2017年11月2日木曜日

水草に必要な光の波長~光合成速度と吸収スペクトルと作用スペクトル~

吸収スペクトルと作用スペクトル


どうもこんにちは。ごん太です。
前回は・・・

安いLED電球でマツモを育てようと思ったら、赤色の波長がなくて失敗した話

今回はさらりと光合成の復習をしながら、植物が吸収する波長について紹介していきたいと思います。

そもそも・・・

水草を育成するうえで青色の光と赤色の光、どちらがより重要か考えたことがありますか?。

その答えについては記事の後半で紹介していきたいと思います。
(忙しい人は↓の目次リンク「吸収スペクトル」からジャンプしてくださいね。)

というわけで、目次に続きまして本文へと入っていきます。それでは続きをどうぞ!。


アクア用LEDライト選びの基準は「明るさ」だけで済まされない現実


さて、今回このような記事を記したのは、アクアリウム照明としてLEDが一般的になり、、、

カタログに記載されているスペクトルが水草に有効なのか?そうでないのか?

↑これを自分で判断しなくてはならない時代になりつつあるからです。

水草及び海水向けというLEDの多くがその商品カタログにスペクトルを掲載してあったり、LEDを実際に導入しそのレビューや成功例がネット上で挙がっている場合が多いです。

が・・・

そもそもただ「観賞用」とだけ銘打っているアクア用LEDや、園芸用やインテリア用のLEDなどアクアリウムで利用(流用)できるLEDの選択肢は実に幅広いです。

そんな水槽に設置するLEDライト選ぶにあたりを、LEDの特性によるスペクトルや、植物が求めるスペクトルの両方を理解しておく必要があるのです。

そして、前回はインテリア用LEDがどのような波長の光を出しているかという話に触れましたから、、、

今回は植物が光合成のために求めているスペクトルに焦点を当てて解説し、水草を育てるうえで何色の光を優先すべきなのか?ということについて話を進めていきたいと思います。


光合成の復習(明反応と暗反応)


そもそも、なんでこんな話をするかというと、光は植物が光合成するために必要だからです。

じゃ、光合成ってなんぞやという話になります。

光合成というのは、光を使って水と二酸化炭素からブドウ糖を作り、その過程で酸素と水を排出する反応です。

ですから、植物さんたちは酸素を作るためではなくて、ブドウ糖を作るために光合成をしているわけなんです。
もちろん、光合成で作られるブドウ糖は自分で食べるために作っているのです。

で、光合成は2つの系統に分けることができます。

光を必要とする過程を持つ反応と、必要としない過程を持つ反応。

この2つの反応からなっています。

前者を明反応、後者を暗反応といいます。

(※最近明反応・暗反応という言葉は紛らわしいので使われなりつつあるようです。)

明反応では光で水を分解し暗反応で利用するATP(エネルギー)や還元物質NADPHを作ります。

暗反応では二酸化炭素と明反応で準備した物質をもとにカルビンベンソン回路でブドウ糖を作ります。

難しい今回は光の波長の話ですから、話は光が必要な明反応に焦点を当てていきます。
一応↓では光合成について基本的なことを記しておきます。

・・・

・・・・・・
 
さて光合成については高校レベルの生物で習う話なので、既習の方も多くおられるかと思います。

しかし、そもそも理系でなかったり、生物を履修されていない方にとっては少し理解しづらい部分ですから少し掘り下げたいと思います。

ざっくりと説明するならば、↑で述べた通り光合成は上記のような光反応と暗反応があり、光反応は読んで字のごとく光エネルギーで反応が進むので、を要求します。

対して暗反応は酵素の力で反応が進んでいくので、基質(二酸化炭素)と温度が要求されます。

この光反応のと暗反応の二酸化炭素温度の3つは・・・

光合成速度の限定要因

と言われています。
光合成速度とは、言い換えれば時間当たりにブドウ糖を作る速度です。

ブドウ糖は植物にとってもエネルギー源ですから、光合成速度が高いほどぐんぐん生長することになるわけです。

つまり、水草の栽培に大切なのは光、二酸化炭素、水温というわけです。

・・・・・・

・・・

さて、ここで話は冒頭の疑問、青の光か?赤の光か?という話に戻ります。

この光合成速度の限定要因の1つであるについてですが、実はすべての色の光を光合成で利用できるわけではなく、植物は光の選り好みをします。

次の項はそんな植物が光合成で利用できる光の色についてです。


吸収スペクトル


クロロフィルaとは?明反応の役割とは?


