明の他に、大磯砂を実際に水に浸してみてどれだけpHと硬度が上昇するか?という実験と酸処理を写真と共に紹介するつもりだったのですが・・・

実験材料となる大磯砂がこちらの不手際で良いタイミングで入手できず、今回は化学式のみの紹介となります。

実はクエン酸で処理した場合の化学反応も当記事に記す予定だったのですが、思いのほか長くなり、酸処理の記事とセットで後日紹介していきたいと思います(詳しくは↓のサイト内リンクよりご覧ください。)。

まずは目次とサイト内リンク一覧、その後本文へと入っていきます。
それでは続きは↓より!。

なお、いつものように前置きが長いですから、お忙しい人は直下の目次リンクよりお好きな項目に飛んでくださいな。


(サイト内リンク:底砂レビュー・大磯砂酸処理・軟水化など)

当ブログの関連記事です。
よろしければ、こちらもあせてご覧ください。



硬度が上がるから?最近見かけづらくなった大磯砂


さて話変わりまして、つい今しがた2軒ほどホームセンターの熱帯魚コーナーを見てきたのですが・・・2軒とも大磯砂を置いていないのに驚愕してしまいました。

大磯砂の代わりに、pHや硬度を上げないような砂利系の底砂、大手熱帯魚器具メーカーから出ているソイルが、ホームセンターの底砂コーナーで販売されていました。

最近では金魚藻に限らず低難易度の陽性植物な水草であればホームセンターで入手できるようになりつつあります。

軟水を好む水草が店内の水槽で販売されているのに、底床コーナーには大磯砂しかなかったら困りものですからね。

つまりはアクアリウムで水草を楽しむ人口が増えたという事なのでしょう。

もちろん、商売としてのアクアリウムの提案&販売という側面もあるでしょうが、、、ホームセンターというのは熱帯魚飼育のすそ野を広げるという側面もありますので、アクアリウムを広めたいアクアリストとしては大変頼もしく感じます。

ただまぁ、この「大磯砂が店頭に無い!」という現象は、大磯砂の硬度を上げる作用が軟水を好む種類の水草には不利ということが広く認識されつつあるとも言えるわけです。

(もちろん、アヌビアスの仲間のように硬度が高いほうが良く育つ水草もありますが。 )

そんなわけで今回はどことなくなんとなく知られている大磯砂の「硬度とpHを上げる」理由と、硬度が低いと水草が良く育つわけについて話をしていきたいと思います。


今回の話を書くことになった経緯


さて、次回から始まるの実験ネタでは、実際に大磯砂がどれだけ硬度を上げるのか?実験することになるのですが・・・

実はごん太はこの記事を書いている当時、大磯砂の酸処理どころか、水に浸した場合どれだけ硬度があがるか???

これを自分の目で確認したことがありません。

確かに大磯砂は利用したことがあります。
しかし、大磯砂に触れた当時はアクアリウム超初心者。

「大磯砂がいい!」とアクアのお師匠さんからの話を鵜呑みにし、意味も分からず低床に敷いていた大磯砂初心者なのです。

したがって、、、

大磯砂がどれだけpH、GH、KHを上昇するのか?
実際に今回の記事を書くまでは測定したことがないのです。

そして、実際には次回・次々回で、初めての大磯砂の酸処理と酸処理前・後の大磯砂による硬度への影響を試験紙で測定することになるのです。
しかし、まずはそんな酸処理の実験よりも・・・

なぜ大磯砂が硬度とpH上げるのか?

この理屈がわかっていないと、たまたま測ってみたらなんだかよくわからないけど硬度が高かったという話になりかねません。

ですから、まずはその化学反応について(自分自身としても)理解を深めておきたいと思います。

なお、化学屋さんではなく生物屋のごん太には詳しく解説できない部分もあります。
その点ご了承の上、読み進めてください。


大磯砂が硬度とpHを上げる化学式


まず、白状しておきます。ごん太にこの話の突っ込んだ部分は全くわかりません。
しかし、うまいこといままで学んだことののある農学と解剖生理学をつなげたらつじつまがあったので、それをもとに説明していきます。

まず、大磯砂がGHやKH、そしてpHを上げる原因として・・・

貝殻

が入っていることがよく話題に挙げられます。

貝殻というのは化学的にみると炭酸カルシウム(もしくは炭酸マグネシウム)という物質でできています。

この炭酸カルシウムが水に溶けることによってpH、GH、KHが上昇するわけです。

ただ、実際にはこの炭酸カルシウムはいきなり溶けず、数段階の化学反応を踏みながら溶け、そして硬度やpHを上げることになります。


炭酸カルシウムから炭酸水素カルシウムになるまで


炭酸カルシウムは水に溶けづらい


いきなりですが、、、

炭酸カルシムは水に溶けません。
いや、、、溶けづらいと言ったほうがいいかもしれません。

もし水に溶けてしまったら貝にとっては住処を失うわけですから、大変困ったことになってしまいますからね。

ただ、 イメージ的に言えばじわじわと溶けることはあります。

このじわじわと溶ける現象が起きると、貝殻が溶け硬度が上がるということが起きるわけです。

で・・・じわじわと溶けるというのは、どんな風な化学的な現象なのかといいますと・・・

「炭酸カルシウム(CaCO3)は二酸化炭素が含まれている水に触れると溶解し、炭酸水素カルシウム(Ca(HCO3)2)になり水に溶ける。」

そんな現象が起きているわけです。
もちろん、炭酸カルシウムはほぼ水に溶けませんが、わずかな量がじわじわ炭酸水素カルシウムとなることで溶け出るわけです。


炭酸カルシウムが水に溶けて炭酸水素カルシウムになる化学反応式


さて↑の化学反応の話を読む限り炭酸カルシウムには二酸化炭素が溶けている水が必要になります。

で、実際にこの二酸化炭素(CO2)が含まれている水というのは、、、

要するに飼育水のことですね。
CO2は魚でも水草でも呼吸により生まれるものです。

つまり、水槽は炭素カルシムが溶けて炭酸水素カルシウムになれる環境というわけです。 化学式で書くと↓のような感じになります。

CaCO3+ H2O + CO2 → Ca(HCO3)2

というわけで、これが化学反応の1段階目です。

次は話変わって昔懐かしの中学での化学実験についてです。


石灰水を透明にする実験?


実はこの反応式は、中学校でやった石灰水に息(二酸化炭素)を吹き込み白濁させる反応・・・

・・・ではなく、そのさらに先の反応で、

白濁させた石灰水にさらに二酸化炭素を吹き込み続け透明にさせるという反応のようです。

ごん太も中学生の時にやった記憶があります。

つまり、石灰水が白濁するのは水に溶けにくい炭酸カルシウムができるせいで、さらに息(二酸化炭素)を吹き込み続けると・・・

炭酸カルシウムが水中で二酸化炭素と反応し、水によく溶ける炭酸水素カルシウムになるので透明になる!

そういう実験だったかと思います。

脱線はほどほどにして、次は、化学反応の2段目とGH、KHを上昇させる理由について話ていきたいと思います。


炭酸カルシムがGH、KHを上昇させる理由


なぜGHが上昇するのか?


さて、実はこの炭酸水素カルシウムというのは水に溶けている形でしか存在しません。
水に溶けているということは、実は炭酸水素カルシウムという形では存在せず、、、

カルシウムイオン(Ca2+)と炭酸水素イオン(HCO3-)に電離している形で存在します。水に溶けるということはイオンになるわけですからね。

この電離するときの化学式で書くと以下のようになります。

Ca(HCO3)2 → Ca2+ + 2(HCO3-)

つまり、炭酸カルシウムが水に溶けると、炭酸水素カルシウムになり、炭酸水素カルシムは実はカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸水素イオンに電離するということになります。

ところで、ここで改めてGHの定義を示すと、、、

GH = (総硬度)はカルシウムイオンとマグネシウムイオンの総量


というわけで、カルシウムイオンが増えるとGHが上昇するわけです。

ですから、炭酸カルシウムが水に溶けるとGHが上がるというわけ。

話はまだまだ続きます。


なぜKHを上昇させるのか?