上の項で明反応で光を吸収して、暗反応で必要な物質を作っていると解説しました。
この項では、その光の吸収について記していきたいと思います。

明反応で光を吸収する物質は何かと言いますと、

クロロフィルaという色素です。

クロロフィルという名前を聞いたことがある人は多いと思います。
(↓は植物の色素についての補足となります。)

・・・

・・・・・・

少し補足となりますが、クロロフィルはざっくりと調べたところ、a、b、c1、c2、e、fの6種類あるようです。

この中でクロロフィルaとクロロフィルbは多くの陸上の植物に含まれます。

そして、とりわけクロロフィルaは、光合成における光の吸収において主たる役割をするので主色素と呼び、、、

その他のクロロフィルやここでは詳しく説明していませんがカロテンなどは色素を含めて補助色素と呼びます。

この植物にはクロロフィルa以外の色素が含まれ、主色素と補助色素が協力して光を利用しているのが1つのポイントです。

・・・・・・

・・・


で、このクロロフィルaという色素が光を吸収してなにをするのか?といいますと・・・

光化学系I・IIという化学反応で暗反応に必要な還元物質が作られたり、水素イオン勾配を利用したATP合成が行われるわけです。

(この辺の話はもう少し掘り下げないと説明できませんので今回はその解説は割愛します)。

かなり省略気味で吸収した光の使いみちを説明しましたが、要するに前述しました通り・・・

光のエネルギーで「暗反応」に必要な物質を作ることが明反応の役割です。

ここは難しく考えなくても大丈夫です。
ですので、

クロロフィルaは明反応のスタート地点、さらに言えば光合成のスタート地点 

というわけです。


クロロフィルaの吸収スペクトル


このクロロフィルa、吸収できる光の波長は450nmの波長と670nmの波長を最も吸収します。
なお450nmの光の色は青、670nmの光の色は赤です。

で・・・

吸収できる光の波長の分布を吸収スペクトルといいます。


まずは下の吸収スぺクトルのイメージ図をご覧ください。

(下の図は実際の値から作成した物ではありません。あくまでもイメージです。)


(光合成色素の吸収スペクトルのイメージ図)

図からわかりますように・・・
クロロフィルaもbも450nm付近の波長と670nm付近の波長をよく吸収し、、、

さらに吸収率だけ見れば450nm付近の光(青色)のほうが670nm付近の光(赤色)より良く吸収されていることがわかります。

なので・・・

光合成に必要な光は赤よりも青!・・・とはいかないのです。


【補足】光の波長とは?


補足説明ですが、波長というのは読んで字のごとく波の長さことです。光には波の性質もあるんです。

で、この1回の波の長さが670nmの場合、670nmの波長の光ということになります。

で、ここからが大切なのですが、波長の長さによって光の性質が変わってきます。
紫→青→緑→黄→赤の順に波長が長くなるのですが、これらは人間の目に見える光なので可視光線と言います。

この可視光線で波長が最も短いのは紫色です。360nm~400nmです。
可視光線で最も波長が長いのは赤色で760nm~830nmです。

今回の話とは少しずれますが、紫より波長が短い光を紫外線。赤より波長が長い光を赤外線といいます。

両方とも可視光線から外れているので、人間の目では見ることができません。

というわけで、さっくりと波長の説明を終え、次は同じスペクトルでも吸収スペクトルとは違う作用スペクトルについてです。


作用スペクトル


では、話を戻します。
吸収スペクトルの項では、青の光のほうが赤の光より吸収されるので、青の光のほうが光合成には重要!・・・というわけではないと書きました。

実は今から書く話はちょっとややこしいのですが・・・

吸収スペクトルで最も吸収される光を当てると、光合成速度が全スペクトルの中で最も早くなるというわけではありません。 

つまり・・・

吸収スペクトル = 光合成 ではないのです

吸収スペクトルというのはあくまでも、クロロフィルaやbが「吸収」するだけのスペクトルです。

つまりクロロフィルaという物質が450nmと670nmを吸収しやすいという限定した話です。

そしてさらに言えば、450nmの方をB帯、670nmの方をQ帯というのですが、光合成の光化学系で利用されるのはQ帯の光です。

なので、吸収されたから全ての光合成に利用されるというわけではないのです。
で、吸収スペクトルにとらわれず・・・

何色の光で光合成が促進されるのか?ということに主眼を置いたのが

作用スペクトル

ということになります。ですので上に倣えば、

作用スペクトル = 光合成

ということになります。

で、この作用スペクトル、イメージ図を準備するのに↑の吸収スペクトルで力尽きましたので、 こちらはネットで検索してもらえればわかると思いますが、一般的には・・・

青色光約25%、緑色光約30%、赤色光約40%という割合

になっています。

つまり、青の光より赤の光のほうが植物にとって光合成しやすいということになりますね。

なので、

一番最初に書いた青色の光と赤色の光どちらが重要か?の答えは・・・

赤色ということになります。

では、なぜクロロフィルaの吸収スペクトルと光合成の作用スペクトルはズレがあるのか?。

ここで伏線の回収となります。

これは、光合成がクロロフィルa以外の色素、例えばクロロフィルbやカロテン、キサントフィル、フィコビリン。このような補助色素が、様々な波長の光を吸収しているからなんですね。

実は植物は色素以外にも実に様々な色を「葉全体」で吸収する機構を備えています。
しかし、その話は書き出すと長いので今回はここまで。

長文読んでいただきありがとうございました。


あとがき


いかがだったでしょうか?。
実はこのネタにふれるブログ記事は多かったのですが、いままで書くのを逃げていました。

というのは、光合成の説明が意外と大変だからです。なので、今回は光合成の説明はさっくりとしか書いていません。
また別の機会に腰を据えて光合成の説明を書かなくてはと思っています。

さて、次回は

ウォーターウィステリアの栽培法について!

というネタを投稿したいと思います。
それでは次回もお楽しみに!

(最終更新:2020/1/26)

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