さらに炭酸水素イオン(HCO3-)もKH上昇に密接に絡んでいます。
そもそも 

KHというのは本来は炭酸水素イオン(HCO3-)と結合しているCa2+やマグネシウムイオン(Mg2+)の量

のことですから、こちらも硬度(マグネシウムイオンやカルシウムイオン)についての指標になります。

が、しかし、、、・・・

実際に測定しているのはCa2+やMg2+ではなく結合している相手のHCO3-です。

これは、全てのマグネシウムイオンやカルシウムイオンから炭酸水素イオンとペアになっていたマグネシウムイオンやカルシウムイオンを見つけるのが困難だからです。

ごん太の田んぼのコシヒカリの粒とお隣さんの田んぼコシヒカリの粒を、ごちゃ混ぜにしたらどちらのお米が何粒入っていたか?(=KH)なんて、わかりませんよね?

ただし総数(=GH)はわかりますし、ごん太の田んぼに残っていたもみ殻の数(=炭酸水素イオン)を見れば何粒あったかわかるわけです。
 
なので、、、

ペアの相手だった炭酸水素イオンを測定することができれば炭酸水素イオンとペアになっていたマグネシウムイオンやカルシムイオンの量もわかるのわけです。

ですから結局のところ・・・

KH = 炭酸水素イオン(HCO3-)の量

となっています。

ただ後述しますが、炭酸水素イオンの性質上、KHは硬度というよりは緩衝作用をしめす指標として扱ったほうがより正確です。

もちろん今回測定に利用したテトラ6in1の取扱説明書にも、そのように記述されています。

さて、以上KHについての話を踏まえ、改めて化学反応式を見てみると・・・

Ca(HCO3)2 → Ca2+ + 2(HCO3-)

というわけですから、これは、炭酸カルシムを溶かすと炭酸水素イオンの量も増えるということを意味しています。

炭酸水素イオンの量はKHですから、炭酸水素イオンが増えるとKHも上昇するということになります。

ということで、次の章で今まで化学反応式の話をまとめてみたいと思います。


炭酸カルシウムが溶けるとGHとKHを上昇させるということ


反応式をおさらいすると、炭酸水カルシウムが水に溶けると炭酸水カルシウムになり、
炭酸水カルシウムはさらにカルシウムイオンと炭酸水素イオンに電離します。

化学反応式で書くと以下のようになります。

CaCO3+ H2O + CO2 → Ca(HCO3)2 →  
Ca2+ GH上昇  + 2(HCO3-) KH上昇 
                       
この時、カルシウムイオンと炭酸水素イオンが増え、それぞれGHとKHを上昇させることになります。

さらに話は続き、3段段目の化学反応についてです。


炭酸カルシウムがpHを下げづらくさせる理由


水草が低いKHが好まれる理由、金魚が高いKHが好まれる理由。


ここからは炭酸水素イオン(KH)による緩衝作用についての説明となります。

緩衝作用というのは、pHを下げづらくする作用のことです。

さて、pHがキモの水草水槽においては、KHが高く緩衝作用が強すぎると、水草が育ちやすくなるpHまで下げきれず、水草が調子を崩してしまう・・・なんてことがよくあります。

なぜpHがキモかというと、、、

水草はCO2が水に溶けた形(後述のHCO3-)ではなくガスとして留まっているCO2でしか利用できず、そのHCO3-とCO2の割合はpHで決まるからです。

具体的にはpHが低いほどHCO3-よりCO2の割合がが多く、pHが高いほどその割合が低くなります。

突っ込んだ言い方をすれば、pHを上げるという行為はみすみすCO2濃度を下げるという事を意味しているのです。

なのでKHが高くpHが下げずらい大磯砂では水草栽培が難しい!と言われているのです。
また、KH(GHも) を下げる作用があるソイルが好まれる理由でもあります。

逆にプレコ水槽やのように大食漢が多く硝酸でpHが下がりやすい水槽では、緩衝作用が強い水質のほうが安心して飼育することができるわけです。

プレコに限らず、、、

伝統的に金魚という中型魚(場合によっては大型魚にも)をこよなく愛してきた日本人に、大磯砂が広く受け入れられている理由でもあります。


炭酸水素イオンの緩衝作用


さて、話が脱線してしまいました。

この炭酸水素イオンですが、水素イオン(H+)と結合することで緩衝作用を発揮します。
化学反応式では下のようになります。

なお、↓の化学反応式の炭酸水素イオンは炭酸カルシウム(貝殻)由来のもの。
水素イオンは硝酸由来のものとして式を読んでみてください。

まず、水素イオンは炭酸水素イオンに中和され炭酸ができます。

HCO3- + H+ → H2CO3

しかし炭酸は非常に不安定で、そのままの形で留まっていることができず、すぐに水と二酸化炭素に分解します。

HCO3- + H+ → H2CO3 
→ CO2 + H2O

さらに、水分子当然水中にのこり、CO2は気体ですから大気中に逃げていきますから、、、

この式が左から右に動く限り(できたCO2が水中に戻らない限り)、水素イオンは消費されて炭酸になり、さらに水と二酸化炭素になるので、pHは下がらない(場合によってはpHが上がる)というわけです。


そして貝殻はゆっくり溶けていく・・・


さて、↑の話では硝酸が炭酸カルシウムで中和される話を解説しました。

しかし、より突っ込めば前のパート冒頭で記した通り、硝酸は硝化作用由来のもので、魚を飼い続ければ無限に生成されますし、

炭酸水素イオンはCO2になって大気中に出て行ってしまったので、それを補うように炭酸カルシウムが水に溶け炭酸水素イオンとなるわけです。

結果的に、貝殻はじわじわと溶けることで、pHが下がりづらい状態となるわけです。


アクアリウムにおける「KH」その意味とは?


さて、ここまで読んでいただけたなら、KHの意味についてなんとなく理解していただけたかと思います。

アクアリウムにおいてKHとは炭酸水素イオンに結合しているカルシウムイオンやマグネシウムイオンイオンの量という硬度としての意味よりは・・・

KHというのはどちらかと言えば、緩衝作用の強さ

これを示しています。
つまり・・・

炭酸水素イオンが多ければ多いほど水素イオンは中和されてしまいますから、酸性に傾きづらいということを示していることになります。


・・・

なお、この一番最後の式、実は一方方向ではなく・・

CO2 + H2O⇔H2CO3⇔HCO3- + H+


という式が正解です。
もちろん水槽内でも同様の反応が起きていることが考えられます。 


そして・・・この式は血液における

酸塩基平衡の式

と呼ばれる式だったりします。

化学の世界では、そして当然アクアリウムの世界でもHCO3-のことを炭酸水素イオンと呼ぶようなのですが、生物分野ではHCO3-のことを「重炭酸イオン」と呼ぶことが非常に多いです。

おなじ科学という分野で同じ化学式で同じものなのに、 その分野の習慣や風習で呼びたかが変わるというのは非常に興味深いことですね。

というわけで、今回はここまで!。




あとがき


いかがだったでしょうか?
ちょっと化学式ばかりで申し訳なく思っています。

次回は・・・

大磯砂の硬度への影響を実験しつつ、酸処理とその化学反応式を紹介したいと思います。

それでは次回もお楽しみに!。

(最終更新:2020/4/8)

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